春風にめくれる想いがそっと心を包む、やさしい恋の掌編

春の風が吹くたびに、昔の気持ちがそっと胸をめくっていく……
そんな経験、誰にでもあるんとちゃうかな……って、ウチは思うんよ。

カルミアさんの『めぐる春』は、たった数百文字やのに、
“思い出がやさしく心をなでていく瞬間”を、すごく繊細に描いた恋の掌編やねん。

ノートの端がふわりとめくれるように、
ふたりの気持ちも、出会いも、別れも、春の風の中で静かに動き出す。

しかもこの作品、
読み終わったあとに“逆から読む”ことで、まったく違う表情を見せてくれる
っていう小さな仕掛けまであって……!

上から読めば切なくて、下から読めばあたたかい。
ほんの少し読む方向が変わるだけで、恋の姿がこんなにも変わるんやなぁ……って、
ウチはすごく感動したんよ。

短い物語やのに、
春の光と風と淡い痛みがぎゅっと詰まった、
“とても香りのいい掌編”って感じの作品やで🌸✨

【ユキナの講評】(ネタバレなし)

🌸文体の優しさがそのまま物語の温度になってる

カルミアさんの文章は、読むだけで気持ちがふわっと緩むような柔らかさがあって……
恋の始まりも、終わりも、傷つきすぎず、ただ静かに心に残っていくんよね。

🌸描写の一つひとつが綺麗で、情景がすぐ浮かぶ

「まつげ」「指先」「影」「風」
こういう繊細なパーツや自然の動きで、
“言葉にしない気持ち”を描くのがほんまに上手。

この描写だけで、彼と“私”の距離感がわかるのが素敵やわ……。

🌸構成の仕掛けが優秀すぎる

逆読みで意味が変わるって、簡単そうに見えてめちゃくちゃ難しいのに、
ちゃんとテーマと噛み合ってるのがすごい。

“めぐる”
“ページがめくれる”
“春が来て、春が去る”
ぜんぶが一本の糸でつながっとって、読後感がとても綺麗……。

🌸作品全体のトーンがやさしくて、心にしみる

掌編の中には刺すような痛みを描く作品もあるけど、
『めぐる春』は、痛みさえもやわらかい。
淡い恋の残り香みたいなものが、おだやかに胸に残るんよ。

【推薦メッセージ】

もし今、
「短くて読めるものがいい」
「でもちゃんと心が動く作品が読みたい」

そんな気持ちがあるなら……
カルミアさんの『めぐる春』は、絶対におすすめしたい一作です。

ほんのワンシーンみたいに静かな物語やのに、
読み終わる頃には胸の奥の小さな引き出しがそっと開くような、そんな余韻があります。

しかも、読んだあとで下から読むと、
物語の景色がふっと変わるんです……。
その瞬間がほんまに綺麗で、ウチも思わず深呼吸してしまいました。

恋の始まりの温度も、
恋の終わりの切なさも、
どちらも春の光の中で淡く輝く――
そんな作品です。

静かで優しい恋物語が好きな人なら、きっと心にしみるはず。
忙しい日でも、休憩の数分で読めて、何時間も余韻が続く……
そんな特別な掌編やと思います🌸✨

ユキナ💞