我流・キャラ作りの術〜小説のキャラクターを魅力的にするための心得!
炬灯 庵
1の心得〜キャラ作りの基礎を知るべし。
脳内でキャラクターが上手く動いてくれない。
主人公の動きがブレブレで芯が通っていない。
読者さんに「誰のセリフか分からなくて読みにくい」と言われてしまった。
などなど、他にも似たような理由でお困りの作家さんはいらっしゃるだろうか?
「物語を進めるにあたって重要な役割を持つキャラなのに、どうやってプロット通りの展開に持ち込めばいいのか分からない……」
そんな壁にぶち当たり、頭を抱えて筆が止まる人も多いのではないかと思う。
自分の頭の中には、導入から最終話まで理想的な流れが出来上がっているのに、いざそれを忠実に再現すると
「あれ……?なんか、微妙だな……」
と、改めて読み直した時に首を傾げてしまう。
その原因の一つは、物語を作るにあたって1,2位を争うくらい重要な『キャラクター』にあるのではないかと、僕は皆に提唱したい!!
▲△▲△▲△▲△▲△▲△
自己紹介が遅れたので先にそちらから……
僕は炬灯 庵(かがりび いおり)、カクヨムに参戦したのはつい最近の新参者です。
またの名を「供給に飢えて自給自足に手を出すこと早10年の獣」とも言うが、オタクの大半は常日頃から供給に飢えているので問題ないね!
さて、ここからが本題だよ。
まず、多くの作家がキャラクターを作る上で重要視することはなんだろう?
各々こだわり所はあるだろうが、共通して存在するのは以下の要素ではないかな。
①主人公は『主人公』の名に相応しいか?
②主人公を映えさせる設定ができているか?
③作中でキャラ被りが起きていないか?
④キャラは己の行動原理を持っているか?
1つずつ注目して、一緒に考えてみよう。
①主人公は『主人公』の名に相応しいか?
やはりキャラの中で最も重要なのは主人公だろう。
主人公の性格、信念、行動原理、動機、その他それらによって物語のジャンル、ストーリーの始まり方、結末が変わると言っても過言ではないはず。
そんな主人公が「やあ、ここは〇〇村だよ」のセリフしか与えられてないRPGの村人Aみたいな没個性の持ち主では、のんびりスローライフ系は書けてもド派手なバトル系は書けないに違いない。
書ける天才も世の中にはいそうだが、少なくとも素人の新人作家なんかには到底無理ゲーである。
僕は「実はこいつがゲームバランス崩壊級の隠しコマンドを持っている」くらいしか思い付かない。
となれば、当然主人公の設定は自分が書きたい物語のジャンルに合わせるのが望ましいね。
スローライフ系なら、のんびり穏やかで平和主義、あるいは人嫌いで動物とだけ接してたい系。
バトル系なら、「俺より強い奴を倒しに行く」が座右の銘な戦闘狂、あるいは巻き込まれ体質な実力者系。
そんな感じで、ジャンルの傾向に合わせた設定作りが大切になる。
もちろんジャンルとは真反対な属性の主人公にしてもいいけど、その場合は
「なぜそんな人間が〇〇をするのか?」
という理由付けが必要になる。
ここの工夫がその作品の面白味になるんだろうけど、理由作りが上手くできない内はオススメしない手段だ。
②主人公を映えさせる設定ができているか?
物語には、主人公以外にも重要な役割を持つキャラがいる。最低でも1人や2人はいるだろう。
例えばヒロイン、ライバル、相棒、敵役など。
主人公との関係性は様々だが、どれも主人公を『主人公』たらしめる為の大切な舞台装置だ。
今これを読んでいる作家の皆!
自分の作品を1つ選んで、主人公以外のキャラで誰かを頭に思い浮かべてみてくれ。
その子と主人公の関係性は例えるなら何かな?
家族、幼馴染、ライバル、同僚、親戚、友人、恋人、上司、部下、先輩、後輩、腐れ縁、主従、因縁……
上記のどれかに当てはまるものはあったかな?それとも全く別のものだっただろうか。
僕が1つ問いたいのは
「それ、死に設定になってないよね?」
これだ。
コンビで動かした時、その2人ならではの良さがちゃんとあるのか?
これが主人公と他キャラを触れ合わせる上で最も大切なことだと個人的に思っているよ。
物語の中で、主人公は1人の人間だ。(人間じゃない場合もあるけど、心を持つ生き物であるということが大事なので置いておく)
人間なら当然、相手によって見せる顔が変わるだろう。
家族にしか見せない顔、友人にしか見せない顔、恋人にしか見せない顔。
こういった『特別な顔』以外にも、初対面の人に見せる顔や1人の時に出る顔なんかもある。
その顔の切り替えが、主人公はできているのか。
もちろんこれは主人公に限らず全キャラに言えることだけれども、特定の誰かにしか見せない一面というのはそのキャラの隠された魅力の1つであると思う。
皆の頭に思い浮かべているその子は、主人公の前でだけ見せる顔を持っているだろうか?
