デート……?
帰りの会。
「よし、じゃあ席替え始めるぞ」
先生が大きな声でクラス中に言うと、クラスは大盛り上がりした。
私も内心はドキドキだ、凛や胡桃と近くになれたら、もっと仲良くなれるし。
先生が、くじの入った箱を持ってくる。
「じゃあ、出席番号順に引いていいぞ」
出席番号順にいろいろな人が引いてついに凛の番が来た。
「……31番」
「えー私の斜め後ろだよ!」
凛が引いたのは一番後ろの席で、偶然胡桃が斜め前にいる席だった。
いいなー、私も近くがいいんだけど。
そんなことを考えていると、私の番が来た。
「じゃあ、次は七瀬!」
「あ、はい!」
慌てて教卓の上にある、割り箸がたくさん入っている箱の中から、一本だけ引く。
割り箸を見ると、30番だった。
教室の一番後ろ、窓側ってことは――
「え、唯じゃん! 後ろなの?」
「そうみたいだね」
胡桃の後ろの席ということだ。そして、横には――
「唯ちゃん、隣だね」
「だねー!」
凛がいる! やった、こんな楽しい席初めてだ。
凛も嬉しそうに微笑んでいる。
全員が引き終わって、席替えが終わった。
「じゃあ、新しい席に移動しろー」
先生の声で、みんなが移動し始める。
私は30番の席に向かう。窓側の一番後ろ、。
そして、隣の席に凛が座った。
「よろしくね、唯ちゃん」
凛が小さく微笑む。
「うん。よろしく、凛」
そして前の席に、胡桃が荷物を置いて、私たちのほうを振り返る。
「おー! なんか最高の席だね!」
「そうだねー!」
「……うん」
凛もみんなと近くて嬉しいのか、若干顔が赤くなっている。
「これで、休み時間とかもっと話せるね!」
「ね! 楽しみだなー」
私は本心でそう答える。
凛が隣で、胡桃が前。これから学校がもっと楽しくなりそうだ。
「ねえ、唯ちゃん」
凛が椅子をこちらに寄せ、机の下で私の手をそっと握ってきた。
「ん?」
「これから毎日一緒、だね」
「え、まあそうだね」
「嬉しい……」
凛の声が弾んでいる。
「ずっと、唯ちゃんの隣」
「私も嬉しいよ」
凛がそう呟いて、握った手に少し力を込める。
その温かさが、心臓に直接響いてくるようだった。
これから、どうなるんだろう。凛と隣の席。毎日一緒にいられる。
ホームルームが終わって、みんなが帰り支度を始める。
「じゃあまた明日ねー!」
「「またねー」」
胡桃がそう言うと、すぐに教室を飛び出していった。今日はほかの友達とボーリング行く予定があるらしい。
ほんと胡桃っていろんな友達いるなぁ。
「じゃあ、私たちも行こっか」
「あ、うん……」
なんか凛の様子がずっとそわそわしていて、なぜか私までもが緊張してしまっていた。
そしてふと、昨日『デート』と言い間違えたことを思い出した。
もしかして、凛からしたらこれってデートだったり……。ってそんなわけないか。
私は特に気にせず、凛と一緒に学校を出た。
駅に着くと、平日の夕方前ということもあって、混んでいるというわけでは特段なかった。
やっぱ、放課後だから高校生多いな。カップルも多いし。
「じゃあ、映画館行こっか」
「うん」
映画館のビルに入ると、エスカレーターがあった。映画館は3階らしく、私たちはエスカレーターに乗った。
私が先に乗って、凛がその後ろ。ゆっくりと上に上がっていく。
するとその時、凛の手が私の手にそっと触れた。
え?
私は驚いて、凛のほうを見るとただ恥ずかしそうに何も言わず私の手を握りしめていた。
まあ、友達だしこれくらい普通だよね。
私は凛が繋いできた手を、恋人繋ぎに変えて握り返した瞬間。
「へ……!?」
恥ずかしそうに俯いていた凛が、ばっと私を見上げた。
「あ、ごめん。ダメだった?」
とっさに手を放そうとすると、凛はわざと私の手を離さないように強く握った。
「大丈夫、ちょっとびっくりしただけ……だから」
「え、ああそうなの?」
「そうなの!」
凛はただ手を繋いでいて! と言わんばかりに答えた。
やっぱり凛は可愛い。
エスカレーターから降りると、映画館独特の暗い雰囲気が出ていて、その時点でかなり楽しみになった。
「久しぶりに来たなー!」
「私も、一年ぶりくらいだった気がする」
「凛映画とか見ないの?」
「うーん、たまに見たりするけど、大体アプリとかで見ちゃうから映画館は結構久しぶりかな」
へー、凛って映画見る派なんだ結構意外だな。ってか最近気づいたけど、凛って意外と女子っぽい。
「じゃあ、ポップコーンとか買いに行こ」
「うん行こ行こ!」
私は手を繋いだまま、ポップコーンが売られている場所に手を引いた。
「うーん……こう見るとやっぱり悩むよね」
「そうだよね、なににしよっかな」
上のモニターに表示されている商品一覧をみて頭を抱える。
チュロスも食べたいし、やっぱ定番のポップコーンも外せないよね。どうしよう。
「ねえ、唯?」
「ん?」
「あれ、一緒に食べない?」
凛が指を指したのは、よくカップルとかで頼むペアのポップコーンセットだ。
「え!? いやいいけど、いいの?」
「私が、一緒に食べたいの……」
顔を逸らした。って、なんでそこで顔逸らすの! なんかカップルみたいじゃん。
「もちろんいいよ、私チュロスも食べたい」
「やった」
私たちはそろってペアのポップコーンを注文し、スクリーンへと入った。
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