親友の妹後輩が俺に滅茶苦茶ウザいだけのお話。
万和彁了
第1話 親友の妹はいつもウザい♡
俺には才能がない。だからこそ人の力を引き出すことができる。そう信じている。
『私を置いていかないでくださいprayer!あなただけが天に行くなんて駄目です!』
俺は今学校の体育館でやっているこの文化祭の有志の劇をプロデュースした。クラスメイトの中に隠れていたイラストレーター、小説家、音楽家、コスプレイヤー。その総力を結集して、シナリオ、舞台芸術、音楽、衣装を完成させた。そして作品は完全オリジナル。一応原作は俺だが、彼女たちの協力があってこそだ。タイトルを「Destiny: Fly Heaven」という。ヒロインの神霊シャマシュを俺の親友の妹が熱演している。
『ありがとうプレイヤー。またね……愛してる』
そしてヒロインのシャマシュが姿を消す。観客たちから拍手が大きくあがった。そして舞台が明るくなり、役者たちが勢ぞろいしてお礼をする。
『燐せんぱーい!来てくださいよー!みんな待ってますよー!』
舞台の上から主演の親友の妹が俺を呼ぶ。ウザいノリをやられてしまった。観客たちの笑顔が俺の方に向いている。恥ずかしい。だけど期待を裏切れない。俺はしぶしぶ舞台の上に上がる。そして親友の妹の横に立って一礼した。
「面白かった!」「すごかった!」「ありがとー!!」
所詮プロデューサーでしかないのに俺はみんなから祝福された。本当に頑張ったのクリエイターたちだ。すこし後ろめたかった。だけど誇り高い自分もいる。
「流石ですね先輩♡あたしを最高にプロデュースしてくれるのはやっぱり燐先輩だけ!」
親友の妹が俺に抱き着いてくる。ウザい。そして恥ずかしい。だけど今はこの心地よさに浸ってもいいと思ったんだ。
俺がパソコンで今日の文化祭の舞台の感想をSNSでチェックしていると、後ろから窓の開く音がした。
「せんぱーい!りんせんぱーい!なにしてるんですか?エッチな動画ですか?あたしもみていいですかぁ?きゃはは」
隣の家から親友の妹がウザい声を出しながら入ってきた。
「エッチな動画なんて見ないよ。俺は硬派なんだ、てか勝手に俺の家に入るなロハス」
「でもエッチなラノベいつも読んでるじゃないですか!?しってるぞー。あたしはしってるんだぞー。エッチな挿絵でページががびがびに!」
「がびがびにはしてない!はっ!?」
「うふーん♡でも出しちゃったんだぁ♡きゃーえっちぃ!」
「ぐぬぬ」
ロハスこと天野
「でも二次元とかでいいんですか?あたしえっちなぽーずくらいとってあげるよ♡」
「やめて身内で抜いたら次の日から目を合わせられなくなる!」
「へぇそうなんですか。じゃあやめて……やらない!あはーん!」
ロハスはキャミソールの紐を腕にずらして、胸の谷間を強調するポーズを取ってくる。そして谷間の間に自分の指をずぼずぼと上下する。
「ざーこ!ざーこ!先輩のういんなーざーこ♡」
「ざけんな!お前の指みたいに小さくも細くもねぇよ!」
「え?うそ?男の人のあれって指より大きいの?」
「当たり前だろうが!」
「まじかーこわ?!そんなのが入るのかーすげぇな女の子」
人体の不思議になんか勝手に感動するのやめて欲しい。こいつのウザさは本当にすごい。俺を煽ることにかけては天才的だ。
「てかなんのようよ?SNS対策とかか?」
「いや!違います!お祝いしましょう!兄貴から秘蔵のルートビアぶんどってきました!どうぞお納めください!へへぇ」
そう言ってルートビアを俺に差し出してくる。俺はそれを受け取った。
「そっかじゃあ乾杯するか」
「ええ!かんぱーい!」
「かんぱーい!」
カンが気持ちいい音を立てる。そして俺たちは今日の舞台の感想などを語り合った。これがいつもの日常だ。ウザいけど。可愛い後輩との日々である。
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