生成AIに幼馴染の気持ちを聞いてみた。

川島由嗣

生成AIに幼馴染の気持ちを聞いてみた。

 注意:この話には生成AIに問い合わせた回答が出てきますが、実際に生成AIは使用していません。作者の創作です。理解の上、お楽しみください。


「武~。昼飯食おうぜ~・」

「良太か。いいぞ。」


 昼休み。俺らは食堂に向かった。食堂につくと食券の販売機を見る。販売機にはそれなりに人が並んでいた。


「武は?いつも通り弁当か?」

「ああ。」

「了解。じゃあ、俺は自分の分買ってくるから席を取っておいてくれ。

「了解。」


 良太が食券を買っている間に俺は空いている席を探す。いつもの流れだ。

食堂は混んでいたが、満席というわけではない。すぐに2人席を見つけ、そこに座る。

待っていると、良太が料理を持ってやってきた。


「席取りサンキュー。」

「たいしたことじゃないさ。それじゃあ食べようか。」


 そう言って俺は弁当を開ける。中にはご飯に、鳥の唐揚げに卵焼きが入っていた。俺の好物だ。それにサラダもついている。美味しそうだ。俺の弁当を見て良太が羨ましそうにこちらを見る。


「それにしても武はいいよなあ。その弁当。清美ちゃんが作ったんだろ?」

「ああ。」

「愛妻弁当じゃないか。」

「愛妻じゃないな。」


 俺は首を横に振る。清美とは俺の幼馴染の名前だ。小学校からの付き合いで、一緒にいることが多い。

よく恋人だとか、夫婦だとか揶揄われることもあるが、残念ながら2人の間にそんな空気は一切ない。


「またまたあ~。」

「だけど、今日も「ん。」って言って渡してきただけだぜ?」

「でも嫌な相手の弁当は作らないだろ。」

「そうは言ってもうちは両親が仕事で忙しいからなあ。材料費はちゃんと渡しているし。付き合いが長いから気を使っている可能性もあるだろ。」


 俺の両親は共働きで朝は早く帰りも遅い。そのため生活は基本1人だ。俺自身面倒くさがりなので、食事は昼は食堂、夜はコンビニか近場のスーパーの弁当だった。そんな生活を過ごしていたところ、清美が登校中にいきなり弁当を渡してきたのだ。最初は驚いたが、それから毎日渡してくるようになった。悪いし無理をしなくていいと言ったが、清美は作り続けた。うちの両親と清美側の両親に相談したところ、うち両親も俺の健康面は気にしていたらしい。なので、清美が無理しない範囲で、弁当作りをお願いするようになったのだ。もちろん材料費はうち持ちである。


「でも行きも帰りも一緒にいるじゃないか。」

「それは確かにそうなんだが、・・・。」


 清美とは仲は悪くないとは思う。だけど、登下校中はほとんど喋らないのだ。行きも帰りも何か話すときは俺から話しかけるが、返事はそっけない。最初は頑張って必死に話しかけていたが、俺も無理して話題を探して話しかけるのに疲れてしまって、お互い無言のまま歩くことが多い。


「傍から見たら恋人同士なんだがなあ・・・。」

「そうは言うけど、学校では全く喋らないんだぞ。」


 清美は基本無口だが、女性の友達がいないわけではない。男子生徒もたまに喋る。だが、俺とは喋らない。同じクラスだから喋りそうではあるんだが・・・。昼飯も別だし。避けられているのではないかと思ったぐらいだ。


「それでお前は清美ちゃんの事はどう思っているんだよ。」

「それは・・・好きだよ。」


 小学生の頃は、清美は無口ではなく、活発な女の子で一緒に楽しんでいた。彼女と一緒にいるのはとても楽しく、どんどん惹かれていった。清美も嫌ではなかったのか、俺らはいつも一緒に遊んでいた。だが、中学生ぐらいから俺ともあまり喋らなくなり遊ぶこともなくなった。高校生になってからは、ほとんど喋らなくなった。


