異世界武田物語
@kasugamasatuki
第1話突然見知らぬ世界へと
それは唐突過ぎる出来事であった。
いつものように俺はバイトに向かおうと玄関のドアを開けた瞬間謎の光に包まれてしまい気がついたら中世の王宮のような場所にいたのだ。
周囲を見渡すと俺以外にもこの王宮に連れてこられた人達もいた。人数にしてた数十人ぐらいであるがみんな年齢的には二、三十代ぐらいの人がこの場所に連れてこられたのだろう。
いきなりの出来事に状況が理解が追いつかなくてもある程度冷静で自分達が手に持っているスマホで連絡手段やマップ機能で現在地を確認する、その顔からは無表情で「これも何かの演出の違いか迷惑な企画に巻き込まれたのだろう」という思いが大半なのかも知れない。
少なからず冷静さを装いつつも俺達はスマホという身近にある、「確実に情報を与えてくれる」物に心の拠り所にするしか無く、この状況がバカげている演出であるならばいち早く責任者に連絡をとり茶番を終わらせる事ができると少なくとも誰もが思っていたのだろうと思うと俺は思っていた。
今の時代ネットに批判的な事を書き込んでしまえば一瞬に社会問題にまで発展してしまうほどにデジタル社会が主になりはじめている。炎上になってしまえば企業としてや企画の責任者にとってはとてつもない損害になる為にすぐに動いてくれるだろうと予想はできたのだが、みるみる冷静さを装っていた仮面がすぐに崩れていく。
そもそもスマホが繋がらない、その為に調べることもできず家族に連絡を取る事ができない。
焦りが募るばかりで正常な判断ができず一人の大学生ぐらいの男が震える振り絞るように呟く。
「俺達は一体どうなるんだ?人質なのか?」
ポツリと呟いたその言葉は一気にマイナス方向への考えへと変えていき軽くパニック状態になりつつある。無論彼の言葉が悪いわけではない唯彼がいた場所が集団の真ん中であった為に不安を助長させる言葉が感染症の様に一気に周りから感染者を増やしてしまう結果へと繋がってしまう。これが彼が隅っこぐらいにいればここまで一気に広がる事はなかったのかも知れない。
さて、彼の何気ない一言を感情的に受け取ってしまった人達は一目散にこの場所から離れようと王宮から外に出るための唯一の扉へワラワラと我先へと向かっていく。
彼等が扉へと手がかかりそうなところでギィと王宮の厳かな扉がゆっくりと開く音がした。
扉が開いたことにより、ワラワラと向かっていた人々は冷静さを取り戻しその場に立ち尽くしてしまう何人かの血の気が多いのは身構えながらジリジリと距離を取り始めている。
扉が開き切るまでの間に緊張が走る中、皆んなが扉に視線を向けるなか、俺はここに連れてこられたであろう人達の中で一際違和感を放つ人がいる事に気が付く。
一人は、昔の日本でよくみられたであろう袴姿の中年の男性ともう一人は何故今まで気が付かなかったのだろうと思うほどに目立つ赤い鎧をつけている男性が二人して睨み合っている事に…。
この場にいた誰もが気がついていなかったというのは流石に無いと思うが誰も指摘もしなかったのは関わりたくなかったのだろうと思うのと仮にこれがコスプレだとしても雰囲気からしてそんな軽い感じはしなかった。
彼等に対する疑問よりも先に扉の方で動きがあった。
ゾロゾロと白銀の鎧をつけた中世の騎士達が数十名程左右に展開し扉の近くにいた人に対して下がるように身振り手振りで伝えてくる。
身構えていた男達や扉の近くにいた人達も素直に従うがもちろん不安はあるが先程までよりかは精神的に余裕がある。
俺も素直に従い、集団の輪から離れていた場所へと向かうその中で袴姿の中年と赤い鎧武者のコスプレした二人が何やら話していた。
「お前はどう思う?奴等は何者かわかるか?」
「いんやぁ…流石に俺もわからんが…甲冑の作りからにして南蛮の鎧に近いと見るがな。しかしあんなにガチガチに固められちゃ槍や刀で倒せるかどうかわからんなぁ」
厳かな言い方をするよろい武者に対して袴姿の男は少し人を食ったような話し方と試すような視線を武者に向けながら話す。
「それに俺達と同じ言葉を使うかどうかさえわからんし…さっきの兵士の対応からしてこちらに危害を加える気は無いというよりかはちと違うかもしれん」
「違う」という言葉に俺と鎧武者は顔をしかめてしまう、無論近くにいて嫌でも会話が入ってきた周りのもの達も同じ顔をしていた。
「なんだぁ、お前達も難しい顔しおってまぁすぐにでもわかるだろうさ」
周囲にいた人達の顔を見渡してから袴姿の男はニヤリと笑みを浮かべながら扉の方に視線を移していた。まるで誰がくるのかわかっているかのようであった。
そこまで間をおかずに一人の王冠を被った老人が入ってきた左右には長い杖を携えた男ファンタジーの世界でいうなら魔術師の格好をしたのを伴って王宮の間にある玉座へと向かっていく。
同時に左右にいた騎士達も王の歩みに合わせてゆっくりと跪く。
そしてゆっくりと王が玉座に座ると共に横にいた杖を持っていた男が一歩前に出る。
「其方達の言葉はこれであっているかな?」
中世の魔術師の服装の男から聞き馴染んだ日本語が聞こえてきて約二名以外はポカンと彼の言葉を聞いていた。まだ状況を何かのイベントだと思っているもの達が多く「何当たりまえの事を聞いているんだろう」と思っているのが大半であった。
その中で二名だけ反応が違ったのは二人の戦国時代にでもいるようなコスプレ姿の二人であった。
彼等は値踏みをするかのように魔術師の男を睨んでいたからだ。
そんな二人の視線に気づいた魔術師風の男は少しイラついた表情を見せすぐに俺達へと視線を移し替えるのだが先程の無反応な反応を見ている為か少なからずこちらを見下しているか露骨に態度を変えある事実を俺達に告げる。
「貴様達は…この状況理解していないであろうが簡潔に告げる。ここはまぁ正式名称はナッハコメン朝ゴルド王国、いわゆる貴様達でいうところの異世界でありお前達は私達が召喚したいわゆる異世界人なのだ!」
魔術師の男が言い終わると同時に杖を振りかざすと何も無い場所から地面が抉られ少しずつ何かの形を成していきそれがゴーレムである事に気づくのが遅れてしまう。そして一人でに歩くところを見せられどうやら本当に異世界にきたという事に説得力がましてしまう。
だがそれだけで話は終わらず各々がこの状況を理解しようとし始めた時にさらに畳み掛けるように彼はこう言い放つ。
「呼んだ理由は他でも無いこの王国を救ってもらいたいのだ。勇者として」
あまりにも手前勝手な言葉に誰もが言葉を失ってしまう中、あの二人だけは何故か笑っていたのだ。
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