タイトルに込められた意味――タイムリープの枠を超えた魅力的な作品です!

医療事故で帰らぬ人となった櫻井俊健。彼の死の真相を確かめたい英一と節子は当時へタイムリープするため朝比奈に依頼をもちかける。ふたりは当時の俊健の身体に移り込み、そこで彼が体験した真実を明らかにするのが大筋の内容となります。
興味を引くのは先の読めない展開と、張られた伏線とその回収劇。あわや己の人生にまで死の気配が迫っていたとは……そんな危うさを孕む構成に息を呑みます。タイトルの意味もきちんと回収されていて読者想いでとても満足感の高い作品です。

人生って不思議ですよね。
物事がうまく運ぶときもあれば、そうでないときもまたある。そういう時に人生の裏側で誰かが密かに働き影響を及ぼしているのだとしたら? その可能性の先に、主役と脇役の存在バランスが揺らぐ、そんな楽しさがあります。ありふれたタイムリープにとどまらない物語の深さと醍醐味に魅力を感じることでしょう。
誰にも気づかれない場所で、時間の中で、あなたのもう一つの人生がそっと動いているのかもしれませんよ。

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