これが、あの掌編集やエッセイの作者が本気で取り組んでいる連載作品だとプロローグ1話で分かる。
「太震々禍(だいじんか)」という破滅的な大震災から11年後の2041年、碧い血を持つ少女・戌弓(いゆみ)が群れから追放され、翼を持つ吸血鬼ノアルに出会う。設定の骨格はシンプルだが、ラジオ・K氏らしく細部にこだわりが詰まっている。「能染疫属(よせきぞく)」という造語、五菱社製の拡張鎧骨、群隷(ぐれ)という集団名独自用語のセンスが光る。
第1話の群れのモブたちが「エイリアンだ」「いや宇宙人だろう」「いーやレプタリアンだね」と言い合うくだりは笑えるのに、すぐ後で本物の暴力に切り替わる。このテンポとトーンの切り替えはラジオ・K氏得意の技だ。
冒頭の引用屈原の言葉と古代ギリシアの陶片追放が示す通り、「異端であることの孤独」がテーマの中心にある。「血の色が違うだけだろうがぁっ!」という戌弓の叫びは、その象徴として申し分ない。
短編群で磨かれてきた作者の語彙と世界観が、長編という容れ物に収まりつつある。現在進行中の連載で、ラジオ・K氏のすべての作品を読んできた人には最後にぜひ。