エウメネスを後継者に選んだアレクサンダー大王

「はい。できれば、エビデンスも添えて……」

 空夢風音は言う。

「エビデンス? エビデンス……ん……エビデンス至上主義は危ういと思うんだが……自分の頭で考えることを放棄してるのは高学歴なだけの野郎でよくある。

 いや、エビデンス抑えて堅実に行くのは重要だよ。ただ相手がそれを逆手に取るからな……」

「ダメですか?」

「いや、できるけど、吐かないでね」

「?」

「まず最初。この文書を地球から得たんだ。密偵がな。で、地球が火明星ほあかりぼしにムーンショットと核ミサイル1万発で先制攻撃するという文書をオーヴァン=フォン=ヴァーレンス国王が見て、わたしたちに先制攻撃の命がくだる。去年の夏の話ね。君と出会って間もない頃。風音」

 とミハエルは魔法で文書を呼び出す。

 で、わたしはやる気だった。去年の夏、命がくだる前々からな。

 それは沢山の理由があるんだが、例えば、流行りの新種のびょーきの特効薬と称した遺伝子改変毒プラスミドの薬をありがたがる『大人』!

 大人のくせに!

 子どもかよその騙され安っぷりは。

 ほんとに人類存亡のびょーきで特効薬ができたならまず下々になんか回ってくるはずない。

 むしろ隠す地球人は。自分だけ助かりたいバカがいたんだから。

 名探偵じゃなくても考えたらわかる。

 こんな社会てどんな社会だ。

 そりゃあ、言葉荒くなる。

 不正と癒着を普通考える皆。

 どこまで魂腐ってやがるんだ。



 バベルの塔建設時代から同じやり方。

 200人の堕天使(ルシファー率いる)が人間の娘とセックス

 堕天使ハーフの身長20メートルの巨大ロボットと素で戦える世紀末な外見のネフィリム

 その子孫のカイン→Xアベルを殺害 他にセツ

 セツの子孫ノア(善人。天蓋瀑布を生き延びる)

 カインの子孫ナアマ(人身御供・人肉食が趣味)とトバルカイン(魔術・妖術の祖。古代核兵器の生みの親(天火明命に落とされた200人の堕天使のうち、堕天使アザゼルから妹ナアマをハニトラで使い、アザゼルから核兵器の作り方を学ぶ)) 

ノアの息子、ヤペテ、ハム、セム

 そりゃカインの一族、カナン人、ハムはノアに呪われるしアレクサンダー大王は

「あいつらを同じ人間と思ったらだめだ!」

 と叫んでティルスを殲滅しカルタゴの最後やティルスの最後になるわ。

 焚書

 歴史消滅

 暗黒時代で塗り替えて俺様の天下。エビデンスなんて俺が殺して亡き者にする。

 エビデンスは暴力で消し去る。

 かぎつける奴は殺してモロクの生贄にする。

 歴史の空白時代、暗黒時代は大体今の騒動の地球の首謀者の血筋が関わってる。

 エビデンス求める時点であいつらの後手に回ります~って。

 もっと早く!

 あいつらよりも早く!

 エビデンスなんかより、あいつらのスピードよりもはやく!

 先制攻撃できる程こちらが早く動かねえと悪は人殲滅できねえよ。『フェニックスを二度と復活できないように』倒さなきゃいけないんだぜ。



【フェニキア人の"不死鳥的"タフネス5大要因】

アレクサンダー大王とローマ帝国が皆殺しにしたはずなのに、

1. 海洋民族としての適応力:

都市が滅んでも「交易ノウハウ」は不滅

船員・職人・商人のネットワークが生き残り


2. 技術のブラックボックス化:

紫染料の製法は一族のみに秘伝

ガラス吹き技法は移動先でも独占


3. 多文化共生術:

支配者に「不可欠な存在」として取り入る

→ プトレマイオス朝では海軍将官に登用


4. ディアスポラ戦略:

カルタゴ(チュニジア)

ガデス(スペイン)

モグドル(モロッコ)等へ分散してリスク分散


5. 情報独占:

大西洋航路の潮汐情報を秘密保持

ジブラルタル以遠の錫貿易を300年間独占


「まさに奴らは……「国土なき海洋帝国」ヴェネツィアやホンコン商人の原型

 面白いエピソードがある。ローマがカルタゴを滅ぼした時の紫を今召喚する。魔法でな」

 突然、ミハエルはフェニキア船の模型を呼び出し、そこから小さな紫の染料瓶を取り出す

「いや、『敵ながらあっぱれ!』と叫ぶべき商魂だわ!

