短編 俺は大魔王

霞千人(かすみ せんと)

第1話 大魔王誕生

この小説には理不尽な展開、胸糞展開が有りますので苦手な方は避けてください。

なお、この小説の舞台はリアルな日本ではありません。良く似た世界での物語です。


◆◆◆◆◆


俺は田山次郎。丸山高校の2年生で虐められっ子だった。今日も学校の虐めっ子の連中に殴られ蹴られて、ボコボコにされた。痛い、悔しい!辛い!力が欲しい!そんな感情の渦に巻き込まれているうちに流血がひどく、意識が遠のいていった。


気が付くと真っ黒な空間に居た。俺は死んでしまったらしい。

『おお、気が付いたか。おぬしこっぴどくやられて死んでしまったようだのう。悔しいか?やり返したいか?力が欲しいか?」

「欲しい!あいつらどころか世界中の理不尽をぶっ壊せるくらいの強力な力が‼」

『良かろう。貴様に世界を滅ぼせる強力な力を与えよう』

「本当ですか?あなたは一体誰ですか?」

『我は嘘はつかぬ。人間と違ってな。我が名はグローガー。人間は我を邪神と呼ぶ』

「俺に何を望むのですか?魂ですか?」

『そうじゃのう。貴様が理不尽に他人を苦しめ、殺しまくって人間どもの阿鼻叫喚を見せてくれればよい。1日に1回以上、人間に仕返ししてあとは美味いものを食い、酒を食らい女の肉体に溺れるが良い』


「それならお願いします」

『良かろう。少し痛いが我慢しろ。なあに、これまで貴様が味わった痛みに比べたらたわいも無いものだろうて。今後貴様は【大魔王ヘクソンガー】と名乗るが良い』


そして強烈な痛みが襲って来た。今の俺は魂だけの存在のはずなのに顔が身体中が変化していくのが判る。七転八倒して痛みに耐えると俺は醜い悪魔の姿になっていた。様々な魔法、超能力を使えるのが判った。


俺は豪華な部屋の豪華な椅子に座って綺麗な女を両脇に侍らせ、骨付きの肉の塊にかぶりつき、初めて酒を飲んだ。



酒に酔う度に世界中から理不尽に虐げられている光景が

頭に浮かんでくる。

その中から俺は人間を襲っている熊に精神を集中させた。

熊畜生の分際で俺をイラつかせるとは生意気な!

次の瞬間俺はその場にいた。

俺は俺の行動をカメラに収め、世界中に拡散させることにした。

「我が名は【大魔王ヘクソンガー】。これより我の気に入らぬ熊どもを殲滅する。熊を殺すなと言う者がおったらその者の家に熊を送り込んでやろう。大いに可愛がってやれ。大丈夫その家から出れないように、頑丈な目に見えない壁をこしらえてやろう。我は寛大な心の持ち主だからのう」

俺はそう宣言して以前熊を銃殺するなと叫んでいた男と女の家に親子の熊を転送してやった。


その上で目に付く熊をことごとく惨殺していった。出来るだけ残酷に血を流して。人間どもの恐怖心を煽っていった。【大魔王ヘクソンガー】の名を知らしめるために。


その国中の里に近い場所に熊は居なくなった。

大量な熊の肉は部下共に下げ渡してやった。

「「「「「大魔王様万歳‼」」」」」

魔王国住民共からは大歓迎された。

テレビで熊を銃殺するなと言っていた男女は大好きな熊の親子に美味しく頂かれていた。その国の全家庭のテレビで目撃されながら。


続く

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