【一話完結】恋かどうかはわからなかった
双極
恋かどうかはわからなかった
私、月詠命(ツクヨミミコト)!高校三年生
部活もきついし、勉強も分からん
シンロシドー?どうだっていいしー
学校行きたくない、って思ってたらーー病院にぶち込まれた
ここどこ?…天岩戸病院?
なんか奥の方に牢屋?みたいなのが見えるし、そこら中から叫び声やうめき声が聞こえてくるんですけど
極めつけにーー看護師、みんなマッチョなお兄さんって……
……いったい何ここ?
まあ、学校行きたくないし、卒業までぶっちだ
バイトもやめた…
高校生活で一番楽しかった…悔しい
憧れの先輩。慶応卒だって
なんでファミレスでバイトなんかしてんだろ
玉砕覚悟で告白したら、あっさりOK
これからラブラブバイトと思ったら……辞めることになった
マジ悔しい
一回お見舞い来てキットカットとか置いてったけど、それだけ。手も握らない
それに血糖値制限でチョコ食べれないんですけど
マジ悔しい
悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、、、、、、、、、、、、、、、
バイトだけ楽しかった高校生活
人生ってこんなものなのかな。。。。。。。。。。。。。。。
入院中に知り合ったおっさん。もう39だって
髪なんて白髪がすごくてなんかばっちい
ハイテンションで話してたと思ったら、今日は部屋にひきこもってる
無職だって。子供部屋おじさんかっつーの
かわいそうだからジュースおごってあげた。すげー喜んで土下座までしてた。マジ受けるー
ちょっとだけ話したけど話がちんぷんかんぷん。おっさん、風呂入ってるのかなー?
ふけがすごいし、ちょっと臭い。マジ受けるー
「ミコトさん」
げッ、話しかけてきた
少しタバコの匂いがする。なんか……ママの匂いと似てる
そういえば最後にママに会ったの、いつだっけ…
ママの香り。なついなー。雨上がりの香り?ちょっといいかも
少しだけ話してみよう
「ママもタバコ吸ってて、同じ香りがするんですけど。。。。。。。。。。。。。。。」
「あッ、僕が吸ってるのはメビウス8mm、ショート、ボックス、日本で一番うまいタバコだよ」
「へー、そーなんだ
でも箱の色が違うような。。。。。。。。。。。。。。。」
「あー、ミリ数で箱の色が違うんだよ。でも葉っぱの部分は同じだから、匂いはほとんど変わんないはず。フィルターで強さ変えてるんだ」
……やっぱりママと同じ香りがする。ちょっと落ち着く
タバコ吸ってる時のママは優しいから好き
うん、暇潰しにもう少し話してみようかな
「あの……」
「え?」
「ミコトさんは俺みたいのと話さない方がいいよ不幸が移る。俺、この病院だけでも二十回以上入院してるんだ。じゃ、」
でもママの匂い、ママの匂い、ママの匂い、ママの匂い、追いかけなきゃ。あッ、行っちゃう。話さなきゃ
「マミチさん!」
「えッ!?」
真道(マミチ)が振り向く
「どしたのッ、そんなおおきな声で?」
「少しお話ししませんか?」
「いいけど」
「進路悩んでて…(ホントはどうでもいいけど)」
「今、高校三年生で、大学行くか就職するか悩んでて(しばらく家でニート三昧するけどー)」
「特に数学苦手で入れる大学なさそうで…
(どこでもいいけどね)」
「私立なら、数学無くてもいけるんじゃない?」
「うちお金無くて。。。。。。。。。。。。。。。(うそぴょん)」
「そうか……分かった。国公立受からしたる。何とかしたる」
「……お願いします。(う・ち・の・か・れ・し・け・い・お・う・な・ん・で・す・け・怒!!!)」
こうして奇妙な入院生活が始まった
私、月詠命(ツクヨミミコト)、花のJK、乙女なの
今、慶応の彼氏がいるんだけど他に気になるっていうか……ウケるおっさんがいる
彼氏はcoolでsmartでオサレさん。いつでもレディーファーストしてくれる。Lineも最悪でも既読つけてくれる
おっさんはっていうと、39歳なのに独身、彼女いない。っていうか、できるわけない。話すとたまにうざい。でもたいがい笑わせにくるw
彼氏は韓国スター風イケメン。高身長
おっさんは白髪いっぱい、ふけもいっぱい。タバコの匂いがするの
でもでも、おっさんは身長169cm。私の理想ぴったりで、ちょっとビビった。これって運命?
