赤と白の獅子の元に眠る、哀しい愛の……

一つ映画を見たような、
いや、壮大なミュージカルを見たような読後感にございます。


少女ザベル。

7歳にして女王となり11歳で結婚。
14歳で夫を亡くして修道女となるも、父を殺した男に捉えられ、その息子の子供をうむ。

四十年という若さで没する。



なんと苛烈な人生だったことでしょうな。
14歳で愛する人をなくすと言うのは……とても私には想像ができませぬ。


そして、ザベルを娶った男、ヘトゥムの歪んだ愛。

いつのよにも、人を動かすのは哀しい愛なのかもしれない。




こんな歌の一節を思い出しました。



夜になると聞こえてくるのは、
景気の良い祈りじゃない。 悟りを開いたやつの声じゃない。
冷たく哀しい ハレルヤなんだ……。









時代背景がわからずとも、それぞれの視点に立てば物語の重厚さ、切なさに気が付くはず。

お勧めいたします。

ご一読を。












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