第9話 2人からの告白

「僕ね、普段はこんな感じ。一応高校で教師してるから」


「成る程…」



俺以上に普段の姿が違う…

LUSHの時は10歳は若く見える…

確か大きめのピアスとかもしてたし…


「今日はね、エル君のライブ見に来ててさ。僕まだエル君の獲得諦めてないからね。ちょくちょく見に来てるんだよ?」


「わー!知らなかった。その姿なら絶対気付かない。」



「まあ、本当の名目は学校の巡回だったから。Bambiのメンバー、うちの生徒だから監視も混みでね。」


「ほー!助かりました。俺、喧嘩とか絶対無理だから。」


「僕も流石に喧嘩は無理だね。今回は権力を傘に威張らせてもらったかな?僕普段から口でやり込めてるタイプだからね。学校では生徒に嫌われてるね。今回は良い具合に使えた。」


「流石。リリックの教授。口では勝てないな、誰も。」


「まあ、僕も普段そんなだし身バレは困るから学校名はお互い秘密ね。」


「あー、俺バレてます?」


「学校まではわからないけどね。多分高校生だろうなってのはね」


「教授にはお見通しかあ。」


「まあ、普段から嫌って位学生相手にしてるからね。タバコは見つからない様にね」


「はーい、すみません。教授がウチの学校の先生じゃなくて良かった。」


「ははは、じゃあね。もう遅いから彼女ちゃんと送ってあげてね。」




そう言って教授は笑いながら帰って行った。





彼女ねえ…





「エル…山崎、ゴメン。迷惑かけた…」


「ホントだよー。俺ひ弱なんだから勘弁してよねー。」



「でも…助けてくれて嬉しかった。」


「うーん、まあ、どう致しまして。まあ、結局は教授が助けてくれたけどねー。」


「ううん。やっぱり私、山崎が好き。」


「へえ。やっぱり神崎さんって変わってるね?好きなのはエルでしょ?」


「本当だから!」


「何処が良いんだろ…鈍臭いし弱っちいし、おバカだし…良い所が自分でも分かんないけど。」



「そーゆー所、全部!山崎の時は分かってて隠してない所。私は見栄張ってダメな所隠してる…強いなって思う。そう言う所がカッコいいなって思う。」



うーん、確かに神崎さんって見た目派手で肉食ギャルだけど実は鈍臭いし、不器用だし、こんな所に1人でノコノコやってくるおバカだし…



「成る程なあ。俺達は似てるんだね。隠し事が有る所も…」


「そだね…あはは。最初はね、正直エルのファンだった。」


「うん。」


「まあ、見た目もカッコ良かったけどね、やっぱ歌が好きだった。声にもう、やられた。」


「うん。」


「実はバンドやる前のテックトックにアップしてた頃から追っかけしてたんだー。」


「そっか。」


「まあ、やっぱ色々噂聞いてたからさ。女関係の。」


「うん。」


「正直怖かったけど、ホテルまでついてっちゃって。やっぱバカだよねー私。」


「だねー。」


「でもね、エッチまで行かなくてさ、正直ホッとしてたんだあ。」


「うん。」


「でね、たまたま学校で山崎とすれ違った時にエルと同じ匂いしてさ。そこから山崎の事が気になって観察してた。」


「うん。」


「正直山崎は今まで全然眼中にも無かったけどさ、見てるうちにエルなんか忘れる位になっちゃった。」


「そう?」


「うん。別人みたいだけど…やっぱエルは山崎なんだよなあ。本質は。」


「そうかな?」


「うん、経験無い私には手を出さない。初めてを大事にしてくれてる。みんなが思ってるような軽い遊びするエルならそんな事しないと思う。」


「そっかー。やっぱ別人になるのは難しいなあ。」


「でも、山崎があんな無茶するなんて想像つかなかった。今日はまた知らない山崎を知れて良かった。あはは」




「そっか。」



「うん。」




この日は教授の言われた通りに神崎さんを駅まで送ってそのまま別れて帰った。

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