ふけも『白雲』っていう病気なんだって。病気なら仕方ないか
洗濯もしてるとこ見たことないっていうか、いつも同じジャージを着てる。絶対洗濯してないだろーーーーーーーーーーーーーーー!!!
でも私に一生懸命、勉強を教えてくれてる。国公立に入れようと頑張ってくれてる
数学が苦手で中1のドリルからやってる。でも+-()とか全然わかんない
おっさんも私にどう教えたらいいのか困ってる。ドリルにいっぱい書き込んで、消しゴムももうなくなりそう。
おっさんはタバコと水だけが生きがい。タバコ吸えないとおかしくなってちょっとオモロイ。タバコ吸ってるときはママの匂い。落ち着く
あとおっさんって目が三日月に光るんだよね……ちょっとかっこいい
これって、、、恋???????????????なのかな???
そんなわけないかwww
私、命(ミコト)、今日は彼氏が面会に来る。。。。。。。。。。。。。。。
でも、、、、、、、、、、、、、、、
なんか、、、、、、、、、、、、、、、
うれしくない
「命、元気だったか。見舞い持ってきたぞ」
「ありがと。でも食べられないって言ってんじゃん」
「あ、わりぃ、わりぃ、忘れてた」
「もーーー」
「あと、他にもいいもん持ってきたんだ。手、出してみ?」
「え、やーーーだ」
「ほら、見てみ」
「これって…」
「指輪だよ、婚約指輪」
「えっ……」
嬉し、、、、、、、、、、、、、、、あれ?嬉しくないな。
どゆこと?婚約って、うれしいはずじゃん?あれ?
「ほら、手、出してみ?」
震える手を、そっと差し出す
彼の手が左手に触れる
げ、彼の手、なんか冷たい、なんでこんなに冷たいの!
「やめて!!!」
「えっ……?」
「貰えない。貰いたくない。今日は帰って」
「どうしたんだよ、命。。。」
「いいから、帰って。もう別れる」
あれ、好きなはずなのに、別れるっていっちゃった。どうしよう。
「えっ、だって命………」
「いいから帰って」
「別れるって、どういう意味だよ?」
「別れる、別れる、いいから帰って」
「分かった、今日は帰る。冷静になって考えて」
「もう、別れる」
バタン
言葉が届かぬうちに面会室の戸が閉まった
あっ、別れちゃった。でもすっきりしていい気分
あれ?彼氏のことあんなに好きだったのにどうして?
憧れの彼氏だったのに。慶応なのに。どうしよう?あれ、なんか目から鼻水が。。。
「あっ、命さん。彼氏との面会どうでした?あっ!」
真道(マミチ)の声。なんかうれしい
かすかにタバコの香り…
「別れちゃった」
「えっ、振られちゃったんですか……そうですか。あのー、そのー、ハンカチとか持ち歩かないもので……ごめんなさい」
「私が振ったの…よかったのかな…」
「あんなに好き好き言ってたじゃないですか?いいんですか?」
「いいの、もう別れたから」
こう言うとなんかすっきりした。
真道の顔を見ると何故か安心する…
「あの、、、、、、、、、、、、、、、マ、マ、ママ、、、ママじゃなかった、マ、マ、マ、真道(マミチ)、、、さん、、、、、、、、、、、、、、、
「え?」
「付き合って下さい!!!!!!!!!!!!!!!」
「え、え、
えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
真道の声が病院中に響き渡った
これが恋かどうかなんて、このときはわからなかった。
でも元彼の手より、真道の言葉のほうがずっとあったかい気がした。
【一話完結】恋かどうかはわからなかった 双極 @LosM2
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