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出世坂を出て、少し緩やかになった右側へと下がっていく坂を下る。そこにはさっきも見たロータリーが広がっている。車道を挟んだ先の歩道はさっき通った道だ。

 ここからは最初に巡った幣舞橋と北大通を車道越しの歩道で歩き回るだけなので、次はもう少し細かい部分に目を配ることにする。

 例えば街灯。橋の前にあるいくつかの街灯は、錨の形を模した金属の造形物が街灯の柱の頂上に、二つの灯りを支えるようにして設置されている。そしてその錨の下には羽を広げた二羽の小さな鴎が飛んでいる姿が見られる。

 漁港として栄えた釧路と、港を飛ぶ何十、何百もの鴎を一つの街灯に収めて表しているのだと、自分の目で見て思った。

 街灯なんて照明としてしか見ていなかったので、昼間にこうして探索してみると、誰も目を向けないような小さな部分にも工夫を凝らしていることを知って、驚きを隠せなかった。

 その街灯がどこまで続いているかを見るため、前方を確認しつつ、街灯に目を凝らす。その街灯は、橋を渡り始めると同時に模様が変わってしまい、遠くまで続くカモメの群れを見ることはできなかった。だが、街灯にも工夫が凝らされていることから、もっと他の形をした街灯はないのかと、私の心に火をつけた。そうして、他にも何かを模した街灯がないか北大通を再度歩いて探すことにする。


 本当ならもっと真剣に探してみたいが、道草を食べ過ぎてしまうと、お腹がいっぱいになってしまうので、あくまで北大通りの道を通って見える範囲のものに限定することにした。

 とは言ったものの、幣舞橋で「春」と「夏」の像について話したのに、「秋」と「冬」の像についてまだ話していないのを思い出した。

 街灯を詳しく見ようという気持ちを一度収め、幣舞橋の上の二つの像を観察することにする 。

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釧路ぶらり旅 くしろ たろう @9464649

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