その子に対して、主人公はどんな顔を見せているのかな。
その特別な部分を物語のストーリーに役立てることができれば、きっと読者たちの印象に残るだろう。
「〇〇のところ、△△と▲▲の会話にドキドキしました!これからの2人の展開が気になります!一体どうなってしまうのか……」
恐らくこんな感じで。
『主人公を映えさせる設定』というのは、何事においても主人公が最も優秀で、その他のキャラが主人公に劣る設定ということではない。
主人公の内に秘められた一面を表に引っ張り出せる設定、これが『映えさせる』設定だよ。
③作中でキャラ被りが起きていないか?
これは多くの作家が気を付けていることじゃないかな。
ただでさえ小説というのは、絵がない分文章ですべてを伝えなければならない。
そんな中、一人称も口調も全く同じのキャラが2人いたらどうなるか……
もちろん読者は「これどっちのセリフだ?」って混乱するし、地の文に入れられた描写で必死に読み取ろうとしてくれる。
でもその描写すら曖昧では、結局あそこは誰が喋っていたんだろうと心残りになってしまうね。
当然、口調なんてものはキャラが増えれば増えるほど差別化が難しくなっていくもの……
いくらキャラ被りに気を付けていても、こればかりはバリエーションを増やすのも難しい。
なので、困った時は『工夫』で差別化を図ろう!
例えば同じ敬語口調のキャラがいたとして、片方が『真面目で紳士な青年』で、もう片方が『天真爛漫な後輩女子』だとしよう。
A「流石ですね。ふふ、あなたの実力には驚かされてばかりですよ」
B「流石ですね!あなたの実力には驚かされてばっかりですよ!」
同じ敬語口調が主体だけど、どちらがどちらのセリフかとても分かりやすいと思う。
2人とも相手の実力を褒めているのに、なぜ区別がつくのか?
そのポイントは、笑い声や感嘆符の有無、言い回しなどに隠されている!
元気がある子は元の口調が何であれ、勢いのあるセリフにするといい感じになる。
大人しかったり真面目な子はどうしても物静かな喋り方になることが多いからね。
「ばかり」を「ばっかり」
「すごく」を「すっごく」
と言い方をほんの少し変えるだけでも、それを徹底して統一していればちゃんとした判別方法の1つになるよ。
個人的に、言い回し系はとても使いやすいのでオススメしておく。
「いいね」と「いーね」
「いいじゃん」と「いーじゃん」
「いやだよ」と「やだよ」
こういった細かい部分だけでも、読者がキャラを見分けられるポイントになると覚えていってほしい。
キャラの年齢によっては、あえて漢字を使わなかったり、カタカナ表記にすることで言葉の拙さを表現するのも1つの手段かな!
④キャラは己の行動原理を持っているか?
これは主人公に限らず、すべてのキャラに持たせるべき必須装備だね。
行動原理はキャラを動かす為のフックになる大切な要素。
これを用意しているのとしていないのとでは、キャラを動かす難易度が爆上がりすると思う。
分かりやすいのは「守銭奴」とかかな。これは「お金こそこの世で最も価値ある物」っていう価値観が元になってるね。
そこまでじゃなくても、貧乏だからお金には目がないだとか、貯金癖があってお金を集めるのが大好きだとか、そういう行動原理を持つキャラを動かすのはとても簡単。
報酬で50万円渡すから〇〇をしてくれないか?ってだけですんなりとフックに引っ掛かってくれるから、初心者にも扱いやすいね。
ただ、こういった即物的な物に惹かれないキャラを動かすのは大変苦労する。
「人情に厚い」とかであればそのキャラと親しい人物を上手いことセッティングすればどうにかなるけど……
「面白いことが好き」みたいな抽象的なやつは、それを考えないと一生動かない。テコでも動かない。
こいつにとっての「面白い」ってなんだ……??ってずっと迷走することになるので、そういう大喜利じみたことが苦手な人は避けた方がいいと思う。
キャラが中々動いてくれない!って人は、この子の行動原理って何かな〜と一度考えてみることをオススメするよ。
面倒臭がりなら「やらないともっと面倒なことになる」っていう状況に追い込めばいいし、人嫌いなら「やらないと集団に巻き込まれる」っていう状況に追い込めば、渋々動いてくれるからね。
プロット通りの展開にするために、こいつに〇〇をさせたい!って時は「絶対にそうしなければならない」っていう状況になるまで追い詰めることを意識しよう。
大抵「そうはなってたまるか!」って感じで意欲的に動き出すよ。
作者は言わばその物語限定の神様だからね。人間に頼み込むのではなく、むしろこっちがコントロールしてやる気で挑もうね!!
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さて、今回は「キャラを作るために重要視するべき要素」について長々と語ったわけだけども。
これはあくまで僕が考えた「すべての作家が気を付けている部分なんじゃないか」っていう共通点であって、むしろここからがスタートラインだと思う。
今はあれだね、100m走で自分のレーンに並んだだけ、みたいな状態だね。
じゃあここから走り出して他の作品とコーナーで差をつけるために大事なことは何か。
それは間違いなく「キャラの解像度の高さ」だ!!
流石にこれ以上語ると長すぎるので、これは次話で話そうと思う。
また同じくらい、もしくはそれ以上長くなる予感がしているが、そんなに日を跨がない内に書けるはず……
そういうわけで、興味がある人は是非続けて読みに来てほしいかな!
以上、炬灯 庵、またの名を 趣味:設定作りの関係性オタクが語る
「我流・キャラ作りの術〜小説のキャラクターを魅力的にするための心得!」
でした!
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