学校で昼寝してたらダンジョンに繋がった
レモンの幹
第1話 なんか誰もいなかった
「笹野、もう寝るの!?」
「ちょっと眠くてさ、今日オフだし昼抜いてもワンチャン行ける。」
「ほーん。んじゃ予鈴で起こすわ。おやすみ。」
木曜日、顧問が出張かなんかでオフになった。
いつもは自主練だがなぜか今日だけオフ。とはいえ棚ぼたの自由を何に使おうか考えるのはこの俺、
身長177センチ、体重65キロ、黒髪黒目、現在彼女なし。顔の評価は「黙ってたらモテそう」らしい。これ褒められてる?
さて、今日は何をしようか。コンビニでもいいし駄菓子屋もあり、カラオケはちょっとキツイか?なんて事を考えてるうちに…ほら……だんだん……眠…く………
☆☆☆
「はっ!」
ぱっちりおめめで起床。黒板上の時計で現在時刻は16時5分。下校時間はとっくに過ぎ去っている。
「ちょ、起こせって!」
横に声をかける。返事はない。
考えてみればこの教室、やけに静かだ。いつもだったら少なくとも何人かは教室にいるはず。テストが先週に終わったとはいえ、勉強するなりなんなりがいるはず。
俺は後ろを振り向く。誰もいない。よく見れば全員机に荷物がかかったままだ。
「おーい!いたずらにしちゃ規模でかくないかね!」
返事はない。
「どういうことだってばよ……」
思わず某漫画の主人公が出てしまうぐらいには状況がわからない。
とりあえず、現状把握をしよう。
2年A組の教室には誰もいない。荷物はそのまま。電気もついている。
窓の外、いつもならいるはずの運動部の姿もなし。車、自転車はそのまま。
廊下に出てみるが、三階の教室は全部似たような感じだった。
ちなみに水道は生きてた。
上下の四階、二階も三階と同じ、誰もいない様子だった。
二階にある職員室でさえ同じ様子。パソコンの電源も入りっぱなし、何ならソフトも立ち上げっぱなしで、人だけいないのはひどく不気味だった。
「あっ!スマホ!」
現状が謎すぎてスマホの電源を入れてなかった!連絡が取れれば一安心できる。
画面の右上、映った文字は、
「圏外……」
いつもなら5Gが通っているはずのわが校で圏外が出る事なんてないはずなのに。
その隣のバッテリー残量のマークには無限のマークが書かれていた。ホーム画面から残量を見ても∞%の表示。百分率はMax100でしょうが。
「やっぱ何かおかしいな。」
いたずらにしては凝りすぎてる。というか俺一人だますためにこんな金かけていいわけがない。
「……」
取りあえず帰ろう!下校時間過ぎてるしセーフでしょ!
三階まで駆け上り、荷物を取って一階まで駆け降りる。
「……?」
一階の空気が変だ。重苦しいというか湿っているというか。匂いがないはずなのに匂いを感じるというか。空気に何かが混ざっているような感じがする。
試しに二階に上がってみると、なんともない。一階だけおかしい。
「うん、とりあえず帰ろう。」
怖くなってきたし、今日はすぐ帰って寝よう。カラオケとか言ってる場合じゃない。
下駄箱に小走りで向かい、靴を取り出して昇降口からいつもの洞窟へ、
「ってなんだよこれ!?」
いつもが洞窟なわけないだろ!?どうなってんだよ!いつもだったらベンチに座ったカップルとそれを横目に帰る帰宅部がいる普通の昇降口のはずなのに!
余りのわけのわからなさに二分ほど頭を掻きむしっていると妙に冷静になってきた。頭がひりひりする。
「なんなんだこの洞窟……?」
冷静になればなるほど謎な洞窟だ。なんで突然現れたのか。この洞窟と学校内に人がいないのはつなげて考えるのが自然な気はするが、謎だ。
「洞窟探検、しかないよな。」
荷物を軽くするため教科書その他もろもろを靴箱の上へ。リュックには母手作り弁当、水筒、筆記用具、財布。ポケットにはスマホ。念のためジャージに着替えておく。
「あと必要そうなのは……」
傘立てに入学したころから放置されていた傘を手に取る。コンビニで売ってそうな普通のビニール傘だ。ちょっと借りるだけだから許してください。明日返すんで。
顔も知らない所有者に謝りつつ、いざ、洞窟へ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます