詩集
いず
『夜』
夜
川の黒い水面を緩やかな風が撫で
月明かりでできた白い鱗が靡いている
黒、黒、黒
光というものが存在しなければ
本来この世界の全ての姿であったであろう色
光さえなければ、存在し得る全てを飲み込んでしまう色
黒、黒、黒
真実なのか、偽りなのか、全てなのか、
何でも無いのか
全てを教えてくれるのか
全てを覆い隠してしまうのか
全であり、有であり、無であるのか
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