欲と罪と繋がり
ネジマキ
プロローグ
人間には三つの欲球がある。
食欲、性欲、睡眠欲、どれも必要不可欠な欲だ。
お腹が空けばご飯を食べ、気持ちが高まれば致し、眠気が来れば寝る。そんな当たり前の欲がある中彼、久住きくみ(くすみきくみ)にはそのすべての欲を差し置いて優先してしまう欲がある。
知識欲。
深く知りたい、全てを知りたい。物事の原因を突き止めたいという欲。
だからこそ探偵という仕事は都合がいい。依頼内容は主に人探し、素行調査、そして定番の浮気調査。様々な手段を用いて調べ尽くす。
だが探偵といっても出来ることには限りがある。
そのために刑事を父に持つ彼女、三波しずり(みなみしずり)を助手兼秘書として側に置いている。少し違法な手順を踏んでも、彼女の口添えで見逃してもらえるという利点のために。
これも欲を優先した結果だ。
それに彼女は普通以上に仕事が出来る。
今までは依頼人との契約は口頭で済ましていたが、彼女が用意してくれた契約書のおかげでトラブルも減った。あとおまけに目の保養にもなってくれる。
浮気調査などをしていると外見が良くても中身が腐っている人を数多く見ることになる。そんな腐蝕された日々の中で、純粋無垢な彼女の笑顔を見ていると心が浄化される。
そんな彼女の父親からの依頼、断ることはできない。もし拒めば警察との関係もどうなるかわからない。
まあ、もとより断るつもりはさらさらないが。
欲には逆らえない、それが人間だ。
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