1章
自分とは正反対な人
入学式の新入生挨拶は、あかりだった。
どうやら同じ高校のようだ。
朝、クラス全体は1度見たが、いなかったから多分違うクラスだろう。
「暖かな日差しの元」、「胸がいっぱい」、聞いた事のあるようなないようなそんなセリフだ。
そんな普通な言葉を耳で聞き流しながら俯いていると隣の席が何か騒がしい。
ゆっくりと隣を見ると、どうやら服が上手く着れていないらしい女子がいた。もちろん名前は知らない。だけど見ておいてそれは無いだろと良心がささやくので声を掛けた。
「大丈夫ですか?」
その女子は驚いたようにこちらを見あげ、頬を赤らめたが、落ち着かせるためか深呼吸をし、僕に言った。
「えっと、、大丈夫なんですけど、、、手伝っていただけませんか??」
最近の女子ってすごいな。初対面の男にお願いができるのか。計り知れないコミュ力を感じた。続けて女子生徒は言った
「この胸のボタンが止まらなくて、、。」
僕は悟った。
(初日からやばいのがぶっ込まれたな)
そこで1度その女子生徒をしっかり見るとまあ客観的に見れば豊満なボディをしていた。
自分は男だから分からないがまあ困る事もありそうだ。妙な視線を感じたのもこれが理由かもしれない。
とはいえ、僕はこんな事で屈する者じゃない、行動に移してないだけでこんぐらいできるはずだ。うん。
「じゃあ、やりますね。」
無表情は得意分野だ。軽く後ろのファスナーを緩めボタンを止めた。これでよし。
「終わりましたよ。」
そう告げると女子生徒はまた頬を赤らめながら相槌をうち、この1連の出来事は終了した。丁度入学式も終わっていた。
教室に戻ると僕たちの担任が軽く挨拶をする、
式守と言うらしい。覚えておこう。頭の中で繰り返す。これでもう大丈夫だ。
担任の挨拶が終わると自己紹介の時間が始まった。
最初の方は聞き流していたのだが、そろそろ自分の番が来るので意識を戻すと、なんやら聞いた声がする。
「篠原茜です。よろしくお願いします。」
あの時の女子生徒だった。
クラスの男子はセリフより体を見ているようだ全く、けしからんな。言っておくが僕は見ていない。無表情だ。ちなみに席は隣だった。
そして自分の番がくる。
「清原圭です。15歳です。よろしくお願いします。」
端っこの方で微かな笑いが聞こえた。
何か変なこと言ったかな、まあいいか。でも現実ってこういうのが後々黒歴史になったりするよね。まあいいんだけどさ。
休み時間になると隣のやつが話しかけてきた。
「君、同じクラスだったんだねー!」
あれ?記憶いじられたかな、誰こいつ。
「おーい!聞こえてますかあー」
とりあえず返事をしておこう。
「うるさ。」(なんですか?)
あ、やばい脳内と言葉が逆になっている。
案ずるな。無表情だから問題はない。まあそれはそれで冷徹なやつなんだけど。
「LINE交換しよー!!」
"客観的に見て"豊満な胸を背中に押し付けられながら言われた。全くなんなんだこいつは。
まあ悪い気はしないが、重いな。しんどそう。
「どうぞ。」
長引かせるのは面倒なので見せておいた。
ちなみにアイコンは猫だったぞ。ギャルなのかおしとやかなのかどっちなんだか。アイコンばっかに気を取られていて分からなかったが、違和感を覚えた。プロフィール背景に何故かあかりが映っている。
僕の脳内の引き出しを開けに開けまくって掘り出した結果出てきた1つの答えを思わず口に出していた。
「お前、あーちんか?」
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初めまして!みゐです。読書して頂きありがとうございます。軽く書いて見ましたが、文章考えるのってとても難しい事を再度痛感しました。学生時代の嫌な思い出が蘇りますね。
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