その時、沙魚飛んだ

縞間かおる

 やっと金曜の夕方を迎え「ああなんか、スーパーのお惣菜とかじゃなく、美味しい天ぷらが食べたいのよね~」と更衣室で口走ったらが「いいねぇ~それ!」と話に乗って来た。


 てっきり夜の街へと繰り出すのかと思ったら、私を会社近くのスーパーへ引っ張って行ってベビーホタテを買えって言う。


  「なんだ!かき揚げでも作るの?」って聞いたら「明日、もっといいものを作ってあげるから、防寒と日焼け対策をバッチリしてアウトドア仕様で待ってな! 迎えに行くから」なんて宣い、私の買ったベビーホタテを取り上げて「じゃあ! 私、寄るところがあるから!」とマッハで置いて行かれた……


 あんまりな出来事に私、半ば呆然としながらも笑いがこみ上げて来た。

 確かに彼女は変態だが悪いヤツではない。なので私は大人しく彼女の指示に従う事にした。



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