第11話 神という名の災害(3)
半壊したビル街の中、神様と呼ばれた山が不気味な沈黙を続けている。
水晶の巨体は光を受けて虹色に輝いているが、動く気配はない。
一方、脳筋巫女の手中にあった完璧なるイモムシは輝きはじめた。
その光輝は魔手から離れて、光の球となり天へと昇ってゆく。
「この
どこか誇らしくなる名を脳筋巫女が呼べば、光球は一際強く輝いた。
『ふむ……』
暖かな声が聞こえる。
我らの声なのに、我らではあり得ない声だ。
我らの体の奥、
巫女は冥神と呼んでいたが、このような存在をこそ神と呼ぶのであろう。
『
「滅相もないっす! まじで! 急なコールゴッド申し訳っ!」
『良い。無垢で素朴な分霊と触れあう機会は多くない。良き気晴らしとなった』
なんという取って付けたような敬語であろうか。
あれほど魂を熱くする存在に対して無礼な巫女である。
在るだけで平伏したくなる存在に周囲の生徒達が震える中、巫女は手を揉みながらうかがいをたてた。
「……して、招来の対価の方は……?」
『うむ、半分ほどいただこうか。
「うわああああああああああ!? 私の報酬があああああ!?」
何事であろうか。急に絶叫した巫女の袖から大量の紙幣が飛び出してきた。
紙幣は光の中へと吸い込まれていく。
『良き想いであった。少し足りないが、我が去った後の分霊の世話で
「うぅ……。その契約、
『壊さぬように扱いはすれども、無垢な器に我という存在は重すぎるのでな』
何と慈悲深き神か。
あの尊きお方にとって我らなど地をはう虫けら同然だというのに、後のことにまで気を砕いてくださるとは、もったいなきことである。
『さて、アレは神亀の類いか。我も多少の盗み食いなら目こぼすのだが、少々太りすぎだな』
次に慈悲深き神の意識が向いたのは、不敬にも神前にそびえ立つ水晶塊。
強烈な光を放ちながら上昇しはじめた神に対して、山は地響きを起こしつつ大地を踏みしめて立ち上がり、長い首を伸ばしてその本性を現わにした。
水晶の牙が生えそろった大口を開けて、生意気にも威嚇しているようだ。
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