第三十八話 新クランの設立
「みんな、
マキさんは目に涙をためて、メンバーに宣言する。
「リーダーが
「ん。後は私たちが頑張る」
「私たちも頑張りますわ」
「俺っち考えたんだけど、リクのクランに入れてもらえばいいんじゃねえか?」
蝶華優閃のメンバーが寂しそうに答えを返す中、意外にも桃色猫耳の猫獣人クルミが発言する。
え? 確かにそうした方がいいかも。
スクラップスターはCランクのパーティーで蝶華優閃はBランクのパーティー。
もうクランを合同にしてもいい頃だ。まあ新しくクランを作る必要はあるけどね。
「クルミ、それナイスな発言だよ! マキさん、そうしない?」
「確かにそれがいいかもな。私は蝶華優閃のままだが同じクランなら行動を共にできる」
リクとマキが楽しそうに話す。
「蝶華優閃が解散しちゃうのはもったいないなって思ってたのよ!」
「俺は賛成だぜ!」
「私もいいと思うわ」
「主の判断に任せる」
「我もいいと思うぞ。リクには負けるが中々の強者じゃ」
「わ、私はどうすればいいんだ?」
アナリスやリリ、サラ、ギン、ハクが了承する中、何故かリリーナがもじもじしながらリクに問う。
「リリーナ姉さんは冒険者をあまりいい目で見ていなかったように思えるが……?」
「マキ、私はリクに叩きのめされて変わったんだ。騎士も冒険者も同じ人間だとな」
マキさんとリリーナがリクをじっと見ながら話している。
何だか目がハートマークになってる気がするよ⁉
「それにだ。リクのパーティーメンバーは添い寝フレンドとやらになっているらしい」
「何⁉ ずるい、私もするぞ!」
二人のハートマークがこっちに飛んできたよ⁉
リクは何だか怖いので距離を取る。
蝶華優閃のメンバーもリクを見て、舌なめずりしているように見えた。
何でこうなるんだ!
リクは内心びくつきながら、白い大蛇の魔物とグリフォンに別れを告げて、山を下りて村に向かうのであった。
村にたどり着くと、シェンナ様はリクはどこだ? と視線を彷徨わせていた。
「す、すまぬ。スクラップスターのリクはどこに消えたのだ? 王子様の様な御仁よ」
シェンナ様は、リクの変貌ぶりに気づかずに、胸を押さえて、潤んだ目を向けていた。
この反応はみんなに絶対言われると予想していたので、驚かせようとみんなに芸を仕込まれていた。
リクはわざとシェンナ様を軽く抱きしめて、耳元で囁く。
「僕は貴方の王子様のリクですよ?」
なるべく、イケメン声で喋って、とすごく練習させられたので自信がある。
周りの騎士団達は、突然現れた貴公子の様な冒険者に驚きつつもあまりに手慣れた行為に抗議することを忘れていた。
「ふ、ふにゅうう」
シェンナ様は途端に顔を赤くして、気の抜けた声を出す。
ちょっと意地悪になったリクは責め立てるように、イケメン声を出す。
「どうされましたか、ご令嬢よ。貴方が満足するまで、このままでいいのですよ?」
「わ、わかった! リクなのはわかったから⁉ 私溶けちゃう~」
普段はからかってばかりのシェンナ様が狼狽えるのは珍しい。
この時ばかりは騎士団やリリーナや蝶華優閃とスクラップスターの面々は笑っていたのだった。
その後、蝶華優閃のメンバーを助けに行く話をシェンナ様や騎士団達に聞かせると目の色が変わる。
蝶華優閃のメンバーたちの奮闘で手に汗を握り、リクのマキさんを救う場面では拍手喝采となる。
「リクよ。お主はかっこよすぎる。女の嫉妬には気を付けろよ」
シェンナ様に、リクの王子様っぷりに釘を刺されるほどだ。
超人化(極)でグリフォンを吹き飛ばして、マキを救う。
その後の魔王軍幹部ラプラスとの戦いでは、ギンとのコンビネーションやグリフォンを打ち倒す。
白い大蛇の魔物も一発で倒してしまう姿に戦慄する騎士団のメンバーもいた。
リク様はすごすぎる……。
あまり言いたくないがリク様は一国に納まる器ではないぞ。
騎士団長が羨ましいわ。
だがその後の展開でまたも驚愕するシェンナ様と騎士団のメンバー。
ラプラスの傀儡術によってリクが操られて、ピンチに陥る。
ハクが何とか障壁を使い、ギンが白銀色のオーラを纏って、戦う姿には涙ぐむ者もいた。
蝶華優閃のマーレッドのフレイムオーラの一撃やルナの浄化魔法、ウララの拘束魔法でリクを押しとどめ、最後はマキの口づけで元に戻る。
もう聴衆は号泣していた。
最後にラプラスをリクがミンチにして倒すとみんなの喜ぶ声が爆発する。
「いや、リクが操られたときにはどうなるかと思ったが……ラプラスを倒せてよかったな」
「それは本当に思います。あそこでみんなを殺していたら……僕は闇に堕ちていたでしょう」
そう、呟くリクにシェンナ様は無言で抱き着く。
「リクは、絶対に逃さんぞ? 私をからかった罪は重いからな」
耳元で囁かれる言葉がすごく重たいことにリクは悩む。
何でこんなにモテるんだ?
そんなことを一人で考えていた。
リクの二つ名の女誑かしと真の勇者の効果もあったが、棒と槍を極めし者(テクニシャン)によってリクは夜の帝王となっていた。
それをリクを見ると異性は無意識に感じ取るのであろう。
嫉妬したスクラップスターの女性陣やマキやリリーナにも抱き着かれる。
「リクは、みんなの物だよ?」
「ご主人様は逃げれないんだぜ」
「リク、諦めてもう夜にいっぱいしましょう?」
「リク、このメンバーはいいが……増えたらどうしてやろうか」
「シェンナ様とみんなを泣かせたら……?」
こ、これ。昔村に来たおじさんが言ってた。ヤンデレってやつ⁉
リクは冷たい汗をかきながら皆をなだめるのであった。
その後、名もなき村の村長や村人にもリク達の活躍を伝えて、英雄として崇められるリク。やはり身長が伸びたことには驚かれたが、村長の娘が潤んだ目で見ていたのは当たり前だろう。
村で歓待用の大きな家を貸し出されて、シェンナ様たちが押しかけてきた時にはもうリクは逃げられなかった。
ついでに蝶華優閃のマキ以外のメンバーも来ていたのだから、もう収拾がつかない。
「ギン! 僕を逃がして! ハク! 何で障壁を張っているのかな?」
「主よ。男には逃げられない時がある」
「我は防音用に障壁を張っているだけじゃぞ? さあ皆の所に行こうではないか」
ドナドナ~。
リクは皆と朝まで、楽しく、添い寝をした。
何故か皆悩ましい声を出して、リクは一睡もさせてもらえなかった。
極楽の夜、と言っても過言ではないだろう。
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