伝説となる最強のお兄さんを持つのは、どんな気持ちなんだろうと想像しながら読み進めていました。
あるいは真の強さとは、派手で見栄えの良い魔法を超えたもっと地道で強固なものなのかもしれないーー
そんな印象を受けるほど、この物語には強さについて考えさせられる懐の深さがあります。
まとった黒の鎧さえも、身体とは別の大切な何かを護る暗喩かもしれない。
劣等者とはなにか、強さとはなにか。
読みながら考えつつも、すぐに物語の世界に引き戻してもらえる吸引力があるため、むずかしく考えなくても楽しませてもらえます。
作者の方は剣術がとてもお好きなのだろうと察するほど、戦いの描写は生き生きとしており、鋭く空気を斬る剣の音が耳元まで届いてくるかのようでした。
まだすべてを読み通したわけではありませんが、読めば読むほど先行きが気になる、やさしくも力強い物語です。
ありきたりな表現になってしまいますが、あまりにも残酷で、あまりにも優しい。
「最強の兄」……その意味が知りたくて気がつくと読み進めていました。
魔法という「心」の力がすべてを決める世界で、魔法を持たぬ少年が受け入れたものは。
最強なのにどこか脆い彼をそうたらしめたものは何なのか。
「ニイサン」の物語にたどり着いたとき、余りに壮絶ながら、どこか、読者と兄さんを隔てていた扉の鍵が解けたような、血の温かさを感じます。
彼はもう、かつての「兄さん」としては笑えない。そんな同じものを背負って、物語に没頭できます。
圧倒的な絶望の先にある、
最高にクールな「反撃」の予感に魂が震えます。
魔法が全てを支配する世界で、唯一魔法を使えないクロガネ。
しかし、彼こそがこの世界最強だった!
辺境の村で弟たちに囲まれ、幸せな日々を送るクロガネ。
彼は使えて当たり前の魔法が使えないながらも、弟のショータから見れば最強の兄だった。
料理が得意で、村の酒場でも見たことのない甘いお菓子も作れる。
薬も扱え、熱を出したときも一晩で治してくれた。
屋根や畑の柵の補修も、兄がすれば大人たちが舌を巻くほど立派になる。
狩りだって村一番!
そんな兄がいずれ、魔王を倒し、そしてさらに主神まで倒してしまう。
伝説となるお兄ちゃんの物語、皆様もぜひご一読を!
八話まで読んでのレビューとなります。