第2話 勇者ログイン

俺は今ある所持金を使い、食料などに全て回した。

この村に住んでいる村民、ログインしてくる勇者、誰もこの世界でこの村が襲われることを知らない。そして、この襲撃の規模も。

だが俺は知っている。なぜなら、このシナリオを作ったのは俺だからだ。

だから、こんなに思いきった行動が出来る。

このシナリオの結末はハッピーエンドだ。

その先に、現実へ戻る方法があるのかもしれない。

だからあまり干渉するわけにはいかない。

シナリオの道筋を曲げると、予期しないことが起こる可能性が高まる。

とりあえず、襲撃の期間は一週間ある。

その一週間は生き延びないといけない。

準備万端。あとは勇者が来るのを待つだけだ。


数時間後

「来たか」

村が騒がしくなった。

世界の英雄である勇者が村に到着し、村総出で歓迎をする。

ここまでは大丈夫。移動を始めよう。

ここの村の近くに雪山がある。その雪山には遭難したときの救済処置として、小屋がある。

そこは、暖もとれる。早めに移動しておこう。


「やっと買えたよ」

僕は藤川 悠人高校生だ。

僕は難しいゲーム、つまり鬼畜ゲームやクソゲーと呼ばれるものが好きだった。

僕は世に出回っている、ありとあらゆる鬼畜ゲームをして来た。正直今は、小さい子供でも遊べるような簡単な難易度が多くて、少し物足りない感じがしていた。

そこで僕は1つの広告を目にした。

「トライアル·オブ·マッドネス、発売中!」

少し気になり、調べることにした。

ゲームの内容はファンタジー世界のRPGみたいなものだった。

いろんな配信者がプレイをしては、難しすぎて、途中で挫折していく人がほとんどだった。

僕は目を光らせた。

だが、発売当初はお金がなかった。

僕はバイトをして、コツコツお金をためた。

そしてついに買うことが出来たんだ。

早速ダウンロードする。

すると突然、画面にノイズが走った。

「な、なんだ?」

「リンク完了」

PCが急になにか喋り始めた。

「主人公アバターの作成」

「本体とアバターの適応化」

「成功しました」

「本体を強制ログインします」

喋り終えた瞬間、PCの画面が光り始めて?!


「ここは、どこ?」

起きると王宮のような大広間の中央にたっていた。

「召喚に成功しました。」

すぐ近くで声がした。

どういうこと?

配信にはこんな演出なかったと思うんだけど……

考えていると、王様のような人が近づいてきた。

「召喚されし勇者様、この世界をお救いくだされ」

王様はそういって頭を下げている。

「分かりました。でも、少し時間をください」

「ありがとうございます勇者様」

横からメイドの人が出てきて高級そうな部屋に案内された。

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