第9話 自称賢者、決闘を申し込まれる
「おはようございますなのです!」
「おはよう。昨日は忙しかったな。」
「今日はお祝いのお買い物をするのですよ!」
「その前に受付さんの所に行こう。コボルトを紹介しないと。」
「がうー。」
良い天気だ、今日は用事を済ませてのんびりと過ごそう。早速出発だ。
「アリス、何を食べようか?」
「勿論ケーキを買うのです!おいしいお店があるのです!」
「がうー!」
「おはようございます。受付さんは今いないか?」
「ああ、アンタか!丁度良かった、受付さんならあっちだよ!」
「ありがとう。行ってみるよ。」
冒険者に聞いた場所に行くと、確かに受付さんがいた。
「ま、また来たのです!」
「……サイモン!」
「よう。」
「何の用だ……!」
「今日は何もしないさ。これを渡しに来たんだよ。ほら、ちゃんと渡しておけよ?」
「は、はい……。」
奴は手紙を受付さんに渡してすぐに出て行った。何を考えているんだ?
「受付さん!奴は一体何を?」
「セージさん……こ、これを。」
手渡されたのは1枚の紙。受付さんは冷や汗をかいている……
「これは、決闘?」
「はい。3日後にここで決闘を行うと。指名はアリスさんかセージさんです。」
「アリスならともかく、俺が?」
「はい。もし勝ったら、アリスさんの家を貰うと。」
「ふざけた話だな。それで俺が勝ったらどうなる?」
「その時はこの街から出て行くって書いてあります。」
そこまでしてアリスの家が欲しいのか。一体何故……?
「勿論断ってもいいんですよ!こ、こんな物受ける必要はありません!」
「確かに本来なら受ける必要は無い、だが……。」
これはチャンスかもしれない。向こうから決闘を提案してきたんだ。ここで俺が勝てば、奴からアリスを守る事ができる!
「どうするアリス?賭けの対象はアリスの家だ。万が一もある。ここは断るか?」
「………。」
「アリス?」
するとアリスは顔を赤くして俺に頭を下げた。
「セージさん、お願いするのです!サイモンをやっつけて欲しいのです!本当は私が出たいのですが、まだその力は無いのです……。だから、お願いします!この街を、私の家を守ってください!」
……なら俺のやる事は一つだ。この決闘、受けて立つ!
「ああ!分かった、俺が出る!」
決まりだな。奴を倒してあの家は諦めてもらおう。
「で、でも。」
「受付さん、大丈夫。必ず勝つよ。」
負ける気は無い。これで奴を倒せば街の平和が戻って来る!
「準備もいるな、先にコボルトの事を済ませておこう。」
「あ、あの!」
「どうした?」
「セージさんはどうして助けてくれるんですか?あ、失礼とは思いましたが、セージさんにはあまり関係無い様な……。」
「簡単な事だよ。アリスが助けてくれたからな。これはそのお礼だ。」
「そんな事の為に……」
確かにおかしいな。最近来たばかりなのにって思うのも当然だ。でも俺は本気だ、アリスに恩返ししないと。
「だから気にしないでくれ、完全に俺の好きでやってるんだ。」
「そうなんですね……で、では!よろしくお願いします!この街を守ってください!」
「分かった!……それでこの子がコボルトだ。昨日の事を改めて報告するよ。」
「がうー。」
「あ、はい!こちらです!」
それから受付さんにコボルトと会った経緯を話す。意外そうな顔をしているが、彼女は俺の話をしっかりと聞いてくれた。
「ふむふむ。スライム退治の際に倒れていて、それを助けたんですね。」
「ああ。しばらくは一緒にいる予定だが、何かまずい事があれば教えてくれないか?迷惑をかけるつもりはないんだ。」
「そうですね……昨日も言いましたが、特にルールは無いんですよ。ここは色々な人達が住んでいますから。街の人に危害を加えないなら大丈夫ですよ!」
「本当か!?ありがとう!」
「コボルトなら、ちゃんと教えてあげれば分かってくれると思います。そこはお願いしますよ?」
「勿論だ、早速教えないとな!」
「がうー?」
これで一安心だ。目を離すつもりは無いが、もし逸れたら一大事だからな。
「もし何かあったら相談してくださいね!力になれるかは分かりませんが……。」
「聞いてもらえるだけでも助かる。本当にありがとう!」
「それは良かったです!では、他には用事はありませんか?」
「今日は……これで終わりだな。俺は後で決闘の準備をしておこう。」
「ほ、本当に気をつけてくださいね。サイモンさんが何を仕掛けてくるか……。」
「ちゃんと準備するから大丈夫さ。じゃあ、今日は帰るよ。ありがとうございました。」
「がーうー!」
そして受付さんとの話も終わり、俺達はアリスと合流する。
「終わったのです?」
「ああ。コボルトの件は問題無かったよ。アリス、俺は今から決闘の準備をするから、ケーキは買いに行けそうにない。すまない!」
「気にしないでください!サイモンをやっつけてからのお祝いにするのです!それでは家に帰るのですー!」
「ああ。アリス、俺は必ず勝つからな。」
「勿論なのです。セージさんが負けるわけが無いのです!」
「がうー。」
俺達は早歩きで家に戻る。この3日間が勝負だな。
「サイモン……お前の目的は知らないが、思い通りに行かせるつもりは無い!覚悟してもらうぞ!」
◇◇◇
「なあアンタ、奴は乗ってくるか?」
「ええ、必ず。あの子どもを餌にすれば確実にターゲットが釣れますよ。」
「しかし何であのガキなんだ?俺はアリスの方がやりやすいんだが。」
「ちょっとした余興ですよ。それにご安心を。私が必ず勝てるよう手を貸しますから。いえ、あなた程の腕前なら必要ありませんかね。」
「まあな!せいぜい楽しませてもらうか!このサイモン様の本当の力を見せてやる!」
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