霊専門カウンセラー狐狗狸さん

椿レイ

序章

　ここは黄泉の国へ行く一歩手前の街、守霊街。多くの霊が今日も今日とで忙しなく動き回っている。未練がありながらも霊になってしまった者、黄泉の国からちょっとした旅行に来たなどといった一般的な霊がいる中、自身が死んだ事がわからない者や自身の望まないまま幽体離脱し、生霊となってしまった者もいる。そんな者をを見かけたのであればこの街の幽霊としての先輩はきっとこういうだろう。

「10円玉を握りしめ49番通りの突き当たりまで進んでごらん。そうしてこういうんだ。いいかい？　丁寧にだよ？」

　ー狐狗狸さん、狐狗狸さん、診察をお願い致しますー

　人呼んで「霊専門カウンセラー狐狗狸さん」。

「狐狗狸」それは本職である動物の降霊では飽き足らずに、守霊街でカウンセラー営んでいるという霊界で知らぬものはいない霊の名である。もし気になったのであれば君も一度幽体離脱をしてみればいかがだろう。運が良ければ彼女を紹介してもらえるかもしれない……。