第18話 文と武の乖離(かいり)と驕れる重臣
西国の京・山口に絢爛たる文化が花開く。公家文化に深く傾倒する義隆と、領国の武を担い、戦場での功績を渇望する**
📜 あらすじ:前半
🌸 西の京、山口の
時代:天文年間(1532年頃〜)
場所:周防・山口
家督相続後、義隆の治世のもと、山口は文化的な最盛期を迎える。彼は京の公家や連歌師、画家などを積極的に招き入れ、大内氏館は西の京と称される華やかさであった。
義隆(優雅に):「戦場で血を流すよりも、歌を詠み、美を愛でる方が、よほど民を安んじる。これこそ、真の王の道だ」
義隆は、自身を**「雅の王」と位置づけ、政務や武事のほとんどを重臣に任せきりにするようになる。傅役の小野武彦は、その優雅さこそが、義隆の孤独な魂**を慰めていることを知っていた。
傅役(小野武彦):「殿は、あまりにも優しすぎる。それが、いつか己の首を絞めることにならねばよいが…」
⚔️ 陶興房の功績と不満
一方、武断派筆頭の**陶興房(西郷輝彦)**は、主君の文化傾倒を許容しつつも、自身の武勲を立てる機会を常に求めていた。興房は、尼子氏との戦いなどで功績を上げ、大内氏の武力を完全に掌握していく。
しかし、興房が血を流して勝ち取った勝利も、山口の華やかさの前では、単なる**「王の優雅な生活を守るための手段」**として扱われた。
ある時、興房が戦勝報告に訪れるが、義隆は歌会で多忙を理由に面会を延期する。
陶興房(怒りを抑え):「殿は、この興房の血と汗を、京から招いた公家の戯言より軽んじられているのか…!」
興房の息子、陶隆房(後の晴賢)(役:松田龍平 ※冷酷な野心家)は、父の不満を目の当たりにし、義隆に対する不信感と侮蔑の念を強めていく。
📜 あらすじ:後半
💔 寵愛の集中と武の軽視
義隆は、武芸を軽んじるあまり、自身の子を公家的な雅な教育で育て始める。また、寵愛する近臣たちを優遇し、彼らに重要な役職を与えるようになる。
義隆の優雅さは、武士団から見れば、**「王の甘さ」**と映り始めた。
陶隆房(松田龍平):「父上。あの王は、我ら武士の心を全く理解していない。いずれ、大内家は京の公家どもに食い潰されるでしょう!」
陶興房は、隆房の過激な発言を諫めるものの、心の奥底では義隆の**「武の軽視」に強い不安と不満を感じていた。彼は、義隆に武の重要性**を訴えるが、優雅な王は聞く耳を持たない。
義隆:「興房。貴殿の忠義は知っている。だが、時代は武力ではない。これからは、知恵と雅の時代だ。その武力は、儂の安寧のために、静かにそこに在ればよいのだ」
🦊 謀神の観察
義隆と陶興房の間の不和は、西国の情勢を常に注視している**毛利元就(丹波哲郎)**に筒抜けとなる。
元就(丹波哲郎):「ふむ。大内義隆は、王の責務から逃れ、雅という名の夢に溺れておる。そして、彼の忠臣であった陶興房は、その傲慢な武力を持て余している…。時が来たか」
元就は、大内家を内部から崩壊させるための謀略の種を、陶興房の不満という名の**「心の亀裂」**に植え付け始める。
⚔️ 結び
義隆(窪田正孝)の対比である宗麟が血の呪いに苦しむ頃、大内義隆は、絢爛たる文化に囲まれながら、自らの平和な統治が招いた武断派との決定的な溝に気づかない。
ナレーション:「平和な継承と、文化的繁栄。それは、大内義隆という**『華の王』**にとっての幸福であった。しかし、武士の時代において、武を愛せぬ王の運命は、すでに、彼を支える最も強靭な腕によって、定められていた――。」
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