第2話 若苗獏々 篇 待ちに待った日

■Emotional Story


料理をケースに詰めてケータリングに出かけた。

(あの時の男の子なら、きっと感じるはず)

獏々は、実はそわそわして落ち着かない。

全ての料理を並べたらやることが無くなり、スタジオの出入口を見てしまう。

ドアが開いた。

ハッとして見るとスタジオのスタッフだった。


(やだ、もう。いつ来るか分からないし、来ないかも。とにかく平静を装わなきゃ。思い違いって事だってあるんだから)


でも心の奥では、確信していた。

(来た!)

新橋夢士より背の高いマネージャーと一緒に近づいてきた。先にマネージャーにリクエストされたので、取り分け出した。でも、あっちが気になって仕方がない。


(メインディッシュを見てるのね)

「よろしかったら取り分けさせて頂きます」

少し遠くからやっと言った。


獏々は、そばへ行きもう一度声をかけた。

同じ空間にいる、あの最後の日みたいに。


獏々に対する感情の波を感じた。

(間違いないわ。私を覚えてるのよね?でも表情に出すのはやめよう。思い込みだったら大変だもん)

それでも夢士の驚いたような表情が、獏々の目に焼き付いた。



本書:新橋夢士〜夢悪神なんて嫌だ。俺はこんな能力欲しくない

厄介な特殊能力を持つ二重人格の男が運命に逆らい、生き返るまでの2週間

第6話 14日前〜夢士1日目 現実・撮影4https://kakuyomu.jp/my/works/822139839113481725/episodes/822139839117325592

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