 このティルスの紫は、1グラムで銀100グラムの価値があった。

 ローマですら滅ぼした後に、わざわざフェニキア人職人を生かしておいたほどなんだ。憎しみに濡れていても。

 紫の衣の端を翻しながら、海洋民のしたたかさに舌を巻くミハエル。

 フェニックスを神にしているだけはあるわ。

 わたしフェニックスで好きなの、一気飲みしそうなあのにーやんだけだってのに……。


 で、

【フォイニクス(Φοῖνιξ)の名前の多重性】

1. 語源:

古代ギリシア語で「深紅色」「棕櫚」「フェニキア人」を意味する

フェニキア人自身は「カナン人」と自称


2. 神話的関連:

フェニキアの主神バアル=フェニクス(不死鳥の原型説あり)

エジプトのベヌウ(不死鳥)との習合


3. ソロモンの悪魔伝説:

『レメゲトン』第2書に記載の72柱の悪魔の1柱

フェニックス:詩と修辞学を司る鳳凰の姿の悪魔


 『エビデンス探す時間もあいつらを出し抜くスピード上げる時間に使って、星の数ほどの仮説を準備して、その星の数ほどの仮説を武器に、そのうち1個でも当たれば自分で自分の命を拾えたと喜ぶ。そんな風に生きる事に対して本気になれ』

 と、先人たちに叱咤されているような気がしてるよ。わたしは。

 わたしのこれ、ディー戦略って言うんだ。

 中世の魔術師ディー博士が『エノク語』解明に用いた方法だ。7,892の解読仮説からわずか3つが的中し、天使と通信できたことからそう言われる。


 経済においてもフェニキア人は厄介だ。フェニキア以外の種族に対しては薄利多売を行って、現地の産業を潰し、市場を独占するように努めた。

 これ安いからいいって話じゃなくて、現地産業を破壊する手口なんだ。奴らは現地の素朴な製品を駆逐していった。そして商店街はシャッター街に。

 これは現代にも通じる策略だ。

 フェニキア人の商慣行は『安さの罠』の原型だ。まさかこれまで陰謀論いうなよ? 大航海時代系ゲームでプレイヤーみんながやってる攻略法だからな。



【フェニキア式経済戦略の実態 普通は『魔導PCゲーム以外では情が邪魔して』やらない】

1. 海上交易で得た大量の安価な商品(特に紫染料・ガラス製品)をダンピング

2. 現地の手工業者が価格競争に追随できないよう計画的に価格操作

3. 市場支配後は徐々に価格を引き上げ、独占利益を獲得

4. 交易路の要衝に植民都市(カルタゴなど)を建設し、経済的足がかりに

 これは現代の多国籍企業の手法と驚くほど類似している:

19世紀イギリスのインド綿織物産業破壊

現代の地球のプラットフォーム企業による地域経済の寡占化

グローバルサプライチェーンによる地場産業の駆逐

『ヘロドトスも『歴史』第1巻でこう記している:

 フェニキア人はキプロスから安価な陶器を運び込み、地元の職人を飢えさせた。

 重要なのは、フェニキア人が単なる『優秀な商人』

 ではなく、

 現代で言う『掠奪的資本主義』の先駆者だった点だ。その経済的侵略は、カルタゴ滅亡時にローマが

『デレンダ・カルタゴ(カルタゴは滅ぼさねばならない)』

 と叫んだ理由の一つだろう。

 ミハエルはフェニキアガラス器の複製品を魔法で呼び出し、光にかざしながらそういった。


【ダンピングの戦略的定義】

1. 基本概念:

