1-2. 追放された理由がクソ過ぎる! 俺を夜這いするのが我慢できないから?!

 ……。


「痛ッ……。気絶していたのか……。あの馬鹿妹、本気で振り抜きやがった。兄を兄とも思わぬばんこうだが、『人間相手でも、ためらわずフルスイングしろ』という俺の教えをちゅうじつに守ったんだから、喜ぶべきか……」


 俺は側頭部のこぶをでながら、ゆっくりと体を起こす。


 グギッ、ギィィィ……。


 床板がきしみながら大きくたわむのを手に感じる。


「いわゆる『追放』か。ここ数日のあいつらの態度から、こうなる予感はしていた。取り乱す必要はない」


 俺は、背後方向にいる宿屋の店主に覗かれないよう、左手を体で隠してスキルを使用する。


(『Xitterエクシター』オープン……)


 左手にスマートフォンサイズの黒い板が出現する。

 板は液晶ディスプレイのように輝き、フレーム分割された場所に文字が表示される。


 俺の特異魔法スキルは、ひとことで言えばSNSだ。

 こんな特異魔法スキルが使えるのは、転生者の俺だけだろう。


 俺はホーム画面で、仲間たちのつぶやきエクシートをチェックする。



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■メイ@山村育ちの野生児

うっ、ううっ……。ぐすっ……。

うえ~~んっ。お兄ぢゃぁぁんっ!!

お兄ちゃんとずっと一緒いっじょが良かったぁ……。

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■ソフィア@聖剣の聖女セイクリッド・セイント

……わ、わたくし、

アレル様のことを足手まといだなんて、

心にもないことを言ってしまいました。

お慕いしておりますのに……。

罪の意識で胸が張り裂けそうです……

────────────────────

■サリナ@多重多属性の魔法使い

ぐすっ……ぐすっ……。

アレルを、魔法で撃っちゃった……。

嫌われた……

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■ソフィア@聖剣の聖女セイクリッド・セイント

わたくしなんて、棍棒で殴りかかられたのよ……。

どう考えても嫌われていますわ……

────────────────────

■メイ@山村育ちの野生児

お兄ぢゃんは、

ぎどが嫌いどが関係がんげいなぐ、

ずぐに棍棒で人を殴るから、

にしなぐでいいよ……

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 俺は掌中の板から顔を背け、天井を見上げてため息をつく。


「魔王との戦いで俺を死なせたくないから追放したんだよな……。聖女じゃない俺には闇耐性がない。だが、肉体は俺の方が頑丈だ。魔王城まではまだ数日かかる。それまでは俺を前衛に置いて盾にすればいいのに……」



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■ソフィア@聖剣の聖女セイクリッド・セイント

おふたりとも。泣くのはもうやめましょう……

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■メイ@山村育ちの野生児

うん……。

取り乱してごめんね、ソフィアさん……。

こうするしかなかったんだよね……

────────────────────



「そうだ。泣くな。俺が最後にわざわざ嫌われ役を演じてやったんだ。っと、いけない。仲間の会話を盗み見するのは悪趣味だな。あいつらが大丈夫そうだと分かったし、能力を閉じないと。……ん?」



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■ソフィア@聖剣の聖女セイクリッド・セイント

あのまま私たちが一緒にいたら、

絶対にあやまちを起こしていましたわ

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■サリナ@多重多属性の魔法使い

昨晩は、焦った……

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(過ち? 昨晩? なんのことだ?)



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■メイ@山村育ちの野生児

まさか3人同時に夜這いを仕掛けるなんて思いもしなかったね

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■ソフィア@聖剣の聖女セイクリッド・セイント

まったくですわ。

あと少しで子種をいただけるところでしたのに……。

でも、そのおかげで思いとどまれましたわ

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■サリナ@多重多属性の魔法使い

ん……。

もし、夜這いを成功させて処女を失ってたら、

聖女の力を失って、魔王を倒せなくなるところだった……

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■ソフィア@聖剣の聖女セイクリッド・セイント

ええ。

私たちが聖女の力を維持し続けるには、

アレルさんを追放するしかなかったのです

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■メイ@山村育ちの野生児

ううっ……。

私、聖女になんてなりたくなかった。

お兄ちゃんと結婚して赤ちゃん産みたいだけなのに……

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 ……は?

 なに言ってんだこのガキども。


 俺は目をこすり、画面を見直す。

 見間違いではない。


 ドギツイ性的なログが流れていく。

 男がいなくなった今、12歳、14歳、17歳の娘達はまるで女子校のようなノリになっている。


 ふざけんな。

 何が『性的な意味で、乱暴に棍棒をぶちこまれたかった』だ。

 俺が好きなのは、精神年齢の近い母さんだからな。ガキはお断りだ。


 魔王討伐の賞金を手に入れたら、その金をメイともうひとりの妹の婚活資金にして家から追いだす。そして、俺は母さんとふたりで暮らす。

 それが俺の旅の目的……!


 魔王とはすでに『Xitterエクシター』で相互フレになっている。

 俺があいつの要望を聞く代わりに、魔王城の財宝をもらうという約束だ。

 だから、ここで帰るわけにはいかない。


 たとえパーティーから追放されようとも、俺は旅を続けるからな!

 金だ!

 金を手に入れて、母さんと幸せになる!



◆ 次回予告


宿を出て行こうとするアレル。

だが、彼に謎の声が語り変えてくる……。


『力が、欲しいか……!』


次回『荷物を拾うだけでも、超越者が『力が欲しいか』と聞いてきて鬱陶しい』にご期待ください。

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