『ゴミ拾いは要らないと追放された僕、実は落ちてる魔物素材を拾うだけでスキルが増えるチート能力でした』

マロン64

第一話 ゴミ拾いのリク、追放される。


「リク、もうお前はクビだ。パーティーから出て行ってくれ」

 勇者のクリスは険しい顔をしてリクに言う。


「そんな! 今まで必死に雑用をこなしてきたのに。僕だって頑張ってきたんだ」

 リクは必死にクリスにアピールする。そうでもしないと次に雇ってくれるパーティーはないと知っていた。


「プークスクス。貴方のスキルは「ゴミ拾い」。いかにアイテム収集が速いとはいえ、貴方のスキルはゴミなんですよ?」

 ヒーラーの聖女ミナミは腹黒い一面を隠そうともせず、声高らかに笑う。


「正直お前は足手まといだ。俺の代わりに肉壁としてタンクでもやってくれるか? 本当に使えねえ奴だな」

 聖騎士のオルキッドは唾を吐き捨てて、非常な現実を突きつける。


「……」

 魔法使いのサラは無言でリクを見つめているが憐みの目が強かった。


 僕達の暮らすアマリーシア王国は自由を気風とした冒険者の集う国だ。

 今はカミスの街の冒険者ギルドの中に来ていた。

 リクはこれまで「ゴミ拾い」という高速アイテム収集で役立っていた。


 更には雑用係として工夫された食材で美味しい料理を出していた。


 リクのスキル「ゴミ拾い」は、高速でアイテムを収集できる能力だ。

 しかも、収集したアイテムの補完容量は無限。

 必要な時に、必要なアイテムを即座に取り出せる。


 本来なら、非常に便利なスキルのはずだった。


 だが、勇者のクリスも「アイテムボックス」というスキルを持っていた。

 クリスのアイテムボックスは、容量こそリクより少ないが、

 戦闘中に即座に武器を切り替えられる便利さがあった。


 そのため、リクの「ゴミ拾い」は、ただの「雑用係のスキル」として扱われていたのだ。た。


 ちなみに魔物の素材は本当に高価なのでリクにはもたせられないと一度も渡されたことがなかった。スライムの核でさえも。


「リク、お前はもう必要ない。装備も置いていけ。二度とおれたちの前にその面見せるな」


 こうして僕に与えられていた装備をすべて身ぐるみはがされて、ギルドの前に放り出された。


「へっ! 勇者パーティにゴミ拾いのリクがいることがおかしかったんだよ!」

「精々、ゴミでも拾ってろ!」


 ギルドに昼からいたガラの悪い冒険者達がリクにエールを掛けていく。

「ううう。ぐすっぐすっ」


 僕は頑張っていたのに……。

 リクは絶望しながら街のはずれへと向かう。

 リクの心は悲しみと憤りで一杯だった。


 その後ろに不思議なドレスを着た森の香りをする少女が悲しそうにリクの方を見ていたのは誰も気づかなかった。



 **



 リクはふらふらと街の外に出ていた。

 これからどうしよう。どう生きていけばいいんだろう。

 そんなことで頭がいっぱいだった。


 所持品は350エネルと解体用のナイフと干し肉と黒パンと食べられる食材のみ。

 後は調理器具とスープを飲むときに使う深皿とか食器類だ。


 まちの人は100エネルで串焼き一本を買い、宿は5000エネルくらいが相場だ。

 もう何も買えないし、どうせなら魔物に食われて死ぬのがいいだろう。


「へへへ。アークフォレストの魔物に丸かじりされておしまいだろうなあ」


 リクはそう独り言を言いながら神大の森、アークフォレストに入っていく。

 アークフォレストは見通しの悪い木々に覆われて、太陽の光もまばらにしか入ってこない。だがどこかこの森の空気はリクにとって悪くないように思えた。


 木の根がうねった地面をひょいひょいと転ばないように駆けながら森を歩くリク。

 途中で木の根が洞になっているところを見つける。


 その洞をのぞき込むとスライムの核が置いてあった。

「うーん? 誰のものでもないならもらっていいよね? 「ゴミ拾い」」

 いつものようにリクはスキル「ゴミ拾い」を使う。


『ゴミ拾いで初めての魔物素材を手に入れました。スキルHP回復(小)を付与します』

 え? 魔物の素材を拾ったら、スキルが手に入った?


 僕は自分のステータスを確認する。


 ◇リク

 ◇性別 男

 ◇種族 人間

 ◇年齢 22

 ◇職業 冒険者

 ◇レベル1


 ◇体力 F

 ◇魔力G


 ◇固有スキル 《ゴミ拾い》

 ◇一般スキル

 ◇HP回復(小)


 ◇二つ名

 ◇ゴミ拾いのリク。

 ◇???の友


 僕はステータスを確認して首を傾げる。

 魔物の素材を「ゴミ拾い」で拾ったら、スキルが手に入る?

 もしかしたら自分で倒した魔物の素材はまた別のスキルが手に入るかも!


 リクは今まで魔物の素材をゴミ拾いで拾ったことがなかったのでこの事に気づかなかったのである。


 自分のスキルは実はチートかも? と希望が生まれた瞬間だった。

「僕はこのスキルで強くなって、勇者クリスのパーティーを見返す!」


 リクの力強い言葉がアークフォレストに響き渡る!

 今まで流されてこき使われてきたリクに目標ができた瞬間だった。







 小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は♡やフォローをお願いします。作者の励みになります\( 'ω')/


 星を★★★にしてくださると作者が大変喜んで更新頻度が増えるかもしれません。よろしくお願いします。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る