原価割れで商品を販売

競合を市場から駆逐後、独占価格を設定


2. フェニキア式3段階:

|段階|行動|目的|

|1 |紫染料を1g/銀50g→10gに値下げ|地元業者の撤退誘発|

|2 |3年間継続(耐久レース)|生産基盤の破壊|

|3 |独占後1g/銀200gに値上げ|暴利の獲得|


3. 現代の変形パターン:

プラットフォーム企業:初期無料→独占後手数料値上げ

多国籍企業:補助金漬け輸出→現地企業駆逐


4. 魔術的比喩:

市場という神殿で、安価という供物を捧げて

競合という悪魔を退散させる儀式


 特に重要なのは……

「ローマがカルタゴを滅ぼした真の理由は、軍事力より『フェニキア式ダンピング』への恐怖だったんだ」


 ミハエルは、突然、古代の価格板(チラシ的な物)を召喚し、取り出す。

「それは?」

 空夢風音がようやく口を挟む。ミハエルは、

「見ろ、これ地球の紀元前5世紀の粘土板なんだけれどな、『小麦1袋=銅2ミナ』と書いてある。これは当時の生産コストの半分だ!」

 ミハエルは紫染料の瓶を逆さにし、中から独占禁止法の書類が溢れ出す。空夢風音は不思議そうに見る。



「エビデンス探してるうちに、消された例。

 民主主義のデモクラシーという言葉には、かなしい響きがある。

 この言葉のもとになったギリシア語『デーモス』という言葉は、元来『別れ』という意味なんだ。

 悪魔とよまれたり別れとよまれたりろくがことねえなあ民主主義! 哀れなミケーネ……。

なぜ民主主義が『別れの政治』なのか?

なぜ『別れ』という言葉が、民主主義そのものを意味するようになったのか?

一般に、古代ギリシアで人類最初の民主主義が誕生したのは紀元前9世紀頃とされている。

 ところがその誕生のエビデンスが経緯自体が『はっきりとエビデンスが証拠隠滅』されている。

 古代ギリシアには『暗黒の200年という歴史に大きな断絶の時期がある』んだ。

 それより

『前の時代の史料は多く残ってる』

『後の時代の史料も多く残ってる』

 誰かがエビデンスを消した。200年をな。

 その間だけはなぜか異常に史料が乏しい。

 もちろん、天変地異で資料がその年代だけないというわけではない。

 そして、古代ギリシアが王制から民主制に移行したのは、この暗黒時代なんだ。

 地球初の民主制がどういう経緯で誕生したのかは、歴史の闇に包まれてる。地球ではな。

 歴史がなぜか消えているこの暗黒時代を過ぎると、それ以前にギリシアを支配していたミケーネ王国という領域国家は消えていて、どこからともなく現われた数百の都市国家が、いつのまにか、ギリシア全土に成立している。

 そしてぜ~んぶ民主制だ。

 おかしいだろ?

 自然にそんなこと起こるか?

 アホか。ち○こ。

 領域国家としてのミケーネが、数百のポリスに「分割」されたのはなぜなのか?

※王家の人たちが嘘のように消されて、いつのまにか民衆たちが支配している異常事態はどうしてなのか?

 この間、いったいどんな事が起こったのか?


『▲民主制というのは、もともと植民地統治の一形態▲』

つまり『民主制自体をやめないと、庶民主体の政治なんて永遠に来ない』これは、ソクラテスが毒殺されて命をもって示してくれて、その命のメッセージを受け取ったプラトンが結論の『哲人政治』を目指した。

 そしてヴァーレンス王国ではライフル1万発くらっても筋肉鎧で跳ね返した、ブラックホールの中でも平気なオーヴァン=フォン=ヴァーレンス国王が哲人政治を行っている。


 だったのでは? あのソクラテスだって民主制で毒殺の刑に処せられたんだから」

「そんな……」

 空夢風音は少ない言葉で、なんとか戸惑いを表す。

「この火明星ほあかりぼしのヴァーレンス王国はオーヴァン=フォン=ヴァーレンス国王の『善人による善の独裁』で貨幣制度をわざと形骸化させた。

 それでいて発展もしている。

 奴らはすごい攻めにくいな。はっはっは――――!


