第8話 該博《がいはく》のロリエンディル。
「さて、ちゃっちゃと進むアル。深層まで先は長いネ」
「待て、どこかから風が吹いていないか?」
俺はかすかな違和感を感じ、パーティを引き留める。
「? いや、なにも感じないけど……」
「ティックの気のせいアルネ。道草してないで、とっとと進むアルよ!」
アイリーンと
「ロリたん知ってる。ハーフリングの探知能力は、エルフの3倍、ヒューマンとは10倍以上。きっとティックは、ロリたんたちには探知できない異変を感じ取っている」
「本当アルか? ティック!!」
「ああ。俺たちハーフリングは実感していないが、どうやらそうみたいだな」
俺の言葉に、アイリーンがにこやかに笑う。
「なるほど、さっそくティックの能力が役に立つわね。パーティに加えた甲斐があるよ」
「褒めるのは、成果をあげてからにしてくれ。言っておくが、ただの隙間風かもしれないからな」
そうは言いつつも、はっきりとした違和感を覚えている。
俺は、ゴーレムの残骸が散らばる床に手を当ててみる……なるほど、間違いない。下が空洞になっている。床を注意深く探索していくと、ほどなく、不可思議なくぼみを発見した。
「この窪みに何かセットしろってことだろう。周囲に文字らしきものも刻まれてあるが、そっちは皆目見当がつかん」
「ティック、とってもお手柄。あとはロリたんに任せるの」
ロリエンディルは懐から3センチほどの緑色に輝く宝玉をとりだし、ためらうことなく床の窪みにはめ込んだ。
ブワン。
まばゆい緑色の光がアリの巣のように床全面に走っていく。そして「ガコン」と何かが外れる音がすると、下層へとつづく道が現れた。
「スゴイ、めっちゃ近道アル!」
「ティックお手柄じゃない!」
「手柄を立てたのはロリエンディルだ。俺は窪みを見つけただけだ。なあ、ロリエンディル、君は、ここに階段があることを見越して、俺たちを誘導した。そうだろう?」
俺の言葉に、ロリエンディルは口の端をわずかにあげる。
「ご名答。どうしてロリたんの思惑に気が付いたの?」
「このダンジョンは、出現して1年以上経過していると聞く。ならば浅層はあらかた探索済みのはずだ。ゴーレムなんて大物が闊歩しているはずがない」
ロリエンディルはこくりとうなづく。
「その通り。ここのゴーレムは、前回の探索でロリたんたちが深層にあった祭壇から『
「祭壇って、あの祭壇のこと? ものすごい近道じゃない!!」
ロリエンディルの言葉に、アイリーンが驚き、
「さすがは、
「えっへん。もっとロリたんを称えるの!」
「えらいエライ! 戦闘では役立たずだけど、こういう時は頼りになるネ!」
「それはこっちの台詞なの。ロリたん、今までは、ひとり地道な労働を強いられてきたの。でも……」
ロリエンディルは、おもむろに俺の腕にからみついてきた。
「これからはティックがいる。ヒューマンの小娘どもとちがってとっても話が合いそうなの。それに夜の相性もとっても良さそう」
「な、何を言ってるんだ!!」
俺は大慌てで、ロリエンディルの腕をふりほどく。
「恥ずかしがらなくてもいいの。経験豊富なおねーさんがこれからいろいろ教えてあげるの」
そう言って、ロリエンディルは投げキッスを投げかけてくる。
「バ、バカなこと言ってないで先を急ぐぞ!!」
赤らんだ顔を築かれたくない俺は、そそくさと階段をかけ降りた。
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