第5話 ブラックリリーの香水:モノサト
香料調達師としての旅が始まり、
今回はブラックリリー狩り。
伝説の架空の花とされているが、
実は栽培している村があるんだそうだ。
ブラックリリーは、開花した日にしか
香りを採取できない。
少し分けてもらうための外交として、
先輩のダイヤが他の香料を渡した。
ブラックリリーの開花まで
数日時間があるので、村の宿に泊まる。
その間に、こちらの言葉が
少し喋れる女の子と知り合いになった。
「あの男とは夫婦なの?」
「違うよ」
「恋人?」
「違うよ」
「そんなのありえないわ」
「なぜ?」
「一緒に旅をしていたら、同性の仲だってありえるでしょう?」
「はぁ!?」
驚いた僕の顔を見て、意外そうにする女子。
そのあと先輩のダイヤと対面して、
彼女はダイヤに向かって「べ」と舌を出した。
ブラックリリーが開花して、狩りの時間だ。
紫がかった黒い花弁に、
青い花粉、
香りはヨーグルトを思わせた。
指定された分だけ狩りをして、宿に戻る。
もうすっかり夜だというのに、例の彼女がいた。
「明日、帰るのね」
「うん」
「私、あなたに興味がある」
思わずぱちくりとしてしまった。
それを言われるまで、気づいていなかった。
僕は性自認について『クィア』だ。
「ごめん。僕は君のそういう意味の異性にはなれない」
彼女は、分かった家に帰る、と言って、
夜の暗闇に姿を消していった。
ダイヤと僕は恋人に見えるのだろうか?
なぜだか少し、気になった。
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