バッドエンドのエロゲーのヘタレキャラになったオレ、なばら幸薄ヒロインを甘やかすとしようか!
アサガキタ
第1話 夜勤明けのはずが。
「――
南条君? こんな遅い時間? いや、オレ南条じゃねぇし、夜勤明けだから朝だ。むしろ早い。オレは寝ぼけた頭でコンビニの外を見た。
ん? 夜だ。いや、昨日の夜から働いた。
夜勤だし、だから今は朝。天気が悪い……わけじゃないか。待て待て、問題はそこじゃない。なんで社畜なオレがJKに声かけられた? しかも、果てしなく金髪に近い栗色の髪の美少女。
――待て待て、見覚えがある気がする。
ダメだ、夜勤明けの寝ぼけた頭では思い出せない。高校時代の同級生? こんな美少女いなかったし、いたとしても同級生ならもうすぐアラフォー。この首を傾げた感じ、申し訳ないがアラフォーじゃない。
ん……この両目にある泣きほくろ……
おい、噓だろ、まさか彼女は
オレは慌てて振り返る。コンビニの窓に映る冴えないメガネ――まぎれもなく
伝説のヘタレ言い訳キャラだ……
えっ、なに? 俺死んだの? それとも『思い出の彼方2』のリメーク版? 最近のビジュアルノベルって没入感凄いの?
「――寒っ⁉」
オレは思わず自分の腕を抱えた。この寒さ、ゲームじゃない……
「そりゃそうよ、南条君。どうしてクリスマス前に半袖なの?」
無邪気な笑顔で微笑み掛ける結城静香。
彼女は学園のアイドルで、こんな冴えない南条悠真ですら話し掛ける天使のような女子。
女優になるのが夢でバイトして上京する資金を溜めていたような……
クリスマス前? いや、7月だった。7月の夜勤は辛いんだ、昼暑くて寝れないし……
でも、この寒さ。
コンビニのクーラーの温度設定の問題じゃない。だって今入ってきたカップル、ダウン着てるし……そりゃ、クリスマス前だもん。
クリスマス前? コンビニバイト?
「ごめん、結城さん。今日何日⁉」
「えっと今日は、ほらイヴの前日12月23日。イヴイヴって誰か言ってたよ」
そうだ、
彼女はこのバイト帰り自宅近くの公園で――
そしてそれを目撃するのがオレ――南条悠真だ。
南条悠真は結城静香を助けることなく、大声を上げて逃げた。
胸糞保身野郎だ。逃げ帰って、頭から布団を被り震えながら言い訳を考えるようなクソヘタレ。
おいおい、オレはそのクソヘタレに転生したのか?
でも、死んでる自信がない。自信はないがやり込んだビジュアルノベル『思い出の彼方2』がこの先どう進むか、もう何年も前だけど覚えていた。
彼女が襲われ犯されるルートは回避不能。
南条悠真はサブキャラで選択肢が与えられるようなシナリオはない。主役の
そして三上にぶん殴られ、オレこと南条悠真は気が弱いくせに、三上亮の影口を言いふらす胸糞野郎。
確か学園の裏サイトに三上が結城静香を襲わせるように仕組んだとか、なんとか書き込むんだ。ホントにクソだ。
オレは
待てよ、三上亮に知らせたら結城静香が襲われることもないし、心と体に傷を負うこともない。何より三上は彼女の彼氏だ。ふたりがうまく行けば言うことない。三上亮はスポーツ万能だから、どうにか出来るだろう。
「結城、三上の連絡先知ってるだろ。教えて欲しい」
実感がある訳じゃない。没入系のリメーク版ならそれでいいし、夢ならなおいい。でも万が一、これが現実なら――
今ならやり直しが出来る。
「南条君、どうしたの……急に呼び捨て。別に構わないけど、なんかそういうタイプだった?」
あっ。南条悠真はヘタレ言い訳、弱腰キャラだった。彼女のことも『結城さん』と呼んでいた。
「悪い、その……イメチェン……みたいな?」
我ながら苦しいが、オレは本物の南条悠真ではない。息をするように言い訳を思いつく性格じゃない。
「南条君。三上君って、誰?」
「えっ、三上だよ。お前の幼馴染で――彼氏の」
「幼馴染の彼氏⁉ 私、彼氏なんていたことないよ! それに幼馴染は菜摘だけ! 知ってるよね、女子だよ? そんなこと言ったら怒られるからね?」
絹のようなブロンドの髪にグレーの瞳、そして父親譲りの関西弁という設定モリモリ女子。結城が言うように、迂闊なことを口走れば怒られるのは間違いない。
いやいや、そこじゃない。
確かに結城菜摘も幼馴染でゲームはこの三上亮との三角関係を軸に進むのだが……この世界線、主役不在なのか?
それはマズい、マズすぎる。
このヒロインふたりはこの先多くの困難に出会う。それを主人公の三上亮が
その前半の最初の事件が結城静香が犯され、それでも夢を諦めないで前を向くには、三上亮の支えがあってのこと。それなしで彼女は立ち直れるのか?
「いらっしゃいませー! ごめんね、南条君。またね」
こんなクソ雑魚サブキャラにも優しく手を振る結城静香。通報するか? まだなにも起きてないのにか? なんて言う? 信じてもらえるか?
うっせえなぁ……コンビニで騒ぐなよ、ガキどもが。
声のする方を見てざわりとした。こいつらだ、こいつらが結城静香を襲う
じゃあ、すでに目をつけてた訳だ。狙っての犯行。
もう、オレしかいない。仕方ない通信教育で取った少林寺拳法3級のオレの拳が火を噴くぜ。
▢作者より▢
需要があるようなら続きを書こうかと思います。
☆評価で判断したいと思います。よろしくお願いいたしますー
アサガキタ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます