第4話 『少女に何が起こったか』ドラマも私も

ピアノの音は好きだけど、指の練習曲もソナタ・ソナチネもつまんない……


小学校高学年になった私は、惰性でピアノに触れているのが嫌で悶々としておりました。


そんなある夜、たまたまテレビをつけたら、TBS系列のドラマ『少女に何が起こったか』の途中で、ショパンの『革命のエチュード』を知りました。


こーれーだぁぁああーっっっ!


生まれて初めて、この曲を弾きたい!と強く思ったあの衝撃、今でも鮮明に覚えています。


この曲を弾くために私は指の練習をしてきたんだ!


獅子座O型の単純王な私は、そう信じて疑わず、母にこのドラマで流れている曲がショパンの『革命のエチュード』であることを教えてもらい、翌日、楽譜を購入。


全音ピースで買い、ランクは一番難しいF(当時)に燃える。


……が、楽譜見て、「おわたまる……orz」

と膝から崩れ落ちました。


なぜなら私、手が小さすぎるのです。


オクターブ、届かないんです。

『乙女の祈り』『トルコ行進曲』、届かないんです。


手が小さいから、音大もピアニストも無理、と早い段階から言われていて、実際、鍵盤に指が届かないから音が出せない曲が多く、私もそれは納得していました。


ただ、ピアノが好きだから続けてる。

それだけ。


だったのに!


ショパンの『革命のエチュード』だけは、どうしても弾きこなしたい!


手が小さい?

指が届かない?


人は成長するのよ?

赤ちゃんからここまで大きくなったのよ?

これからまだ成長期は続くのよ?


大丈夫。

手も大きくなる。

ずっと開いておけば、大きくなる。


そう信じて疑わず、思い立ったが吉日で即座に行動に移した(暇さえあれば鍵盤に触れてオクターブ届くよう手を広げ、お風呂(湯船)に入れば手を広げて指引っ張った)私でしたが、


1mm足りとも手は大きくならず、ギリギリオクターブは届くけれど和音は厳しいまま現在に至ります。ええ。


あ、ここはくすっと笑うところ。

ですよねー、と。


右手はダメ(=きちんと音を出せない)でも、培ってきた指の練習の成果を、左手で魅せるから問題無し!弾ける!


無駄に根拠のない前向き思考で、練習しました。


勢いと情熱で右手の難が気にならないくらいに凌駕する。


その一念で練習してました。


だがしかし。


悲しいかな。

それはただの自己満足の塊でしかなく。


現実と音は容赦なく厳しいのでありました。


余談だけど、ドラマでは、紙のピアノで練習してて、「本物のピアノが弾きたい!」みたいなこと言ってたのを見て、私、泣きながら、本物のピアノで練習できることに感謝して、ちゃんと練習しよう、とも思った単純王です。


子どもだったのと虫食いでしかドラマ見てないから、オトナになった今、最初からきちんと見てみたいなー。


サブスクにないかな?


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