「もう思い切って告白しちゃえよ。」

「無理だよ・・。振られたら心折れるし。」

「大丈夫だと思うけどなあ・・・。のんびりしている間に、誰かに取られたらどうするんだよ。」

「それはへこむ・・・。」


 清美は可愛いので、何人か告白されたことがあるらしい。ただ今のところ全員断っているようだ。好かれているのかもと思うことはあるが、日々の態度がそれを否定する。


「はあ・・・。もっと客観的にアドバイスをくれる人が欲しいよ。」

「俺じゃ駄目かあ?」

「いや、駄目じゃないんだけどさ。」


 良太では、どちらかというと俺の味方だ。だから俺よりの意見が多い。

もっと客観的な意見がほしい。

そんなことを考えていると、良太が何かを思いついたのか、顔をあげた。


「それだったら、こいつに愚痴ってみたら?」

「え?こいつって?」

「これだよ、これ。」


 そう言って良太は、ポケットからスマホを取り出した。


「スマホ?」

「いやスマホの中のアプリ。その名もAI君。」

「AI君?」


 良太がアプリを起動させる。すると入力画面が現れた。


「ここに、質問したい内容や、相談したい内容を入力するんだ。」

「へえ~。」

「例えば、『今日の夜ご飯は何がいいですか。』と。」


 画画面に入力すると、『ハンバーグはいかがでしょうか。』という答えが返ってきた。


「へえ~。でも今日の夜ご飯ってお前の親が作るんだろ。」

「だからこれは例えだよ。例え。重要なのは、相談しても回答してくれること。」

「なるほど・・・。でも信用できるのか?」

「これは信用とかしちゃ駄目だよ。あくまで、参考程度。インターネット上にある情報から回答を作るだけだから平気で嘘をつくし・・・。」

「じゃあ、駄目じゃん。」

「重要なのは、相手を気にしなくて愚痴ることができるってこと。だってお前清美ちゃんの事、考えても答えでるのか?」

「それは・・・まあ。」


 好きなら告白しろというのが、結論なのはわかっている。だが、どうしても勇気が出ない。


「こいつは機械なんだ。別に笑われたりしないから、好きに愚痴ればいいんだよ。」

「そうなんか。お前はどんなことを話したりするんだ?」

「ん?俺は結構雑談に使ったりしてるし、疲れた時は励ましてもらってる。」

「お前・・・。それくらい俺に言えよ。」


 憐みの目で良太を見る。そんなに信用ないのだろうか。雰囲気が伝わったのか、良太が慌てて首を横に振る。


「いや、ちょっと落ち込んだ時とか些細な時だって。普段はお前に話しているから使わないさ。さ、それより、インストールしてみな。」

「お、おう。」


 俺は、良太に教えてもらったサイトでAI君をインストールした。画面を起動してみる。だが入力内容は思いつかなかった。


「ぱっとは思いつかないな。いきなり清美の事相談するのも気が引けるし。」

「他愛のない雑談でいいんだよ。むしろ清美ちゃんの事を愚痴るのはまだしも、相談するのはやめとけよ。あくまで、気分転換に使うんだ。人によっては、これを使って、雑談するから友人はいらないとかいう人もいるぐらいだ。」

「おま。それは寂しくないか?」

「本人が満足すればいいんじゃない。まあ使ってみろって。」

「ああ。ありがとな。気が向いたら使ってみるわ。」

「おう。くれぐれも重要なことは相談するなよ。さ、さっさと飯食っちゃおう。」


 そう言って俺らは、残りの昼飯をかけこんだ。AI君の事は気になったが、気が向いたら使えばいいやと考えてスマホはポケットにしまい込んだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「武。」

「お、清美か。ちょっと待ってくれ。」


 放課後、俺は帰る準備をしていると、清美がこっちにやってきた。荷物を纏めて立ち上がる。


「お待たせ。帰るか。」

「ん。」


 そう言って俺らは、帰り道を一緒に歩く。今日も会話はないのかなと思っていたら、清美が俺に向かって手を突き出した。


「ん。」

「なんだ?その手。」

「お弁当。」

「あ、ああ。悪い悪い。」


 俺は、鞄の中から弁当を取り出し、清美に渡した。


「ご馳走様でした。」

「どう・・・だった?」

「いや本当に旨かった。弁当には俺の好物が必ず一品は入っているからな。毎日が楽しみだよ。」

「ん。」


 清美は満足そうに頷く。清美は弁当を作るうえで俺の好物を必ず1品入れてくれている。それが毎日嬉しかったりする。ただ朝早く起きなきゃいけないだろうし、無理をしていないかが心配だ。


