第5話 練習室
次の日の朝。
まずはハンター協会。
前の受付嬢がいたので、そのカウンターに並ぶ。
別に好きになったわけではない。
色々とやってもらって役に立ったからだ。
何人もと付き合うよりは一人に絞った方が良い。
おっ、俺の番だ。
「おはよう」
「おはようございます。どのような御用でしょうか?」
「手近なダンジョンを紹介してくれ」
「あの、あなたのスキル構成ですと、死にに行くようなものです」
忠告してくれるのな。
余計なお世話だが、俺のためを思って言っているのだから腹は立たない。
「魔法言語の開発に成功したんだよ」
「なるほど、試し撃ちですか。ならば、ダンジョンではなくて、ハンター協会の練習室がありますけど」
まあ、ちょっと試してみても良いかもな。
他人の意見も聞きたいな。
そういう常識はないからな。
「練習室を借りよう。そして、教官にアドバイスをもらいたい。いるんだろ?」
「ええ、では手配します」
だよね、ハンター協会はハンターの生存率と資源の獲得率を高めるのが目的だ。
お金を払い。
一番安い練習室に入る。
金属のオークが立っているだけ。
一番高いのはゴーレムで、威力測定魔道具が装備されているらしい。
威力測定やゴーレムに興味がある。
だが、金がないので、後回しだ。
入って来た教官を見て、心がざわつく。
こいつは金貸しの息子の
今世の俺がクズになった原因の9割。
「驚いたな。
「金輪際、俺を名前で呼ぶな!」
「どうしたんだ? 俺達、親友だろう」
「お前が詐欺師で俺がカモの間違いだろう」
「へぇ。誰に入れ知恵されたのか知らないが、そういうことな」
「チェンジと言いたいが、まあ見ていけよ」
ドアが開いて、先程の受付嬢が入ってきた。
「
「酷いな。
ふーん、受付嬢は
しかも、
「駆け出しの有望なハンターがあなたの指導を受けてから、潰されました」
「何か証拠でも?」
「無理して高い装備を買わせられて、その借金はあなたの父親の金融会社からではないですか」
「金が必要だからって、言うから、親切心で紹介してやっただけだ。しかも全員死んでないだろう」
「死んではいないですが、裏ハンターになったり、奴隷みたいに働かされているじゃないですか」
「才能がなかったんだよ。そういうハンターはごまんといるだろう」
なんで教官をやっているかと思えば、そういうことね。
カモを見つけるための狩場なわけか。
「時間がもったいない。話すなら、外でしてくれ」
「だそうだ」
「
「いや別に良いよ。さて、やるか。【翻訳】【文字置換】」
【火球】を翻訳して、【fireball】を文字置換。
そして、無詠唱。
【雨に紛れ、信長軍は静かに今川の本陣迫る、そして、信長の刃は振り下ろされた。
「牙を剥いて突っ込むぞ!」
「犬千代、遠慮なく噛み砕け!」
「筆より鋭い刃を見せようぞ!」
「書物殿、知恵も刃も使いこなせ!」
「兄上のため、命を賭けて突き進みまする!」
「弟殿、背中は任せたぞ!」
「影に徹した我が槍、今こそ陽に出る!」
「影の恒興、その一閃で道を照らせ!」
「仏も怒れば刃を振るうぞ!」
「仏の長秀、慈悲は要らぬ、斬れ!」
「鬼が通るぞォ!道を開けい!」
「鬼柴田、敵陣を喰らい尽くせ!」
「味方を守りつつ斬り込むぞ!」
「黒母衣の盾、崩れるな、支えろ!」
「盾が割れたら、もう丸裸じゃ……!」
「黒母衣の盾、割れても立て!」
乱戦の渦中、信長の刃が閃き、今川義元の首が地に落ちた。】この文章が表示された。
そして、天井まで届く大火球が鉄製のオークへ飛び。
どろどろに溶かした。
「お前……。さては裏クランに入ったな。どこのクランだ?」
「さてね」
「こんな呪文は知らない。信長の演劇台本を元に暗号化してあるのか。俺に見せたのが失敗だな。いいや、お前、俺と手を組んで仲良くしようぜ」
「鳥頭なんだな。いいやゴブリン頭だろう。俺は忘れていないぞ」
「俺が何をしたって言うんだ。事業をしたいって言うから手伝ってやっただけじゃないか」
「お前が紹介した従業員はみんな仕事しないで、横流しや横領してたよな」
「何のことかな」
「過去視の魔法も使えるんだぞ」
はったりだけどな。
「ふん、言うなら見せてみろ」
「見てろよ。【翻訳】【文字置換】」
【フォログラフィ】を翻訳して、【holography】を文字置換。
そして、無詠唱。
【雨に紛れ、信長軍は静かに今川の本陣迫る、そして、信長の刃は振り下ろされた。
「サルでもやれると証明してやるわ!」
「サル、励めよ、出世は目の前ぞ!」
「……斬る」
「無口の季忠、その一太刀が語るのだ!」
「味方を守りつつ斬り込むぞ!」
「黒母衣の盾、崩れるな、支えろ!」
「……もう、どうにでもなれ」
「無口の季忠、黙って斬れ、それでよい!」
「風のごとく駆け抜け、首級を挙げてみせよう!」
「黒母衣の風、嵐となって吹き荒べ!」
「兄上のため、命を賭けて突き進みまする!」
「弟殿、背中は任せたぞ!」
「鬼が通るぞォ!道を開けい!」
「鬼柴田、敵陣を喰らい尽くせ!」
「風見の名に恥じぬよう、風を読んで突く!」
「風見の高盛、風を味方にせよ!」
「サルでも逃げたい戦場ってあるんだな!」
「サル、愚痴を言う暇があったら、手を動かせ!」
「兄に劣らぬ戦を見せようぞ!」
「うつけの弟、うつけの本気を見せてみよ!」
乱戦の渦中、信長の刃が閃き、今川義元の首が地に落ちた。】と表示された。
今世の俺が社員として使ってた奴らの横領シーンが映る。
俺の創作だけどな。
「魔法で出した映像など、証拠にならない。時間だから俺は帰る」
「そう言うなよ。延長しようぜ。的が溶けたから、次はどこに飛ぶか判らないな。【文字置換】」
火球の呪文が表示され、
「ひぃ! あつっ!」
殺しはしないよ。
脅すだけだ。
俺の2割が喝采してる。
へたり込み、小便を漏らす
「すまんな。魔法初心者でな。的がないから、手が滑った。悪い悪い。親友だろ許してくれるよな」
「ふふふっ」
「訴えてやる」
「訓練で事故はつきものです。ハンター協会職員の私が、訓練中の事故だと証人になります」
「そういうことみたいだな」
「覚えていろよ!」
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