 あいつらは人間を精肉店に並んでる牛肉と同じだとみなしている。冗談抜きでな。エビデンス言ってる間に殺されるぞ!

 じゃないと人格者のアレクサンダー大王が

「あいつらを同じ人間と思ったらだめだ!」

 と叫んでフェニキアを殲滅しティルスの最後にする。

 あそこまで怒り狂うかよ。優しいアレクサンダー大王。

「フェニキアというのは紀元前15世紀頃から地中海全域を支配した都市国家。

 そういう一つの国があるわけではなくて、現在のレバノン海岸周辺にビュブロス、シドン、ティルスなど、同じ言語、同じ宗教の都市国家群が連携して地中海貿易を支配していたんだ。

 ギリシャ、イタリア、北アフリカ、スペインはもちろん、海峡越えて西アフリカまで植民市持ってた。

 まるで大航海時代だ。わたしもそーいうゲームやったわ、魔導PCで。

 奴隷貿易の部分は削除されてたけどな。ゲームから。

 古代地中海は都市国家フェニキアの艦隊と商船の支配する海だった。悪魔メフィストフェレスがファウスト5幕で

『海軍と貿易と海賊は三位一体だ。これが分らない奴は航海の素人』

 と言ったように。

これもあいつらに似てるんだけど、彼らは自分達の歴史をほとんど書かなかった。わざとな。エビデンス野郎対策で。

 だから謎の民族と言われている。資料もすごく少ない。つまり、風音、君みたいな

『エビデンス頼りに行動する奴を煙に巻く気満々。エビデンス野郎にいつも対処できた状態で奴隷貿易、強姦、カニバリズムをおこなう。強姦し終えて、文字通り食べ残した地中海の王女の食べかすは、船から投げて鮫に食べさせてエビデンス消滅、というわけ』

 エビデンス言ってる間に腕力でカニバリズムとめないといけねーだろ。

 だ。そんな時に頼るのがヘロドトス。歴史だ。

 ちょっと買い物をするためにフェニキア商船に乗った王女と侍女がそのまま連れ去られた記述がヘロドトスの『歴史』に書いてある」

「……………………」

 空夢風音は何も言えない。不安げな心持ちでミハエルを見る。

「で。ヘロドトスによると、フェニキア人て

『なんだか知らないけどこの人たちはものすごく嫌われてた』

 それはなぜ?

 他人の子どもを誘拐して頭勝ち割って脳みそ食べて

「地上の生き物は全部俺たちのおもちゃだ! おれらはネフィリム(堕天使ハーフ)なんだぞ! 人間ごときおもちゃが偉そうに刃向かうな!」

 っていってりゃあ、そりゃあ嫌われるわな。あいつらは人を同じ尊さでは見ない。だから嫌われる。

 リアルで人食い好きな奴いるか? いねえだろ。人類みな友達って思ってねえんだよ。わたしたちと違って。

 彼らは、なぜ、あそこまでやられたのか?

 カルタゴも、ティルスも、むごすぎだ。

 ローマはカルタゴを滅ぼした時、ほとんど皆殺しにしてる。

 『ローマという国は普通、他の国にはあそこまで残虐に出ない』

 んだ。

 またアレクサンダー大王のティルス攻略も、明らかに異常だ。

 ティルスは、フェニキア諸市の盟主にあたる都市国家で、ティルスの宗教もモロク信仰(他民族を人さらいしての人身御供推奨)で、港の沖合いに島があって、そこに全部の都市機能があった。

 アトランティスの王はポセイドンで、その街はポセイドニアと言われてたという記述がある。

 ポセイドンを崇拝ってか、王様がポセイドンってのは、言うまでもなく海洋民族で。

 そうでないとそんな名前つけねーでっすよ。

 海洋民族といえばフェニキア人。



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※某サントハイムのように忽然と。

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