一緒にいようよ

都桜ゆう

一緒にいようよ

自室。女性への電話。

S.E 着信音

(電話越しの声)


「あ、こんばんは。いつも台本ありがとうね。

違う違う。今日はその話じゃないんだ」


「あのさ、次の土・日どっちか空いてないかと思って。

いや、ネット越の付き合いは長いけど、会ったこと無いなって思ってさ。良ければ、お昼くらい一緒にしてみたいな。なんて思ってるわけなんだけど、どうかな?」


「うん。リアルで話してみたいって、ずっと思ってたから」


「本当?じゃあ土曜日に。後で時間と場所、こっちの写メ送る感じでいい?

わかった。楽しみにしてるね」


電話を切る。

自室で写メ(S・E シャッター音)撮りながら、呟く。


「OK!第1関門突破!」


時間を意識して、しばらくの間。

土曜日。駅前広場的な待ち合わせ場所。

S・E人混みのざわつき。着信音。


「もしもし、今駅前広場のモニュメント横にいるよ。

今どこ?広場についた。写メだけでこっちわかりそう?

うん。…あ」


電話を切る。


「どうも。(笑)見つかって良かった。

一応、はじめましてだね。とりあえず、お昼しながら話しますか」


カフェ店内。食事中。

S・E食器のぶつかる音。人の話してる声など。

食事しながらの会話なので、時折食べてる感じで。


「初めてましてだけど、初めて会った気がしないね 、よく電話するから。

…でも、想像してたより可愛い。

(笑)お世辞じゃないって。いつもそういう服なの?」


「…なんだ。残念。俺の為に、可愛くしてきてくれたのかなって思ったんだけど、(笑)そうじゃないんだ」


「…え?変じゃないって。本当!むしろ可愛い!マジで。ガチで俺の好み。

今まで話してて良いなとは思ってたけど、会ってみてもっと良いと思った」


「…で、俺の印象どうだった?いつも話してる時と、違和感あったりする?

嫌な印象与えてなきゃ良いんだけど」


「本当!良かった。打ち合わせの時と芝居してる時しか、知らないだろうから…。今日は、芝居関係ない俺を知って欲しいな」


「…なんでって。(笑)あんな台本書いてるのに、もしかしてリアルでは鈍感?

これでも今日、デートに誘ってたつもりなんだけど?

もうずっと話してて良いなって思ったから、会ってみたくて。どっちかって言うと、好き。かなって」


「(笑)固まるし、赤いし、可愛いなー。

君、ただのランチ会かなんかに思ってたの?(笑)マジかー。ストレートに受け取ってたか」


「ああ、(笑)そんな、挙動不審にならなくても(苦笑)。

…結果騙したみたいになっちゃったけど、ごめんね。

今日は、俺を知って欲しくてデートに誘いました。

良かったら。だけど、お昼の後もお試しでいいから付き合ってもらえませんか?」


「良かった。断られなくて(笑)。お昼終わったらどこ行こうか?

映画…だと帰り遅くなるもんね。軽く買い物くらいにしとこうか」


「(笑)初対面の子を、遅くまで付き合わせる男じゃないよ。夜飲みとかは、好きになってもらえて、仲良くなってから。

友達なら夜飲みありだけどね。好きな子ならゆっくり関係深くしていきたいし、大切にしたいですから(笑)」


「(笑)なんで赤くなるかな。少しは脈ありって思っていいの?

え?当たり前でしょ。もう、君は友人の枠から外れてるから(笑)。大切にしたいと思ってますよ(笑)」


「(笑)ホント可愛いなー。

食べ終わったら、どこら辺で買い物する?もし行きたい所あるなら付き合うけど?」


「本。参考資料?台本の…。

本当に書くの好きなんだね。じゃあ、駅前でいいかな。

コレ、食べ終わらせて行こうか」


徐々にF・O。声も徐々に小さくしながらアドリブで。好きな食べ物や、趣味等の話を適当な長さで。

店を出る。

S・Eドアの閉まる音。


「はい」


「何って、お試しでしょ。手、繋ごう。ダメ?

(笑)そんな、畏まらなくても…。腕組むとかじゃないんだからさ」


手を繋ぐ。


「ん、じゃあ行こうか。まずは本屋ね。何買うの?」


「(笑)ちょっ…。何、そのリスト。買いすぎなんじゃないの?

全部台本の資料?そんなに資料いるんだ。

真剣だねー」


「へー。書くのが好きなんだ。

(笑)いや、ごめんね。目キラキラしてんだもん。そんなに好きなんだ。

…ふーん」


「いーえ。早目に見つけて、専属になってもらって良かったなーって」


「…だって、他の誰かのを書いて欲しくないし。

真剣だよ。

台本も考え方も、何より君の事が好きなんだから、他人に渡したいわけないじゃん」


「(笑)あんな甘々台本書いていながら。

(笑)慣れてなさすぎ。人にあんなに好き好き言わせてるくせにー。

演技とは別?

ふーん。少しは意識してくれてるのかな?」


女性にペシペシ(位置的に多分胸あたり)叩かれる。


「痛っ!ごめんて。もうからかわないから(笑)。

え?笑ってませんて。ホラ、危ないから前見て」


人にぶつかりそうになった女性を抱き寄せる。


「言わんこっちゃない。人多いんだから、気をつけないと」


肩をはなす。


「いいえ。どういたしまして(笑)。先急ごうか」


場面転換。

夕方、静かな公園。ベンチに腰掛けて一服中。


「あー、結構歩いたね。大丈夫?足痛くない?」


「荷物?良いよ、これくらい。女の子には重いでしょ」


「慣れてるって…。まさか、買う時いつも大量買いするの?1人で?

持ってくれる人は…、(女性の冷たい視線)はい、すいません。余計なことを聞きました(笑)」


不自然すぎる間。

女性の方を見る。


「ぶっちゃけ。さ、今日どうだった?

初対面だし答え出しづらいかもしんないけどさ、俺が本気なのだけはわかって欲しい。

台本見つけて、連絡して、沢山メールして電話して、…声、聞いて。

いつのまにか好きになってた?

(微笑)声聞きたくなったら、台本にかこつけて電話したりさ」


「言おうか言うまいか迷ったけど…。言わなきゃ後悔すると思って。

好き。なんだ。

誰にも渡したくないし、側にいて欲しい。

今日はっきりした答えが欲しいとは言わない。でも、こうやって思っている男がいる事は、覚えてて欲しい」


女性の肯定の返事。「私もずっと好きでした」系。


「(息を飲む感じ)え?本当に…!」


抱き締める。

耳元で。


「そっか。君も、俺の事…」


何度か軽いキス。


「ありがとう。好きだよ。

これからはずっと一緒にいよう。

ずっと、俺専用の台本書いてください。

その代わり、絶対君を泣かすような事はしないから。

辛い時とか話し聞くし、買い物も一緒に行こう。

色んな所行って、色んなもの見て。

君を守り続けるから」


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(C),2019 sakura.

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