The Second/シェイヴテイル 第8話
『シェイブテイルズ』
「くる!」
シンジが叫んだ。
空を切り裂き、緑色の光の矢が飛来した。
シンジは迫りくる矢を頭部をずらして、かろうじて避けた。左側のこめかみを矢がかすめた。傷口から黒い粒子が蒸発する。
速い。
ナイトの動体視力を持ってしても、かわすので精一杯だった。
光の矢はシンジたちの背後のアカガシの木を貫いて、どこまでも飛んでいった。
ダンに向けて、矢が放たれた。幾分、矢のスピードが遅い。
ダンは戦斧を振り、矢を消滅させた。ダンが戦斧を振り切ったタイミングでさらに一射。さっきのハイスピードの矢だ。ヤバい。ダンの戦斧では間に合わない。
ハルトが高速移動した。ナイトダッシュを用いて、高速移動。鉤爪で矢を弾いた。ハルトはスピードに特化している。
ナイトダッシュ。
ナイトは意識を集中させると、短時間だが超高速で瞬間移動できる。しかし、スピードに特化しており、パワーが足りないため、攻撃には向いていない。
ダンとハルトの2人が態勢を崩されている。次の矢が来たらマズい。両方のサイを順手にして、フォローに回った。
しかし、矢は飛んでこなかった。
なぜだ?
なぜ、チャンスを活かさない?
3人は態勢を立て直した。
しばらくの時間が経過した。
時間にして、1分。
この公園は結構広い。中心の広場を囲むように木々が植えてある。
シンジたちのすぐ背後にはアカガシの木。ドングリが実をつけていた。
広場を挟んだ対岸の木々から、矢は飛んできた。相手はそこにいる。
このまま、ロングレンジの戦いをしていても、シンジたちには攻撃する手段がない。
また、矢が飛んできた。ハイスピードタイプ。狙いはダン。
相手は的がデカく。スピードが若干劣るダンを狙っている。
ハルトがかろうじて、鉤爪で矢を弾く。
続けて2射。ハイスピードタイプ。ダンを強襲する。
ハルトは態勢を崩している。シンジは意識を集中させた。右手のサイを回転させて逆手に持つ。サイを高速移動させるイメージを浮かべる。タイミングを合わせて、サイを投げた。ダッシュしたサイが矢に当たる。しかし、スピードだけに特化したサイは矢の軌道をわずかに変えただけだ。だが、その軌道の変化が功を奏した。ダンが左側に体をかわした。矢はダンの右腕をかすめた。
もう、一本の矢はダンの動きを予測した軌道だった。矢がダンに迫る。その矢に飛びかかるようにハルトが鉤爪を伸ばす。矢は鉤爪に当たり軌道を変えた。ハルトは矢の勢いに巻き込まれ、地面に突伏した。
3本の矢をしのいだ。
「よし!
矢は1分間放てない。
たぶん、温存の時間が必要なんだ。
ナイトダッシュで敵陣を攻める!
行くぞ、
シェイヴテイルズ!!!」
シンジが叫ぶと、3人はダッシュで矢が飛んできた対岸へ跳んだ。
そこに相手はいた。
ナイト·ロングボウ。
ヘルメットから伸びたくちばし形のバイザー、それを貫通した望遠レンズが右目の位置から突出している。左手に身長を超えた弓を持っていた。艶のない黒色の弓は緑色の光の弦を持っていた。右手のグローブが光の弦を引くために分厚く、ゴツい。
異形のナイトだ。
ロングボウは弓をクルリと回転させ、光の弦をこちらに向けた。
接近戦の攻撃に使用するにはあまりにも頼りない武器。
ダンが戦斧を左手に持ち、右手でナイト·ロングボウを指差していった。
「死ね」
そのワードに反応して、ダンの持つ戦斧の柄、その中央部分が自動的にスライドして、わずかに拡張した。拡張した部分に空いた規則的な穴。穴から、10センチほどの棒が伸びた。上から斜め下に伸びた2本の棒、その先端が緑色に発光した。
『デスモード』
戦斧から合成音声が響いた。
ハルトの鉤爪。手の甲の部分から鋭い光刃の爪が伸びている。その甲の部分の内側のグリップを握ることで装着する武器。手の甲の部分から、3本の5センチほどの棒が伸びた。その先端か緑色に発光した。
シンジの2本のサイ。柄の部分が自動的にスライドした。拡張した部分の穴から、5センチほどの棒が伸びた。下から斜め上に伸びた2本の棒、その先端が緑色に発光した。
デスモード。
必殺技を発動する短時間のみ、スピードとパワーが段違いにアップする。そして、繰り出される技は相手を必ず、死に至らしめる。
必殺技を前にして、3人のそれぞれの武器が出力を増した。
ナイト·ロングボウの正面にダンが立つ。
シンジとハルトは姿をスッと消した。ナイト·ロングボウの背後、右側にハルト、左側にシンジが出現する。
ナイト·ロングボウを中心にシンジら3人が正三角形を描く配置となった。
ダンが正面から、ロングボウを襲う。デスモードでスピードとパワーが上がっている。振りかぶった戦斧を、ロングボウに向かって降り下ろす。
ロングボウは右手のグローブで、ダンの戦斧を受けた。いくら分厚いグローブといえど、グローブが黒い粒子となって表面が蒸発する。
ハルトが、ロングボウの右背後から強襲する。鉤爪を背中に突き刺す。
シンジが、ロングボウの左背後から強襲。1本になったサイを突き刺した。
『デストライアングル』
3人の武器から同時に合成音声が響いた。
シンジたち、3 人のナイトによる必殺技。
ロングボウが緑色の炎を上げて燃え上がる。何も残らず燃え尽きた。
チリン、チリン。
手振りベルが鳴った。
軽やかで優しい音色。
シンジは自分の左腕を見た。
白いバングルは出現しない。
今回もシンジは覚醒しなかった。
シンジの視界が真っ白になっていく。意識が遠のいていく。
第9話へ続く
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