世界最強は目立ちたい。
@Green_Grapes
第1話
新宿駅の地下深く、厳重に封鎖された特級ダンジョンの前。
「わー、なんか今回の特級ダンジョン、内装がやたらと凝ってるね。やっぱ国もお金かけてるなー」
ボク、
「北上さん。内装の心配より、
「はいはい。ボクが原因なのに、相変わらず管理局は『原因不明の事象』という報告書を作るんだろ?」
ボクは軽い足取りでダンジョンの中へと足を踏み入れた。ボクの能力は『
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特級ダンジョンの最下層。そこに待ち受けていたのは、都市一つを消滅させるほどの魔力を持つ巨大な
(この法則外の力を使って、どこまで世界を操作できるのか。それが今ボクの一番の興味だ。こいつを消すだけじゃつまらない。『攻撃性』の概念だけを無力化する、ボクの力の検証と行こうか)
ボクは人差し指を立てて、
「
ボクがそう思っただけで、世界が改変される。しかし、
「はい。おしまい。つまんなかったな」
ボクはチラッと後ろにいる天野さんが驚いていないか確認し、驚いてないことを残念に思いつつも、スマホを取り出し、自分がやった証拠になるものがないか、辺りを写真で撮り始めた。
(今日の仕事のご褒美のクレープ楽しみだな。確か新作なんだよね!)
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東京郊外の3級ダンジョン、『新八王子坑道』
蓮は『術式:重力操作』と、『術式:神速剣舞』を繰り出す有希との連携で、ロック・ウルフを叩き潰す。
「よし、これで今日のノルマ達成だ。有希、この調子で次の層のクリアタイムを縮めるぞ。一刻も早く特級に上がって、もっと強くならないと」
「そうだね。蓮くん」
ロック・ウルフを斬った時に刀についた血を払いながら、有希は言う。
彼女、
二人は探索を終えダンジョンの出口に向かっていた。
そのとき、二人の背後の空間が、パキ、パキと不自然に揺らぎ始めた。C級ダンジョンではありえない次元の亀裂が走り、特級の魔力が嵐のように吹き出す。
「嘘...だろ。特級!?」
亀裂から出現したのは、『ゴーレム・ロード』の片腕。
「...ッ、逃げろ、有希!」
蓮は有希を庇い、岩壁にたたきつけられる。
体のあちこちが悲鳴をあげつつも、頭で冷静に考える。
(あれが特級か、昔動画で見てて助かったな。せめて有希だけでも...)
特級の攻撃は3級では防げない、それが当然の理屈。むしろ命があるだけましなほうだ。
そんな特級を前に、蓮は限界の『重力操作』で、有希は渾身の『神速剣舞』で挑むが、その努力はゴーレム・ロードの圧倒的な耐久力と再生能力の前に無に帰す。
「蓮くん、避けて!」
蓮は迫りくるゴーレム・ロードの腕を見て、自分の死を確認する。
一瞬の油断。しかし、そんな油断は命をかける探索者にとっては命取りになる。
(俺の力ってこんなもんなのだったのか...)
その、蓮の命が消える寸前の瞬間だった。
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特級ダンジョンの入り口。
天野さんはタブレットを操作しながら焦った声で言う。
「北上さん!あなたのせいで、3級ダンジョンに特級魔物が現れました。すぐに空間を修復してください!」
「大丈夫だって、問題は君の仕事が増えるぐらいだよ」
(まだ大丈夫だよね。あそこには有希もいたはずだし...)
すこし焦りながら、ボクは八王子坑道の座標に意識を集中させる。
「
零が次元を修正した際、蓮と有希の戦場に、規格外の力が作用した。
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蓮の身体から、突然、理不尽なほどの魔力があふれ出した。
ゴオオオォォォン!!!
蓮の『重力操作』が、ゴーレム・ロードの腕を内部から粉砕し、次元の亀裂は何事もなかったかのように消滅した。
蓮は、あまりの出来事にその場に崩れ落ちた。
「な、なんだ...今の力は...一瞬だけ、まるで別人のような威力になって...」
その衝撃に彼は、ある「都市伝説」を思い出す。それは、特級魔物が一撃で崩壊したとかいう、わけのわからないものだったが、読書好きな彼は、ある新聞で目にしたことがあったのだ。
「原因不明の事象なんかじゃない。誰かが、裏でこの空間に干渉したんだ。そんな存在が、いるのか...?」
蓮の眼には、努力では超えられない壁への探求心が灯っていた。
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天野さんが疲れた顔でボクの顔を見据える。
「はぁ、あなたは今回の遊びすぎの罰として、買う予定だった『期間限定・ストロベリーパフェ』は没収します。」
「な、んだって...」
ボクはその場で膝から崩れ落ちた。
この世はなんて残酷なんだ...
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小説1話目だったので、内容はできるだけ多く書きました。次回からはもう少し短いかも...
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