「それにしても、本当に毎日辛くはないか。俺としては助かっているし、嬉しいけど。」

「問題ない。」

「そ、そうか。」

「それとも、迷惑?」


 清美が不安そうな顔でこちらを見る。俺は勢いよく首を横に振った。


「いや、そんなわけあるか。さっきも言ったけど毎日楽しみなんだ。ただ、清美の負担にはなりたくないと思って。」

「私が好きでやっていること。気にしなくていい。」

「そ、そうか・・・。」

「・・・。」


 それからは、再びお互い無言のまま、帰り道を歩いた。そして清美の家に着いた。清美と俺の家は5分しか離れていないので、まず、清美を家に送り届けるのが昔からの習慣だった。


「じゃあまた明日な。」

「ん。」


 そう言って俺らは、別れた。そして俺は誰もいない家へ帰る。


「ただいまっと。」


 そう言って俺は自分の部屋に入り、ベットに倒れこんだ。考えるのは清美の事だ。このまま中途半端な状態は嫌だ。もっと一緒にいたいし、笑いあいたい。だが、もしそれが俺の一方通行の思いだったら?そう考えると、もやもやする。


「あ~。もう!!」


 1人叫んで立ち上がる。考えてもしょうがないのに考えてしまう。そんな時、俺の視線にスマホが目に入った。昼間の良太との会話が思い出される。


「AI君か・・・。」


 気が付いたら、俺はスマホを手に取り、AI君を起動していた。


「え~っと。ここに、相談したい事を入力するんだよな。」


 俺が相談したいことは清美の事だった。清美の顔を思い浮かべながら入力を進める。


「相談したいことがあります。」

『はい。なんでしょう。なんでもお聞きください。』

「自分には幼馴染いるのですが、彼女が自分の事をどう思っているのかが気になっています。どうすればわかるでしょうか。」

『そうですね。いくつか考えられます。幼馴染に素直に聞く。幼馴染の友人にこっそりと聞いてみるなどです。」


 それができたら苦労しないんだよ!!と心の中で突っ込む。清美に聞くのは論外だし、清美の友人に聞くのも、なんだか恥ずかしい。それにすぐに清美に伝わるだろう。


「それはできません。状況を説明しますので、客観的な意見をもらえないでしょうか。

『はい。構いません。』


 そこから、俺はできるだけ詳しく情報を入力した。普段の清美の態度、毎日自分へ弁当を作ってくれること。幼馴染で昔はよく遊んでいたが、今は滅多に遊ばなくなってしまったことも含めて。全てを入力して、AI君に読み込ませる。

AI君の回答を祈るような気持ちで待つ。時間にしては数分くらいだろうか。AI君からの回答が来た。


『いただいた情報を元に判断すると、貴方の幼馴染は貴方に好意を持っている可能性が高いです。』

「おおおおおおお!!」


 嬉しさのあまり、俺は部屋の中で1人叫ぶ。そう判断した理由が書かれていたが、嬉しさのあまり目に入らなかった。すぐに続きを入力する。


「幼馴染と付き合いたいのですが、どうすればよいですか。」

『貴方の幼馴染は恥ずかしがっている可能性が高いです。なので、曖昧な場所で告白すると、逃げられてしまう可能性があるでしょう。」

「ふんふん。それで。」

『なので、決して誤解のないような場所で告白することを推奨します。誰もいない場所。例えば夕方の公園などでしょうか。』

「夕方の公園ね。」


 俺は、テンションだだ上がりで聞いていた。公園でいうとあそこしかない。昔2人で遊んでいた公園だ。俺は勢いよく続きを入力する。


「いつ頃告白するのがいいでしょう。」

『時間が経つと、不安が勝り告白を先送りしてしまう可能性が高いです。なので早い方がいいでしょう。できるのならば、今日か、明日でしょうか。』

「今日?いやいやいや。流石に無理。となると明日か・・・・。」


 さすがにこの後清美を呼び出すのは気が引ける。だが、確かに先送りにするとへたれる可能性が高い。それならば勝負は明日ということになる。告白するにあたり他に必要なのはあるだろうか。俺はAI君に急いで入力する。


