破壊のカウントダウン - 企業を止めた10分間

SFCA

プロローグ:骸骨の嘲笑

2014年11月24日、月曜日。

東京・港区にある大手映画製作会社「CinemaWorks(シネマワークス)」。

広報部に勤める早紀(さき)は、出社してパソコンの電源を入れた瞬間、異変に気づいた。


画面が真っ赤に点滅している。

そして、不気味な骸骨のイラストとともに、英文のメッセージが表示された。

『Hacked By #GOP(Guardians of Peace)』

『我々はすべてを手に入れた。要求を呑まなければ、お前たちの秘密を世界中にばら撒く』


「な、なにこれ……?」

早紀が周りを見渡すと、同僚たちのパソコンもすべて同じ画面になっていた。

電話が鳴り響くが、誰も出ようとしない。いや、出られないのだ。IP電話のシステムもダウンしている。

その時、隣の席の先輩が悲鳴を上げた。

「消えてる……! 製作中の映画のデータも、経理データも、全部!」


それは、データの盗難などという生易しいものではなかった。

企業の息の根を止める、徹底的な「破壊」の始まりだった。

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