この愛が壊れる日を、僕はまだ知らない
- ★★★ Excellent!!!
冬の古都、イルミネーションの下。
人々が行き交う雑踏の中で、
彼女と僕は確かに愛し合っていた。
甘く香るフローラル、緑の瞳、
彼女が微笑んだだけで、世界は優しく見えた。
アプリで出会った「高嶺の花」の彼女。
僕はただの大学生、彼女は別世界の住人のようだった。
だけど、出会ったその日に手を繋ぎ、
心も身体も、彼女にすべてを許した。
彼女の部屋で過ごす週末。
静かな山あい、森のようなアロマの香り。
隣に眠る彼女の体温だけが、
何者でもない自分を、確かに肯定してくれた。
そう信じていた。
この愛が、永遠に続いていくと。
けれど――あのキスが、「最後」になるとは知らなかった。
これは、
愛されたのか、囚われたのか――
その答えを残して消えた恋の物語。