お買い物


「……誰?」


「ええ~ひどすぎなーい?」


「あ、いや何となくは覚えてるんだけど」


 この子と遊んでた感じはある

 けどいかんせん思い出すことができない


「私の名前は?」


「えーっと…………」


「はぁー、帰ってきて早々それか。私は葵! あなたとよく遊んでたのよ!」


「改めて? よろしくね、葵」


「堅苦しいなー。都会の空気にやられたのー?」


 自然と笑顔ができていた



「スーパーどこ?」


「ついてきて! 案内してあげる」


 よかった。何も買わず帰るところだった。


「……本当にここにいた時のこと覚えてないの?」


「ほとんど忘れちゃってて。ここにいたらいつかは思い出しそうなんだけどな」


「そっか」


 どこか寂しそうな表情をしてる

 俺は葵と何かあったのか……?




「いらっしゃい!」


「ついたよ!」


 地元の元気のあるスーパーってよりは八百屋なのか


「ありがとう」


「……ねね、LIMEしてる?」


「うん」


「交換しない?」


「いいよ」


「ありがと! ここら辺電波悪いけどLIMEぐらいだったらできると思うから笑」


 そうやって葵は笑顔で言ってくれた


「おっけー!じゃまた連絡するね!」


 足早に去っていく葵を横目に店内に入ってく





「重た……」


 買い物リストにあるもの全部買ったらこうなった


「あれ? 冷斗じゃね」


 今度は誰だ?


「久しぶりじゃねえか!」


「えっと……」


「忘れたのかよ! 俺らの友情はそんなもんか~」


「……名前なんだっけ?」


「俺は翔真!ほんとに覚えてないのかよ~」


「あぁ! な…何となく思い出したよ」


「ほんとか~?」


「それより、ちょっと持ってくれない?」


「人使いも荒いときたか!」


 とか言いつつ持ってくれるんだよな~

 あれ?なんで持ってくれるって思ったんだ?


「どうした?」


「いやなんでもない」


 考えすぎだ。優しい人なんていっぱいいるんだ。




「ここまでいいよ。ありがとな」


「おう! いいってことよ!」


「じゃまたね」


「あ、明日暇か?」


「特に予定は……」


「ほんじゃ俺の家集合してくれ! だいたい…昼頃で! じゃ!」


「あ……足早……」


 どこにあるのさ君の家は……


 ~ピロリン~

 スマホの通知音が鳴る

「そろそろ帰ってきなね」


 お母さんからだ


「葵じゃないのか……」


 俺は歩く足を速めた





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