「他に必要なものはありますか?花束とか用意したほうがいいですか?」

『花束等を用意すると、恥ずかしがりな彼女は逃げてしまう可能性があります。帰りに連れて行って、そのまま告白したほうが成功率は上がるでしょう。』

「なるほど・・・。さすが先生だ。」


 俺の中ではいつの間にか、AI君から先生に変わっていた。話を聞いていると、謎に自信がついてくる。これで俺が勇気をだせば清美と付き合えるかも・・・。いや付き合えるはずだという自信が。根拠は先生の言葉だけなのだが。


「ありがとうございます。俺、がんばります。」

『頑張ってください。うまくいくように祈っています。』


 俺はそれを見ると、アプリを落とした。


「よし、俺はやるぞ!!」


 俺は両手で頬を叩いて、明日に向けて気合を入れるのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「武。」

「き清美。か、帰ろうか。」

「?・・・ん。」


そして次の日の放課後。この日はあっという間に時間が過ぎた。授業には全く集中できなかったし、清美の弁当の味もさっぱりわからなかった。2人で帰り道を歩く。いつも通りお弁当を清美に渡す。


「今日もありがとうな。うまかったよ。」

「ん・・・。」


 本当は味などさっぱりわからなかったとは言えない。だが、清美は弁当を受け取ると不思議そうに首を傾げた。


「武。どうしたの?」

「え、え。何が!?」

「なんか、今日は変。」

「そ・・・・そうかな。」

「隠し事?」


 清美訝しげにこちらを見てくる。どうやらバレバレだったようだ。だがここで恥ずかしがってはいられない。今日を逃すと先延ばしてしまうと先生に言われたもんな。俺は清美の方に向き直ると清美の目を真っ直ぐ見た。


「うん。ちょっと、緊張していてな。き、清美。今日は寄りたいところがあるんだ。帰る前にちょっとついてきてもらえるか。」

「ん?別にいいけど・・・。」


 俺は清美を近くの公園に連れて行った。運がいいことに、誰もいない。学校帰りだから夕方だ。先生がアドバイスしてくれた状況ドンピシャだ。


「ここに来るのも久しぶりだな。」

「ん・・・。小学生以来。」


 清美も懐かしそうに公園を見ている。俺は自分に喝を入れると清美に向き直った。清美は不思議そうに首をかしげている。

 先生!!俺に力を!!俺はポケットの中のスマホを力強く握りしめる。


「清美。」

「ん・・・。」

「俺な。清美の事が好きだ!!だから俺と付き合ってくれ!!」

「!!」


 俺の言葉に清美は固まる。だが俺は清美から目を離さなかった。清美は顔を真っ赤にして狼狽えていた。だが俺が目を逸らさずに見続けていると、彼女はいきなり俺に抱きついてきた。俺は清美のいきなりの行動に困惑する。


