重厚な歴史小説を得意とする、森上夜さんの長編小説です。BLというより、男同士が深い信頼で結ばれるブロマンスです。
九州の山間のとある豪族の屋敷からストーリーは始まります。主人公宋倫の元に、「武道場の弓の的が朝になるとボロボロになっているんです。それもとても正確に射貫いている。まるで幽霊の仕業です」との知らせが入り、宋倫が夜通し見張っていると。。そこで矢を射っていたのは、この世のものとは思われない高貴で美しい男。名を「祉央(しお)」と名乗ります。
しかし、この男は、屋敷の奥に匿われたまま、昼間は姿を現しません。これは、もしかして都から落ちてきた貴人なのではないか?
そう思いつつも、身分の違いを超え、宋倫と祉央は信頼関係で結ばれ、互いに惹かれあっていきます。そして、祉央の正体が明かされた時、宋倫がとった行動とは。。
二人の男の運命的な出逢いと、惹かれあう心情の細やかな描写が出色でございました。また、アクションシーンも真に迫っていて迫力がありました。基本的には、屋敷の近辺に限定された、クローズドサークル内でのお話しでしたが、朝廷内の策謀や人間関係なども絡め、スケールの大きい歴史小説だったと思います。
濃厚な情景描写と心理描写がずーっと続きますので、読み手を選ぶお話だと思いますが、そういった重厚な文体が好みの方はきっととても楽しめる作品だと思います。
読み応えのある良作、わたくしはお勧めしますよ。
亡霊の噂を確かめんとした主人公が、心を乱し、奪われていく歴史作品です。
主人公は地域を治める領主の甥である青年。
一部の心ない者に見下されることはありましたが、大きな不満なく日々を過ごしていました。
ある日、彼は朝になると壊れている射場の的を調査するため、夜闇の中で射場を訪れます。
噂では、その正体は凄腕の亡霊。しかし、実際に確かめてみれば、それは見事な腕前の人間でした。
無謀に近いアドバイスを愚直に行ったことで、急激に距離を縮めた両者。
けれど、距離を縮めたことで、明らかとなっていく相手の身分。
果たして主人公は、自分の気持ちにどう向き合っていくのか。
ぜひ読んでみてください。