- the song's story - 『HAUNTED PARTY』
紗印
『HAUNTED PARTY』
【結婚式】
目覚ましがよく響く。今日は結婚式というのに寝過ごしてしまった新郎がいた。
式場には花嫁の姿が祭壇にあった。
彼女は不安気に苛立ちを隠せず新郎を待っていた。
新郎は急いで会場に向かっていた。
しかしその道中で事故に遭い、命を落としてしまう。
二人は結ばれなかった。
【彼女の一生とその後】
結婚式当日夫を事故で亡くした妻がいた。
悲しみにくれてもう一度会いたいと毎日願った。
それから60年後、女性は独身のままその命をまっとうした。
亡くした夫に会いたいという願いが強く残り成仏はしなかった。
彼女は霊体となり彼の生まれ変わりを世界中探し回った。ひたすら探し回った。。が見つからず、、
月日だけが過ぎてゆき、生前の記憶もどんどん薄れていった。
途方に暮れていた彼女がたどり着いた場所は、森に囲まれた廃墟ホテルだった。。
そこには多くの幽霊が住み着いており、毎日にぎわったパーティーが行われていた。
彼らは彼女を1000人目の幽霊として受け入れるのであった。
【探検家の男】
探検家の男は妻子に行ってきますと伝え、
ある噂の絶えない森へと調査をしに行った。
この森には次元の違う何かが潜んでいる。
森の入口にはマイナスの空気感がそこにはあった。
意を決して森に入り随分と歩いた時、
天気が急変し、謎の嵐に見舞われた。
男が雨宿りの場所を探していると導かれるように廃墟ホテルに辿り着いた。
建物の年期からすると100~150年ほど前のものらしい。
電気も通ってなく当然真っ暗だが今日はここで夜を過ごそうと決めた。
なぜだか誰もいないはずなのに異様な気配を感じつつ、男は廃墟ホテルの中へ自然と足を運ばせた。
【再会ⅰ】
幽霊達は毎晩パーティーをしている。
彼らの世界軸では華やかなライトが彩り、大勢が踊り、非常に華やかな空間であるが、
生きているものにそんなものは見えず、
あたりは真っ暗だ。
久々に珍しくお客が入ってきた。
彼は探検家のようだった。どうやら外の天気が荒れているらしく、今夜はここで泊まるようだ。
珍しい訪問客をジロジロと見る幽霊達、しかし探検家の彼には何も見えない。
彼女は彼のことを初めは気にも止めていなかったが、彼を一目見た瞬間衝撃が走り、記憶が戻る。
彼は生前夫であった新郎の生まれ変わりだった。
なんだか温かく、懐かしい気持ちになった。
必死に自分の存在をアピールする彼女だが、彼には全く見えず、素通りされてしまう。
悲しくて泣き崩れる彼女。
一方彼は休めるところがないか廃墟内を探索し始めた。彼女はその後を渋々ついていく。
休めそうな部屋を見つけ、ひと段落しようとした時、机に置いてあったアルバムに目を惹かれた。探検家はアルバムを手にとり中身を見始める。
どうやらここの廃墟ホテルは昔、結婚式場によく使われていたらしい。
アルバムの中には多くの新郎新婦の幸せそうな写真が入っていた。
彼はそれを眺め、彼女もまた彼の隣で一緒に写真を見ていた。
姿は見えないが彼女はとても嬉しそうな顔で、彼と過ごす時間を楽しそうにしていた。
彼の手が止まった。ふと写真に目を向ける。
そこには不思議な写真があった。
その写真は花嫁姿の女性の写真しか映ってなかった。そしてよく見ると手には婚約者と見られる男性の遺影を抱えていた。
彼女その写真を見て再び記憶が蘇る。
この廃墟がかつて自分達が結婚式を行った場所であることを思いだした。
彼女は当時のことを思い出し、祭壇の十字架へと走り出す。そして祈った。
自分も生まれ変わり、また彼と同じ世界軸で再び出会うことを。
【再会ⅱ】
探検家はアルバムを見ていた。
ぼんやり見ていると。多くの写真があるなか、ある一つの写真が気になってしまい見入ってしまう。
なぜだか気になる一枚の写真、謎の心地よさが少し気持ち悪くなりアルバムを元あった場所に戻す。
その際近くに指輪があることに気づいた。
あの写真の、、、遺影を持っていた女性がつけていた婚約指輪だった。
彼は好奇心でそれに触れた、その瞬間、真っ暗だった当たりが明るくなる。探検家の前世の記憶が蘇ってくる。
【再会iii】
彼は部屋から飛び出す。
あのとき行けなかった祭壇へ走り出す。
多くの幽霊が彼の目に入り、
驚きながらも無我夢中で走った。
祭壇へ着くと彼女がいた。
探検家は駆け寄り
涙を流しながら必死に祈る彼女を抱きしめた。
何百年も執着していた彼との再会
それが果たされ、
彼女は幸せそうに成仏していった。
彼女の成仏を見届けた探検家はいつの間にか寝てしまっていた。
目が覚めると嵐が過ぎていることに気づく。
昨夜は自分が自分でないような不思議な感覚がうっすら体に刻まれている。
もしかしたら夢だったのかもしれない。
彼は寝ぼけた頭を抱えながら家に帰って行った。
【エピローグ】
探検家は家に帰ると玄関には嬉しそうに迎える妻の顔があった。
今日は好物を用意してくれたらしい。
飾ってある写真を見ると幸せそうな笑顔で映る家族写真がそこにはあった。
【エピローグ - 彼女の来世 - 】
彼女は生まれ変わった。
健康に生まれてきて、健やかに育ち、ちゃんと大人になり、好きな人に告白した、結婚もして、夫と子どもとで幸せな家庭をもてた。
今日は夫の大好物を用意して帰りを待っている。
ただいまーっの声と共に夫が帰ってくる。
玄関で今日も満足気な笑みで嬉しそうに迎えている。
飾ってある写真を見ると幸せそうな笑顔で映る家族写真がそこにはあった。
輪廻転生の行く末はそれぞれ
時代が違えば生物かどうか
彼は未来へ
彼女は過去へ
今度は同じ世界軸で二人は結ばれるのでした。
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