北風と太陽と雷鳴さん

@satoka2

北風と太陽と雷鳴さん

ゴロゴロッ、ゴロゴロ……

ピカーンッ‼︎


「……あぁ、またやってる。雷鳴さんだ」

太陽がつぶやく。


「ここんとこ多いっすよね〜。

この前なんて自分、当たりかけて本当びびりましたよ」

北風がかわいい後輩感で相づちを打つ。


「今回は何があったの?」と太陽。


「雲さんと価値観のすれ違いですって。

氷晶を片づけるのはどっちの仕事かでモメたらしいです」

北風は続ける。


「しかも結構溜め込んでたみたいですよ〜。

あの人、不満言わずに抱えるタイプじゃないっすか。

で、一気に発散しちゃった感じ?」


「価値観のすれ違いかぁ……」

太陽は首をかしげる。

「俺は裏表なく照らすだけだからなぁ。

よくわからんなぁ」


「それ無意識に敵作るやつっすよ!

太陽さん、そういうとこあるんで!」

北風が慌ててツッコむ。


「え、まじ⁇

そういうのわからないんだよな俺。

でも今回もすぐ収まるだろ」


「どうっすかね〜。

まぁ、例のアレが来ればスッキリして

また仲直りっすよ」


ゴロゴロ! ゴロゴロ!

ぴっきゃーーーっん!


「ほら、また鳴いてる。

まだしばらく続きそうだね」

太陽は遠くを見ながら言う。


「そっすね〜。

枯れるほど鳴き喚いて、一回すっからかんになれば……ってとこっすね」

北風はニヤッと太陽を見る。


「えー……また俺の出番かよー。

あれ全部乾かすの、けっこう大変なんだよ。手伝ってよー」

泣きつく太陽。


「わかりましたって。その代わり今度、

南風先輩紹介してもらえます?」

勝負にでた北風。


少し悩んだ太陽が口を開く。

「んー。いいけど。相性的に、どうだろ?

なんかさ、嵐の予感がするな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

北風と太陽と雷鳴さん @satoka2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る