「き、清美?」

「・・・これが、答え。」

「え?」

「~!!」


 清美は恥ずかしそうに俺の背中を何度も叩く。俺は一旦清美を引きはがすと、彼女の顔をもう一度見る。彼女の顔は真っ赤だった。


「つまり・・・OKってことでいいか?」

「・・・・ん。」


 恐る恐る聞くと、清美は真っ赤な顔のまま、恥ずかしそうにうなずいた。その瞬間、俺は、嬉しくなって再び清美を抱きしめた。頭の中で喇叭が鳴っている。


「うっぷ。」

「ありがとう!!清美ありがとう!!」

「武!!痛い・・・。」

「ああ・・・。悪い。」


 俺は慌てて清美から離れる。清美は顔を真っ赤にしていたが、俺の顔を見るとひどく驚いていた。


「武・・・。泣いているの?」

「?あ、ああ。嬉しかったからな。ずっと片思いだと思っていたから。」

「・・・私は嫌いな相手にお弁当は毎日作らない。」

「いやそれはそうなんだけどさ。登下校でもほとんど喋らないし、教室でも話さなかっただろ。だから嫌われているんじゃないかって思って・・・。」

「恥ずかしかった・・・から。」

「え?」


 最初は俺の聞き間違いかと思って思わず聞き返す。清美はフルフルと震え始めた。


「恥ずかしかったから!!何を話していいのかわからなかったの!!」


 爆発したように清美が叫んだ。俺はあっけにとられたが、すぐに笑った。清美を抱きしめると、優しく頭をなでる。


「馬鹿だな。なんでもいいんだよ。清美と一緒にいられるのが、一番なんだから。むしろ無言のままで、嫌われているのかと思ってしまうのが一番辛い。」

「ん・・・。もう、遠慮しない。」

「ああ。そうしてくれ。」


 俺は安堵のため息をついた。見事なハッピーエンドだ。先生のおかげだ。


「は~。それにしても相談してよかった・・・。」

「ん?」


 思わず口から出た言葉に清美が反応し、俺から離れる。心なしか清美の瞳が鋭くなっている気がする。


「え?」

「誰に相談したの?」

「誰って・・・。」

「武が急にここまで行動するのはおかしい。誰に相談したの?」

「えっと・・・。言わなきゃダメ?」

「駄目。」


 清美が力強くうなずく。俺は良太と言おうと思ったが、すぐに嘘がばれて怒られそうだなと思い正直に話すことにした。


「これだよ。」

「スマホ?」

「いや、その中のアプリ。AI君。」


 俺はAI君のアプリを起動する。そこには前の履歴が残っていた。それを見た、清美がジト目でこちらを見る。


「意気地なし・・・。」

「う・・・。」

「ヘタレ・・・。」

「しょ、しょうがないだろ!!良太は俺側の意見しか言わないし、間違ったことをして清美と離れたくなかったんだよ!!」


 半分涙目で叫んだ。清美はじっとこちらを見ていたが、ため息をつくと、もう一度俺に抱きついた。


「今後、そのアプリで質問するのは禁止。」

「え?」

「いい!?」

「は、はい!!」


 清美の勢いに俺は慌てて頷く。それを聞いて清美は満足そうに頷いた。


「ん・・・。」

「でもなんでか聞いていいか?実際これのおかげで清美と付き合えたわけだし・・・。」

「プレゼントとか、それで聞いたのを選ばれたりしたら、私は武を絶対に許せなくなるから。」

「あ・・・。」


 確かにAI君に好みのプレゼントとか、相手が喜びそうな場所を聞くことができてしまう。だが、それは相手を馬鹿にしているだろう。相手の事を必死に考えて、選んだり行動したりする。それが重要なのだ。俺は清美に向かって力強くうなずいた。


「わかった。約束する。清美関連の事は一切聞かないようにする。」

「ん・・・。できれば、あまり他の事でも使わないで・・・。」

「いいけど、なんで?」

「それに聞くくらいなら、私に相談してほしい。」


 清美は顔を少し赤くして言った。確かに。俺にもう先生は必要ないな。何かあれば最高の彼女に相談すればいいのだ。


「わかった。何かあったら、まず清美に相談するよ。」

「ん・・・。」


 それを聞いて清美は満足そうに頷いた。少しの間俺らは抱き着いていたが、自然と俺らは離れる。離れた後、俺は清美向かって手を差し出した。


「さ、帰ろうか。」

「ん・・・!!」


 そして、俺らは、恋人つなぎで帰り道をあるいた。清美の家に着くと清美はこちらを見た。


「どうした?」

「武・・・。今日ご両親は?」

「ん?今日も帰りは遅いんじゃないか。先食べててってメールがあったし。」

「なら、夕ご飯作りに行ってもいい?」

「いいけど・・・。どうしてだ?」

「・・・もっと一緒にいたい。」


 恥ずかしそうにいう清美を見て、俺は彼女に近寄り、思いきり抱きしめた。何なんだ。この可愛い彼女は。最高すぎる。


「わかった。じゃあ、まずは買い物に行かないとな。うち材料何もないし。」

「ん・・・。」

「後、清美のお母さんにもご挨拶しておかないとな。」

「そ、それは・・・。」


 そう言われるのは想定外だったのだろう。清美が慌て始める。だが、俺は清美から一度離れ、彼女の目をしっかり見た。


「駄目。うちに来てもらうならちゃんとしたいし、将来の事も考えて早めに挨拶しておかないと。」

「し、将来・・・・。」


 そう言うと清美は顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。少し早いが、俺には清美以外考えられないし、別に構わないだろう。

