あはりや あそばすと もうさぬ
「かしくいたし
う○ちしもうす
ここにたてまつる
わがはらのうちに ねんじもうす う○ちしもうす
わがはらのつわものどもよ
こもんより しんこうのめいれいいたす
はらのなかに すうじつたまりもうた う○ちしもうす
なかなかにでてこず くろうしもうす
もうすぐでてきもうす」
ミハエルは無駄にイケメン顔で古代日本語でう○ちをきぼうしておった。
「おめえぶっ殺すぞ う○ち奉ってどーするんじゃっつーの!」
巫女で、数多くの呪文を覚えている、呪禁師の水鏡冬華が顔に怒りマークつけて、トイレの前でミハエルにのたもう。
水鏡冬華は去年、エンキヘビ=ムーンチャイルド戦で、学園都市フェルトの地下神殿の戦いで、これを用いた。アルヴェロ=カルティエ戦の前に。
ミニスカ巫女の天馬蒼依も共に。
「水鏡冬華がおこうておるわ。小鬼が1匹おるわ」
トイレの中で余裕を持った返しをミハエルはする。
「おめえその喋り止めないとぶっ殺すぞ! 言霊をう○ちで使うな!」
「おこうておるわ」
「ぶっ殺すぞ」
「いとをかし」
「おかしくないわ! ばーか!」
もはや小学生ばりにミハエルをバカ呼ばわりする水鏡冬華。
「あはりや あそばすともうさぬ う○ち
まだいうミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒ公爵。
「こんのアホがぁぁぁぁ!」
水鏡冬華の怒りが、トイレ前で炸裂した。
「でもマーラ様までいるからねぇ釈迦を惑わせようとしたち○こ魔神。ち○こときたらう○こでしょー」
「ちん……ときたらうん……それが小学生レベルっつてんのよ………アホが」
半眼で水鏡冬華はうめいた。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
そしてトイレ後、エルフのエレナ=オブ=メノーシェを部屋に招き入れたミハエル。
「じゃあ、執事や親以外の男の近くでこうあいさつ以外でじっくり近くで話すの初めてなのね。100年生きてるのに」
何の気もないように、ベッドに座った、彼女の隣に座ったミハエル。
「は、はぃぃ。はじめてです…………。あなたに、かげむちゃちゃんに、話しをするってしょ、正直決心した今でも怖くて……」
だが今は普段の彼女ではない。ガチガチだ。エレナ=オブ=メノーシェがフルフル震えて答える。ガクガクと白い網タイツに包まれた足が震えている。
「かしくいたし
う○ちしもうす
あはりや あそばすともうさぬ う○ち
「……はいぃ? なんて言ったんですか? ヴァーレンス語ですかぁ?」
「いやなんでもない」
ミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒ公爵は、先程の流れにつろうておるわ。
出会った経緯が経緯なので、ミハエルの事をかげむちゃちゃんという彼女、エルフのエレナ=オブ=メノーシェ。
別に特別な事情を話そうというわけでもない。普通の会話だ。
むしろミハエルが普通じゃなさすぎて困るといったところだ。
それで、こんなに緊張している彼女。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
普段の彼女は立っている時なんだか『特に腰とお尻に落ち着き』がない。
どういうことかというと、走る時はともかく、止まると女らしいポーズで日傘を差した深窓の令嬢を思わせるくらいにくねくね上半身は揺らし、下半身(特にお尻と腰)はスカートを揺らすために、ほぼ常時ゆらゆらと揺らし、『スカートを美しく揺らすために』四六時中お尻を振っている。
そこまで体中をゆらゆら振っていれば、当然胸も揺れる。
総じて、お尻と腰に落ち着きがない女とミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒから評価される。
(走る時もバレエみたいに足上げてくるくる回りながら走るエレナ……前ミニスカだから白いパンツ見えたぞ今……男誘ってるの? って言いたくなるね、わたしでも。表情からして天然だろうが)
表情からして、おそらく無意識にやっている。まわりに男がいない生活をしているのだろう。男がいたらそんな煽情的な仕草は注意されるはずである。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ミハエルは影武者呼びとなった出来事、浮遊大陸編の一幕を思い出していた。
「あなたが、ヴァーレンス王国のミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒ公爵ですね」
太もも見せたがりエロフなエルフ(ミハエルの現時点での感想からの呼びっぷり)が優雅な仕草で、車いす(敵を欺くための、ほとんど仮病)に座っているミハエルを確認する。
「違う!!」
ミハエルは鬼の形相で吼えた。勢いで無理矢理何とかするボケ方だ。鬼の形相に意味はない。
ノリでわざと鬼の形相を作っただけだ。
ミハエルはアホである。
(確認するまでもないけどね……)
クロード=ガンヴァレンが遠い目をしつつ、そう胸の中でごちた。
「いいえ!!! 違いもぁぁあすす!」
自信ありげにミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒは再度そう答える。
「えっ………えぇっ…………え……? でも、ニュースで見た顔……あれ?……」
当然の答えが返ってくると思っていた所にその自信ある否定の言葉。あからさまに戸惑う太もも見せたがりエロフなエルフ。
その場が一気に凍り付いた。
「分かってるなら、いちいち確認すんなっつーの。ボケエルフ! 太もも見せたがりの太もも白網タイツエルフ!」
