型なしクッキー

晴南

第1話

今日もいつもどうりの毎日。スマホのアラームをセットしても2、3回はスヌーズになってしまう。僕はは眠そうな顔でベッドから降りる。朝ごはんは面倒だから食べない派だ。時計を見るともう8時2分。始業の時間まであと30分ほどしかない。とはいえ、僕の家は学校から徒歩10分ほどしかないから今から向かっても余裕で間に合う。そろそろ制服に着替えるか。窮屈な制服に。見るだけで肌が痒くなる。「はぁ。」制服の生地くらい選ばせて欲しいものだ。とか文句を言いつつも制服に袖を通す。カバンを持ち階段を駆け下りるとキッチンにはエプロン姿で洗い物をしているお母さんがいた。「お母さん、学校行ってくるね。」そう声をかけるといつも母さんは僕の方を向いてこう言う。「行ってらっしゃい。気をつけてね。」今日の母さんは機嫌が少しいいみたい。「行ってきます。」そう言い玄関のドアを開ける。外の世界は騒音の嵐だ。電車の音やら、信号の音やら車の走行音やら何から何までが僕にはノイズに聞こえる。このまま聞いてたら頭がおかしくなるよ。僕はワイヤレスイヤホンを耳に突っ込み。お気に入りのクラシック音楽を聞く。クラシックは綺麗だな。一つ一つの楽器の音が重なり曲になる。なんて美しいんだ。それに比べ外の音は汚い音が重なり合って気持ちが悪い。そんなことを思いながら駅に進む。駅はもっと地獄だ。人が多い分話し声が色んな角度から耳に入ってくる。自分の事を話しているのではないということは分かっている。けど心配してしまう。僕が何かしたのだろうか、と。人の笑い声が僕に向けられていると感じてしまう。どうしてこんなに朝っぱらから疲れなければならないんだ。まぁ、仕方ないよなと自分に言い聞かせるしかない。これから満員電車か。極力人に触れられたくない。気持ちが悪いじゃないか人に触れられるのは。わざとじゃなくてもゾクゾクする。科学的な理由は分からないけど。あーあ、早く高校。卒業したい。僕は諦め半分で電車に乗った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

型なしクッキー 晴南 @Senananan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