幼い頃に父親によって命を奪われた主人公のランセル=関二郎は、黄泉のはざまの番人として、来る日も来る日も、無機質に死者を受け入れ続ける日々を送っていた。
番人となる際、黄泉の国の主と交わした約束で、父を殺害することとなった関二郎。
どんな親であろうと、親を殺めた者に救いの光は灯らない。ゆえに、関二郎の心は冷え切り、感情も欠落していた。
そんなある日、番人の仕事として常闇の泉から現世に生きる人間たちを覗いていた関二郎は、一人の少女を見た途端、胸が温かくなる感覚を覚え——
少女——佐千恵との出会いによって、彼の冷え切った心に、少しずつ『人を想う心』が灯っていく……
これは、側仕えとして佐千恵のもとで働き始めた黄泉の番人・関二郎と、美作財閥の御令嬢である佐千恵の、少し物悲しくて、それでいて美しい、身分差の恋の物語です。
大正浪漫の香り漂う世界観に、『黄泉のはざま』という幻想的な要素を組み合わせた、とても魅力的な作品。皆さまも、ぜひご一読を!
彼岸花を操る孤独な側仕え・ランセル=関二郎と、自由奔放で光をまとった美作佐千恵。
対照的な二人が出会った瞬間から、物語はそっと動き出します。
関二郎の影を抱えた佇まいと、佐千恵の明るい息づかいが互いの世界を少しずつ変えていく過程は、切なさと温かさが交互に胸へ触れてくるようです。
大正の街並みや和の情緒が、二人の心の揺れを静かに照らし出す描写も魅力的です。
一話ごとに丁寧に紡がれる感情の機微はまさに連作短編の醍醐味。
運命に寄り添うように進む二人の物語に目が離せません。
物語の主人公たちの挿絵も素敵なので是非見て欲しいです。
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是非ご覧ください!
白彼岸花は「終わり」を連想する花だと思っていました。でも、この作品では不思議と「誰かを想う気持ち」が静かに息づく花に見えてきます。
特に私の心に残ったのは、夢と現実の境目がそっと重なり合う場面です。あの世界は怖いはずなのに、関二郎という存在がいることで、どこか温かな祈りの場所にも感じられました。黄泉の番人でありながら、人を救うたびに少しずつ心の色を取り戻していくような空気がとても好きです。そして佐千恵のまっすぐさが、その静かな世界に春風を運んでくるようで、二人のやり取りに何度も頬が緩みました。
大正浪漫の雰囲気、幻想的な白彼岸花、優しさと切なさが溶け合う物語世界は、一枚の日本画を眺めているような余韻を感じられます。派手な展開だけではなく、言葉と言葉の間に流れる想いを味わいたい方に、ぜひ手に取ってほしい作品です。
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