ミハエルが目を点にして小声でそんなことを吐く。クロード=ガンヴァレンは思わず笑った。
「ぶふふふっっ…………! ちょっと、どーすんですか団長…………? ボケの威力が強すぎて空気凍っちゃったじゃないですか!」
クロード=ガンヴァレンがひそひそ声で自分とこの団長を非難する。
「えと、失礼しました……フェルミンエルフ騎士団のエレナ=オブ=メノーシェと、とと、申します。ヴァーレンスのミハエル様。お会いできて光栄です。でもニュースに出てる顔と違いますね。あの顔……今車いすに座っている方は影武者だったんですね」
と、戸惑ったエレナ=オブ=メノーシェは、クロード=ガンヴァレンをミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒと誤解して、スカートの横を持ち上げて上品な礼をし、クロードにうやうやしく上品な挨拶をする。
「あらあら。カーテシーでわざわざどうも」
ミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒ(本物)がそう言う。まぁ彼はそういう女性の動作を目にしやすい男だ。
スカートをつまんで軽く持ち上げる動作と、片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を曲げて挨拶する。カーテシーという女性専用の挨拶手法だ。
「噂にたがわぬご美貌、さすがですわミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒどの」
エレナ=オブ=メノーシェはまだ間違えている。
(もうちょっとほっとこ。面白いし)
「え、えぇ……あぁ、いや、あの、僕は……」
クロード=ガンヴァレンが戸惑う。
「団長! もうちょっと堂々としてください!」
ミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒがクロード=ガンヴァレンに言う。そして鼻歌を歌う。
(こ、こいつ…………!?)
腹の内でクロード=ガンヴァレンはミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒをこいつ呼ばわりした。
ミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒは座った姿勢なので目線の高さの関係で思い切りスカートとふとももを凝視している。
「団長! 訂正してくださいよ!」
クロード=ガンヴァレンが情けない顔でミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒに懇願する。だが、
「わたしはミハエル団長の影武者も務めさせていただいてるクロード=ガンヴァレンと申します。以後お尻おきを」
お見知りおきををわざと言いかえてミハエルは別人を名乗る。
(こんの腐れ団長が~~~~~~!)
本物のクロード=ガンヴァレンは怒りの表情でミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒを見る。が、鼻歌を歌っている。
「くっそ~」
それだけ怒りの表情で小声で漏らすクロード=ガンヴァレン。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「ああ。うん。ありがとう(ま、まだ影武者呼びやめないんだ……)」
ミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒが明後日の方を向いて半眼となる。
「へ? 何がありがとうなんですか……かげむちゃちゃん……!」
「正直、そうやって初めてって言ってくれた方がやりやすい。」
余裕もなく、ギャグマンガのように、唇を突き出すエレナ=オブ=メノーシェ。
(いきなりなにしてんの)
心の中で悲鳴を上げるミハエル。だがミハエルはいたずらな笑みと共にキスを躱した。
「男の笑顔綺麗」
躱されたことすら彼女にはときめきの対象だった。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ベッドに腰かけている二人。
フェルミンエルフ騎士団のエルフ、エレナ=オブ=メノーシェは緊張してカチコチだ。ミハエルはとりあえずお茶を持ってくる
ミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒは耳元で囁いた。
「かわいい君はついていけるか
わたしのこの手で作る世界の速さに」
とミハエルが言う。それはエレナには聞こえた。
もちろん、ミハエルはふざけていったのである。
AI+魔導の力で、ミハエルは自分の部屋を少女漫画のような演出であっという間に彩る。ふざけて。幻覚魔法はAIでさらに使い勝手よくなった。ディープフェイク。
(この手って…………)
エレナは、ギョロっとかわいい目を回転させ、ささやいたミハエルの方をできるだけ見る。
フェルミンエルフ騎士団のエレナ=オブ=メノーシェはミハエルの包容力にドキドキが止まらなくなった。
「…………」
そんな彼女を無言で抱きしめるミハエル。
(犬のようにかまって、褒める作戦成功! これだけすれば生霊飛ばさないだろう。彼女も。
よう。遥か昔の恋愛ゲームの主人公さんよ、君はまだ恋の爆弾処理しているのかい? わたしアンタを尊敬してるんだぜ、本当に。伝説の12股した主人公もいたっけ……。
そんな事も思ったりするミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒ公爵だった。
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