私自身はアニメオタクで、好きなキャラも少なからずいるのですが、正直なところVtuberは詳しくありません。
どこがいいんだろうと思っていたのですが、V好きな人の話によると「声優さんがしゃべるアニメキャラみたいな、いかにも作ったプロの語りじゃないところがいいんだよ。素人が普通にしゃべっているのが逆にリアリティあって、本物の異性と接しているような親近感がある」とのことでした。それが正しい見解かはわからないのですが、言われてみればなるほど沼に堕ちる人がいるのも納得という気がします。以前にアイドルはメチャクチャな美形より、普通のクラスに一人ぐらいいそうなちょっと愛嬌のある人の方が「何となく手が届きそうな錯覚が生じて人気が出る」という話も聞いたことあるもんなあ。
かくいうわけで、こちらの作品は失恋をきっかけにVtuberにハマってしまった女性のお話です。恋の痛手を推し活で埋める、いかにも現代的なテーマですね。おまけにこの主人公、そこへ加えて「レンタル彼氏」にも手を出してしまうようになるから、元カレを忘れるためとはいえ傷心の深刻さたるや相当なものです。ところが虚を衝かれてしまうのは、なんとそれで呼び出したレンタル彼氏がVtuberの「中の人」だったという展開。
Vtuberやレンタル彼氏をそれぞれ題材にした作品は他にもありますが、このふたつを掛け合わせた小説は初めて読みました。まさにありそうでなかった一作?でしょうか。
推しに課金してハッピーになれたから「実質無料」などと宣う主人公、こんなオイシイ事態に遭遇して果たしてどうなってしまうのか――……
というのは、もちろん読んでみてのお楽しみ。
終盤の意外性抜群な展開を、さてあなたはどう思うか。理性と欲望のバランスを取ることの難しさというのは、実は推し活の本質そのものに対する問い掛けかもしれません。