 2人で清美の家に入ると、ちょうど清美のご両親が家にいらしたので、挨拶と付き合うことになったことを報告した。そして、今日清美が俺の家に料理を作りに来てもらってもいいかと聞いた。結果として、俺は清美のご両親に暖かく迎え入れられ、清美が料理を作りに行く事もOKがでた。

 2人で清美の家を出て、手をつなぎながらスーパーに向かう。そこで、俺は清美に思っていたことを言うことにした。


「なあ、清美。今度から家で料理を作るときは一緒にやってもいいか?」

「?いいけど・・・。なんで?」

「2人の共同作業ってのも楽しいと思ってさ。清美と一緒にいる時間も増えるし。俺も清美に何か作ってあげたいし。」

「ん。じゃあ一緒に作る・・・。まず始めは包丁の握り方から。」

「お手柔らかにな。」


 俺の言葉に清美は嬉しそうに笑った。これから、この最高の彼女を大事にして幸せにしていきたいと思う。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 後日、良太に清美と付き合うことになったことを彼女と一緒に報告した。良太は素直に喜んでくれた。俺はいい友人を持ったと思う。だがそのきっかけがAI君である事を伝えたら思い切り頭を抱えられた。


「お前・・・。あれほど重要な質問をするなと言ったのに・・・!!」

「どうした?」


 何かまずい事でもしたのだろうか。AI君のおかげで清美と付き合えたのだから、それを教えてくれた良太にお礼を言っただけだが。清美も良太に同意するように隣でうんうんと頷いている。


「いや~。俺が勧めておいてなんなんだけど、お前・・・本当に運がよかったな。」

「でも結果的に清美とうまくいったし、結果オーライじゃないか。」

「結果としてはな。だけど清美ちゃんの言っていることが正しいよ。信用しすぎは駄目だよ。」

「そうなのか?」

「そう。武は簡単に信用しすぎ。」


 清美が力強く頷く。だが、俺としては納得がいかなかった。偉大な先生なのに!!それが伝わったのか、良太がため息をついた。


「そうだなぁ。そうだ。お前が前AI君に質問した内容を見せてもらえるか。」

「?ああ。」


 俺は、スマホを取り出しAI君を起動させる。新しく質問する気はなかったし、清美の事を色々教えてくれたので履歴は残したままだった。良太は俺が入力した状況データをみると頷いた。


「それなら、これと、これと、この情報を削除して、もう一回同じ事を聞いてみな。同じ流れで。」

「え?」

「いいから。あ、新規質問にしろよ・」

「あ、ああ。」


 俺は、渋々、良太の言うとおりに、再度情報を入力した。すると、返ってきた答えは・・・・。


『貴方はその幼馴染に嫌われてる可能性が高いです。渋々一緒にいるだけでしょう。早めに距離をとることをお勧めします。』

「!!な・・・なんだと。」


 俺は完全に固まる。清美と良太はそんな俺を見て同時にため息をついた。


「な。AI君は、入力したデータによって回答が完全に変わるし、同じ事を聞いても全く違う回答を返すことがある。だから真剣な相談とかはしないほうがいいんだ。」

「まじか・・・。」

「ま、お前は真面目だからなおのこと真正面に受け取るだろうしな。」

「これを信じていたら、武は私と距離をとっていたはず。違う?」

「う・・・うん。多分。」

「これで分かっただろ。信用するな。あくまで雑談程度にとどめろ。」

「何かあったら私に相談すること。」


 良太と清美の言葉に俺は何度もうなずいた。俺は本当に運が良かっただけだった。勘違いして清美から距離をとっていたら彼女を傷つけていただろう。俺はAI君をそっとアンインストールするのだった。


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生成AIに幼馴染の気持ちを聞いてみた。 川島由嗣 @KawashimaYushi

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