よくもまあ食い合わせの悪いものを、どちらの魅力も損なわずに、それどころか相乗効果的に面白く仕上げたものですねえ。キャラクターも魅力的ですし、もうエンタメとしてめちゃくちゃレベルが高くて、作者様の並々ならぬ力量を見せつけられました。
作者様のペンネームにも「本格ミステリ&頭脳戦」とございますとおり、水も漏らさぬロジック構築に並々ならぬ愛と情熱を注いでおられます。読者はその奔流を存分に浴びて、各勢力の頭脳戦を楽しむもよし、自ら謎解きに挑戦するもよしと、如何様にも楽しめます。「読者への挑戦」が設けられており、開示された情報から論理的に唯一解に到達することが可能です。わたしも挑戦し見事にハズレでしたが、明かされた真相に一切の不満なし! 完璧なフェアネスでした。ぜひ皆さんも挑戦してみてください。ただし超難問ですが……。
作者様が掲げる看板に恥じぬ超力作です。長編ですが読んで損なし。ミステリ好き、頭脳戦好きは読まないとむしろ損ですよ。
桜園家の令嬢を盗み出すという依頼を受けた謎の怪盗アンノウン、彼の盗みを阻止しようとする桜園家当主たち、幸運をもたらす石を手に入れようとする犯罪組織。
それぞれの思惑が絡み合い、誰が何を考えているのか、どこまでが作戦通りでどこからが想定外なのか、驚きが続く圧巻の頭脳戦が繰り広げられます。
人間模様やバトルシーンなどが充実したストーリー自体も面白いので、ちりばめられた謎解きの手掛かりはほとんど見逃してしまっていましたが、しっかりと考えながら読めば投げかけられた謎の真相にたどり着くことができます。
読者参加型のミステリーとしてもバトルファンタジーとしても楽しめるので、ぜひ多くの方に読んでほしい作品です。
葉月めまいさんの本格推理長編です!
はい、100%必読。以上!
――で終わってもいいのですが、僕の本作に対する愛をここに書き記していきたいと思います。要するにラブコールですね(?)。
本作は、
①怪盗アンノウンをはじめとするアンノウン一味
②統治者・王(キング)をはじめとする兵隊(ソルジャーズ)
③令嬢・由名を抱える桜園家とそれを支える礼具家
――の3陣営が三つ巴の戦いを繰り広げる異能力バトルアクション群像劇です。異能でただ戦うだけでなく、それぞれが持ちうる知能をフル活用。
途中からはさらに複雑さを増していき、もはや三つ巴ですら済まなくなっていきます。
「異能力バトルアクション群像劇」なんて本格ミステリに最もしにくい部類のひとつだと思います。そこにあえて挑戦されるという姿勢がまず尊敬に値します。
そして肝心の本格ミステリ部分ですが、もう言葉が出ないほどに作り込まれています。作者の頭の中どうなってんだ、という話です。
論理に論理を積み重ねていった結果導かれる驚くべき真相。とてつもなく複雑な事件構造にも関わらず、論理の手掛かりは徹底的にフェアに配置されており、読者が解くことも理論上可能です(なお、難しすぎて不可能です)。
プロの作品でもここまで緻密なものはめったにお目にかかれないと思います。
また「論理パズル」の部分以外で本格ミステリに必要なものは「ストーリー」ですよね。本作はこちらも群を抜いた出来であると断言できます。
まずもってキャラクターが良すぎます。
他者に触れることで「憑依」する異能を持つ怪盗アンノウンは、自由と混沌と美をこよなく愛する人物。彼を主とする少女フィデリスと少年バステトも、非常に個性的かつ魅力的なキャラクターとなっています。
そして本作の凄いところは魅力的なキャラがアンノウン一味に留まらないところです。兵隊(ソルジャーズ)一味も桜園家も礼具家も、それぞれ「自分の守りたいもの」があり、それを守るためなら知力の限りを尽くす強い信念の持ち主たちです。
アクション部分も「考えうる限り最高の手段」と思われるものを全ての陣営が綿密に画策し、混迷を極めていきます。「これ以上は無理だろ」を常に更新し続けるような凄まじい展開です。
PHASE Ⅱあたりからはどのエピソードでも常に謎が生まれるか謎が解かれるかしていきます。変化し続ける物語にグイグイと惹き込まれることでしょう。
こんなに「傍点」が大量に使われる作品、なかなかないと思います。噛めば噛むほど味がするストーリーで、読み応え満点です。
文章もいつものことながら非常に読みやすく、リーダビリティーも文句なし。
あらゆる項目において非の打ち所がありません。お世辞ではなく、本気でそう思えます。
これが本になってほしいと切に思います。
「論理」を愛する本格ミステリ読者の方々、是非とも本作をお読みください! 流動する物語と徹底的なロジックに圧倒されること100%保証!!!