子供のころ心無い女子に言われた、「外見はいいけどしゃべるとつまらない」という言葉に、今も自己肯定感を下げられている美形で華奢な青年、綾斗。
ぐいぐい来るくせに裏切りを働いた元カレとの別れ以来、仕事一筋で過ごしていた綾斗の隣室に、七歳年下の大学生・春也が引っ越してくるところから、物語は動き始める――
文学青年っぽい繊細な雰囲気の綾斗の内面が、ありありと伝わってきます。
少年時代に自分が同性に恋をしていると知ったときの衝撃や、
まじめな恋人を探したくても肉体だけの関係を求められてしまうゲイの世界が、とてもリアルに感じます。
BLというファンタジーではなく、現実的な男同士の恋を描いていると感じる本作、こまやかで文学的な描写に心惹かれます。
繊細な緻密なラブストーリー、ぜひのぞいてみてください。