第15話叱られ保育士の蜜月と偽りの至福
まひる先生と付き合い始めてからというもの、私の人生は一変した。
園での理不尽な叱責は続いていたが、まひる先生の純粋な愛情と庇護の存在が、すべてを甘美な偽りで覆い隠してくれた。
この温かい偽りの世界が、永遠に続くようにと、心から願った。
朝、私が出勤すると、まひる先生は私を見つけるやいなや、周囲を警戒しながらすぐに駆け寄ってくる。
「良介先輩、おはようございます!ふふ、今日も一日、私が絶対に守りますからね!」
彼女は誰にも見えないように、私の手の甲をそっと撫でてから、小走りで持ち場へ戻っていく。
その一瞬の触れ合いだけで、私の心は温かい光に満たされた。
他の先生たちの理不尽な叱責も、保護者たちの冷たい視線も、すべてまひる先生に庇われるための「二人だけの演出」だと割り切ることができた。
しおり先生は、私がまひる先生と付き合っていると知ってから、私に命令を下す際も、以前より優越感に満ちた、どこか楽しそうな笑みを浮かべるようになった。
だが、私は気にしなかった。
まひる先生の無垢な愛の前では、全ての屈辱が最高の悦びに変わったのだ。
私とまひる先生の関係は、まるで嵐の後の晴れ間のように急速に深まっていった。
週末はほとんど二人で過ごし、まひる先生は私のために熱心に料理をしたり、私が職場で受けた理不尽を真剣に聞いてくれたりした。
※※※
ある週末、まひる先生の家で過ごした夜のことだった。
「良介先輩は、なんであんなにみんなに理不尽なこと言われても、いつも黙って耐えちゃうんですか?
私だったら、絶対に言い返すのに…」
まひる先生は、ベッドの上で私の胸に顔を埋め、心配そうに尋ねた。
私は彼女の髪を優しく撫で、甘い毒のような嘘をついた。
「俺は、保育士として、みんなと波風立てたくないだけだよ。
それに、まひるがいつも守ってくれるから、頑張れるんだ」
その言葉を聞くと、まひる先生は顔を上げ、真剣な瞳で私を見つめた。
彼女の瞳には、私の支えになれる喜びと、強い決意が宿っていた。
「私が力になれているなら、嬉しいです。
先輩は、私の人生で一番大切な人です。
だから、先輩のつらい気持ちを、全部私にください」
まひる先生は、まるで私を守り、受け入れるという強い決意を示すように、熱いキスをしてきた。
そしてその熱は、私たち二人の体を包み込んだ。
その夜、私たちは、ただ純粋に愛し合う恋人同士だった。
まひる先生は、私のシャツをそっと掴み、潤んだ瞳で私を見上げた。
「先輩…」
私が彼女の頬に触れると、彼女は体を震わせながら、さらに深く熱いキスで応じた。
私たちは愛の言葉を交わしながら、互いの服を脱がせた。
まひる先生の華奢な体は、私にすべてを預けてくれるように柔らかく、温かかった。
彼女は、私の胸元に顔を埋め、
「良介先輩の全部が、私のものなんだね」
と、愛おしそうに囁いた。
激しさはなく、ただただ優しく、互いの体温を分け合うような交わりだった。
それは、私を支配する女性たちとの倒錯的な快感とは全く異なる、心と体が深く結びつく、本物の愛の証明だった。
行為の最中、まひる先生は私の名前を呼び、私の頬を優しく撫でた。
私は、この純粋な愛情と、私の倒錯的な欲望が最も深く結びついた瞬間に、背徳的な罪悪感と最高の幸福感に包まれた。
その後、まひる先生は、私を抱きしめながら、何度も「先輩を守る」と繰り返した。
彼女の温もりと、私を守りたいという強い意志こそが、私の性癖を何よりも満たす「叱責」なのだと、改めて悟った。
私は彼女の愛に溺れ、永遠にこの蜜月が続くことを願った。
ああ、このままずっと、この偽りの幸せの中で、彼女に守られて生きていけたら、どんなに幸せだろうか。
そして、日曜日が終わり、月曜日の朝を迎えた。
私が出勤し、ロッカーで制服に着替えていると、スマートフォンが振動した。
差出人は園長先生。
【件名:指導準備完了/本文:良介先生。機は熟しました。今夜、至急園に来なさい。】
一瞬で、背中に冷たい汗が流れた。
このメールは、私の甘い夢が終わり、すべてが計画通りに進んでいたことを告げる冷酷な幕開けのベルだった。
その時、ロッカー室の入り口から、冷たい声が聞こえた。
「良介先生。お楽しみの時間は終わったようね」
振り返ると、みなみ先生、ゆうな先生、しおり先生、なな先生、そしてさくら先生が、全員揃って立っていた。
さくら先生が、静かに宣告した。
「今夜、私たち全員による緊急の規律指導の時間を始めます。
もちろん、保護者の皆さまもいらっしゃいますよ。
あなたの性癖の最も深い部分を、私たちに見せていただきましょう」
甘く、温かい日々は、残酷に断ち切られた。
私の恋は、私を支配する者たちによる、最高に背徳的な『舞台』の序章にすぎなかったのだ。
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